その3
「ぼくたちって付き合ってるんですかね?」
「あ〜どうだろうね」
何となく勢いで、僕は彼女に自分の気持ちを伝えたのだけど、彼女の態度は特に変わらなかった。
でも、つい最近、どういう理由なのか彼女から抱きついてきた時があった……頭が真っ白になって記憶があやふやなのに、彼女の心臓の音だけはハッキリ覚えている。
僕たちが変わった事といえば、仕事が終わった後に、一緒に食事するようになった事だけかな。
食後に何となく疑問を口に出したら、合間な返事が返ってきた。
「そうですよね」
「今のままじゃダメ?」
彼女が不安そうに言った……ビックリした。
彼女は人に弱い所を見せるのを嫌う人だったから。
「ダメじゃないですが」
「が?」
「良くわからないですよね」
「……」
「人を好きになるのが初めてだから」
「あ〜そうだったっけ」
「うん。だから、今幸せですよ」
「は?」
「あなたは僕の気持ちを拒絶しなかったし」
「でも、受け入れ「わかってますよ」」
彼女が苦しそうに言うから、僕は遮って言葉を言ってしまった。
「そう」
「絶対嫌いになりませんから」
「なにそれ?」
「なんでしょうね。何か言ってしまいました」
「そう」
「どれくらいかわかりませんが、今の感じでいきましょう」
「ありがとう」
「今日は素直ですね」
「今日は?」
「ん〜そうですね。最近、僕の前だと素直ですね」
少し照れたように顔を伏せた彼女を愛おしく感じた。