第一部 「Who are me」と言う表現は現実には無く プロローグ
現実にはない。そんな表現のタイトル。
曖昧で意味不明。この物語はそんな娘の不思議な御話。
彼女は、まだ自分を知らない。
子供の頃。天露は友達だった。
空から彼女の髪を叩いて撫ぜ、ぽつぽつと音と立てて笑う。
当たり前のように天露と話していたのは何時だったのか。
冬の暖炉の炎。ゆらゆら揺らめいて彼女を誘い、
近づけば手を火傷するよと挑発してからかう。
風は時として暑い日に涼風をくれたかと思えば、
彼女がこれから呑もうとしていたミルクを零して笑いながら去る意地悪娘。
でも憎めない。
大地は時には大きく揺れて彼女を驚かせたが、
何時も両足を支えてくれ、寡黙で優しく、
春には彼女の好きな花を咲かせてくれた。
もっとも、『風の声が聴こえる』 と母に言うまでの間だったが。
そのとき、何時も優しい母は何故か酷く彼女を叱った。
どうしてなのか隣に射す木漏れ日に聞いてみた。木漏れ日はこう答えた。
『怖いのよ。』
何故怖いのか?怖いと言うのはこのあいだ聞いたお化けとか"まもの"のことを言わないのか?
良くわからなかったが、涙を流し出した母をこれ以上悲しませたくなかったので、
母の『悲しみ』に「今日はさようなら」と告げた。
その日から、彼女はそう言った友達と話す事は無くなった。
母を泣かせたくなかったから。
SeLica ~Who are me ? ~
芹香 ~私は誰? 何者? 私は私? 私はあなた? 私は……人? ~
異世界冒険譚の繋ぎに掲載します。乱文乱筆ですが宜しくお願いします。
作品イメージソング
Raphael 「秋風の狂詩曲」
「話が長いよっ?! 」と仰る方のため、
冒頭三行で御話が把握できる「星を追う者」のフォーマットを導入しました。
前書き三行を読めば本日更新分の御話が分かります。
七話=一週間なので、まとめて21行で御話が把握できる構造でございます。