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第四章⑦
徐々に頭の中が騒がしくなっていく。
真倥管が揺れ、脳ミソがその揺れに連動して、ガラガラと音を立てる。
手の中の真倥管は熱を持って張り付いたみたい。離れない。寄生されて自由が奪われる。
別の人格が産まれていく。それは違う。正しくない。
私を構成する様々な考え方が一つにまとまって邪魔なものが消えていっているのだ。
私のヒステリィな部分が強調されて、それが私の全てになる。私は嫌な女になる。
「おい、しっかりしろ!」千場は私から離れないし、私の肩を痛い力で掴んで揺らす。
私はどこか深いところに堕ちていく。底なし。消えゆく心は天使とは裏腹。
私の心は愛にあふれた天使じゃなかった。最後の私は思っている。助かりたい。
助けてよ、ヨウスケ。
せめて最後にがなってやる。「早くどうにかしろっ!」
それは呟き程度にしか響かなかった。あるいは呻き。
ヨウスケは私を痛く抱きしめる。「俺は医者だ、助けてやるから」
ヨウスケの冗談に私は笑った。
そして私は、消える。




