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最強勇者の思わぬ難敵

作者: 小谷 諒助

思わぬ敵が現れたものである。

私の故郷であるランダムシアからスタートした魔王討伐の旅はもう終盤。

序盤に出てくる魔王の手下達を地道に倒していったおかげもあり、旅の中盤で早くもレベル100に達した私はまさにとんとん拍子に魔王の城まで辿り着くことができた。

城の中で出てくる敵も一瞬のうちに倒すことができるだろうという大方の予想通り我々は順調に城に待ち構えた敵を攻略していき、ついに魔王との最終決戦まで辿り着いた。

レベル100の私は魔王に対し無論優勢。あと3発ぐらい秘儀・ジャンピングニーを決めてやれば勝ちだろうと思っていた矢先だ。


思わぬ敵が現れたものである。


それは目の前の魔王が最後の力を振り絞って最終形態になったからでも、援護や回復役を担う自分以外の仲間達が戦闘始まって間もなく戦闘不能になっていたからでもない。




アレルギーだ。

レベル100の私は旅の最初の布や棒切れ等の装備のまま旅を進めてきたのだが、魔王の城に向かう直前にトラネコ?とかいう商人から「エルフの下着」を譲り受けた。その商人が言うにはどうやらこの下着を着用するだけで体力が回復していくらしい。せっかく貰ったしね、と魔王との最終決戦に向かう前に着用してきたら、まさかターン毎に発疹が増え続けることになるとは…。1ターン目に感じていたものとは想像できないくらい体の痒みが大変なことになっている。確かにあの商人シラミとかすごい飼ってそうだったもんなあ。なんか卵の腐った臭いとかしたし…。

しかし私はそのような雑念を一瞬で振り払った!敵は腐っても魔王、余計なことを考えている場合ではない。どうにかこのピンチを打開しなくては!


本当は少しの間、痒みを我慢して倒してしまってもいいのだが、ここで魔王を倒せば私は問答無用のテレポートにより発疹まみれの体で故郷に引き戻され、結果みんなにチヤホヤされるけど直接触らないように軽く距離取ってくる感じになる。勇者とは言い難き不潔の証しを町の人々に見られればきっと発疹王子などと影で馬鹿にされるに違いない。城の至るところに発疹だらけの私が描かれたり、子供たちは発疹だらけの子供を指さして私の名前を叫び続ける可能性だって無きにしも非ず。断じてそのような事態に陥るわけにはいかない。


それでは魔王に私の着替えを待ってもらおうか。いや、それはさすがに無理であろう。魔王にもそれなりのプライドがあるし、大体先程最終形態になった頃から、どうもこちらと会話が噛み合わない。「ンガッ、ンガッ」ばかりでこちらの言葉もうまく伝わるかどうか怪しい。会話のキャッチボールどころの話ではなくこちらから一方的に話しかける姿はまさに壁当ての様であろう。


となるともうこれしかないか…。意を決した私は魔王に向かって叫んだのである!

「えええい!好きにしろおおお!!!」

剣を捨て、鎧を投げ無防備になり事の発端となった下着も破り捨て生まれたばかりの赤子の様な姿で魔王の攻撃を受けながら私はこれからの展開を考える!

まず攻撃を受け続ける、そして体力をゼロにする、すると前回冒険の書を書いた場所にテレポート!今度はあの腐った商人を華麗にスルーし万全の状態、満面の笑みで悠々と魔王の城に再チャレンジ!どうだ、時間こそかかってしまうがこれで綺麗な体でチヤホヤされるぞ!故郷の愚民どもめ我の帰還をサインペンと色紙を持って待っているがいい!次回の展開を想像しながら最後の一撃を喰らうことができた私は最後の最後であることに気付いた。


「しまった冒険の書、書いたことなかった(笑)」


最後まで読んで頂きありがとうございました。今回が初めての投稿で、これからちょいちょい投稿していければと思います。評価、レビュー、感想、ご意見などありましたら、よろしくお願いします!

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