チョコレートケーキ
掲載日:2026/06/10
休憩時間をちょうど過ぎた頃。チョコレートケーキを買いに行く。
「ケーキ屋のバイトおすすめだよ。」
「だってケーキを買う人って誕生日とか結婚記念日とか、ハッピーな気持ちの人が来るでしょう?」
昼下がりの2分半の踏切の前で、昨日覚えた知識を話す高校生の横。
ファミリーマートの袋片手に青々とした空を噛んだ。
ケーキ屋にハッピーな人が来るからといって働く方までハッピーとは限らないだろう。
結婚式場のアルバイトのように、脳死で笑顔を作り出して他人の幸せに浸かることだってあるだろう。
「でもケーキ屋さんって売るまでが大変なんじゃないの?」
そうだ。よく言った。
「そうかもしれないけど、コンビニよりかは楽そうじゃない?」
踏切が上がる。高々とした音を鳴らしながら。
颯爽と去っていく。
白い高校生がみるみる小さくなっていく。
それを青く染めるように今日はよく晴れた日だ。
耳からすぐ抜けていくような話だけれど、僕は少し大人になり過ぎたようだ。
生まれた時は真っ白だったモクの心もだんだん黒に染まっていく。
だから僕は、




