その2
「いいかげん離れてよ」
「い、嫌です」
何であたしはこんな子と一緒に居るんだろ?
突然好きと言われるまで全く彼の気持ちには気付かなかった。
言われた後も彼の態度は何も変わらないし……。
でも、さっきから急に態度が変わって、あたしにしがみついている。
ピカリと窓から光が差す。そしてすぐに轟音が部屋の中に響いた。
「今のは結構近かったね」
「で、ですね」
「あのさ」
「なんですか」
必死な顔をしているので笑いそうになる。そんなに怖いのか。
「何笑ってんですか!」
「あ〜悪い」
彼につっこまれた顔に出てたらしい。
「この前は近づいたら心臓が凄い事になってたけど、今は平気なの?」
あたしは、この前の事を思い出して、また笑いそうになる。
「あ〜うん……あ、今わかったかも」
ふわりと笑って彼が言った。
「え?」
「好きなとこです」
「……」
「そうやって強がってる所が好きなのかも」
彼の言葉にビックリした。そして、少し力が抜けた。
「……」
「僕はあなたを少しでも助けたいです」
「何言ってんだか」
「ん〜こんな格好だと説得力無いですかね……」
あ、また光った。そして少し遅れて音が鳴る。
さっきより遠くなったようだ。
「あたしこの音苦手なんだ」
「僕もですよ」
「でも、こうすれば平気かも」
あたしはそっと彼に抱きついた。彼がビックリして逃げようとする。
「あ、逃げるな」
ぴたりと彼の動きが止まる。彼の心臓の鼓動を感じた。
また笑いそうになる、何であたしなんかにそんなにドキドキしてるのかな?
そう、そして、何であたしはこんなにドキドキしているんだろう?
同じように鳴っている心臓の音は彼に届いただろうか……。