スキルコネクション パート2
第7地区の空は夕焼けに染まり、オレンジ色に滲んでいた。
頭上のバリアは、割れた鏡のように光っている。
「シミュレーション終了だ、諸君」教官が言った。「次は実任務。タイプII亀裂の巡回。死者なしで行く。」
全員が
「“死者なし”ね」雷禅が呟く。「この檻でそ
葵が横
「生き残ることと私に集中すれば、可能性
「精神的サポートどうも、母さん。」
彼女は目を回したが、瞳の奥には本物の心配が滲んでいた。
亀裂地点
崩れたビルと錆びた鉄塔の間を進む。
空気は粉塵と金属、そして何か別の匂い……電気の匂いがした。
雷禅は一歩ごとに黒い刻印の鼓動を感じる。
恐怖ではない。
予感。
「ライ……」葵が言う。「昨日の発見、覚えてるでしょ。能力の融合。」
「はいはい。スパーク+ライトステップで足元に微小電荷。派手さゼロ。」
少し間を置く。
「でも今日は別の組み合わせ試す。」
葵が真剣な目を向ける。
「目立たないようにね。本当の力は誰にも知られちゃいけない。」
雷禅は頷く。
「俺たちの秘密だ。まだ誰も気づかない。」
初接触
彼らの前で亀裂が開いた。
地面から現れたのは、以前の二体の特徴を併せ持つ怪物。
長い骨、異様な関節、読めない動き。
「タイプII上位個体」教官が言う。「隊形維持。油断するな。」
雷禅は唾を飲み込む。
正面からの力はない。
だが、また融合できる。
一瞬目を閉じる。
ライトステップ+スパーク+ショート・エコーを思い浮かべる。
口には出さない。ただ試す。
最初は何も起きない。
だが一歩踏み出した瞬間――
足が地面に触れる。
コンクリートから微小電荷が走る。
怪物が反応。
繰り返される音と電気干渉により動きが乱れる。
「それ……」葵が囁く。「効いてる。」
雷禅は目を開く。
怪物は動作をうまく同期できていない。
彼の足跡が残す不可視の電気パルスが神経系に干渉している。
大きなダメージはない。
転倒もしない。
だが注意を逸らし、遅らせ、わずかな平衡障害を引き起こす。
強敵を倒す力はない。
だが戦術的な新能力。
「名前は……『静電の軌跡』だ」彼が小声で言う。
葵が小さく笑う。
「派手じゃない。でも時間は稼げる。」
戦闘応用
葵が彼の作った隙を利用する。
跳躍し、身体強化で強打。
怪物はバランスを崩し、コンクリート柱に叩きつけられる。
雷禅の微小電気爆発が立ち上がりを遅らせる。
結果:死者なしで任務完了。教官の命令通り。
雷禅は息を吐く。
「まだ強くない。でも……チャンスは作れる。」
「それが大事」葵が言う。「それがあなたの本当の強さ。」
彼は頷き、内心で笑う。
単体では無価値な力でも、可能性は無限だと初めて感じていた。
クロガネの観察
近くのビルの屋上から、クロガネが見ていた。
「興味深い」感情のない声。
「攻撃能力には見えない。だが戦闘変数を操作している……予測不能に。」
腕を組み直す。
「組み合わせが増えれば……問題になる。」
視線を細める。
「立花雷禅……まだ理解できない誤差だ。」
二人のつながり
巡回後、雷禅と葵は廃墟の間を並んで歩く。
粉塵と残留電気の匂いを吸い込みながら。
「能力の融合が機能するなんて思わなかった」雷禅が言う。
「私も」葵が答える。「でもやったのはあなた。創造性……それが違い。」
「まだ誰も知らない」彼は半笑いで言う。
「そう」彼女は彼の腕を取る。「今は私たちだけの秘密。」
街は相変わらず危険。
神々は見ている。
亀裂は開き続ける。
だが初めて、雷禅は恐怖より強いものを感じた。
希望。




