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第3章 つながるスキル

訓練場は地区の地下駐車場だった。


コンクリートの柱。

錆びた車。

点滅する照明。


無傷で帰ることを前提にしないなら、戦いを学ぶには理想的な場所だ。


「機動と反応の演習を行う」教官が告げた。「クロガネが監督する。」


集団にため息が走る。


黒鉄陸クロガネ・リクは柱にもたれ、腕を組み、人ではなく“道具”を査定するような目で見ていた。


「閉鎖型都市環境シミュレーション。タイプIII個体投影。第3チーム、中央へ。」


雷禅と葵はそのチームだった。


「最高だな」彼が呟く。「駐車場で死ぬのが夢だった。」


葵は笑わない。


彼を見ていた。


「ライ……能力、別々に使うのやめたことある?」


彼は瞬きをする。


「は?」


「いつも同じ。スパーク。エコー。あれ。全部別物みたいに。」


「別物だろ。」


「本当に?」


雷禅は眉をひそめる。


「葵、レゴじゃないんだぞ。」


彼女は肩をすくめる。


「あなたの刻印、他と違う。能力も違うかも。」


教官が投影ドローンを起動。


柱の間に模擬個体が現れた。


「開始。」


チームが散開。


葵が正面突撃。緑の刻印が輝く。

雷禅は反射的に後退。


怪物が突進。


速すぎる。


葵がかろうじて回避。


「ライ、何か!」


彼は手を上げる。


「スパーク。」


無意味な放電。


怪物は反応しない。


「いつも別々……」


葵の声が頭に残る。


雷禅は自分の手を見る。


次に足。


そして刻印。


なぜか分からない。


どうやるのかも分からない。


だが考えるのをやめた。


ただ――


同時に使おうとした。


爆発はない。


派手な光もない。


ただ奇妙な感覚。


体内の二つの部品が滑り、噛み合ったような。


黒い刻印が震える。


新しい何かが脚へ流れ込む。


雷禅が一歩踏み出す。


足元の床がパチッと鳴る。


「……え?」


もう一歩。


微弱な電気がコンクリートを走る。


怪物が彼を見る。困惑。


葵が彼を見る。


「ライ……何したの?」


「分からない。」


彼は横に動く。


音はしない。


だが足跡には微小な電荷が残る。


怪物が踏み込む。


バチッ。


ダメージではない。


干渉。


筋肉が一瞬収縮。


微細な痙攣。


それで十分だった。


葵が核へ直撃を叩き込む。


シミュレーション終了。


「演習終了。」


沈黙。


クロガネが見ている。


今度は明確な興味を持って。


「立花。その効果は記録にない。」


雷禅は頭をかく。


「無料アップデートかな。」


訓練後


葵が彼を隅へ引っ張る。


「説明。」


雷禅はまだ痺れる手を見る。


「スパークも…ライトステップも単体では使ってない。」


「じゃあ……」


「混ざった。」


彼女は固まる。


「……何?」


「意図してない。静かに動いて電気を使うって考えただけ。そしたらなった。」


深呼吸。


「たぶん……盗んだ力は“別の能力”じゃない。」


部品だ。


そして刻印はそれを……融合できる。


葵は寒気を覚えた。


「組み合わせは?」


雷禅は引きつった笑い。


「一つと一つが組めて、さらに組めるなら……」


「……無限。」


彼は頷く。


新技生成 —『静電の軌跡』


融合元:

ライトステップ+スパーク


効果:

移動中、雷禅の足跡に不可視の微小電荷を残す。

ダメージなし。

麻痺なし。


だが接触時に神経への微干渉を発生。


結果:


短時間の震え

わずかな運動失調

動作中の注意散漫


戦術的能力。


鬱陶しい。


だがまだ弱い。


雷禅はため息。


「まだ強くないな。」


葵は首を振る。


「違う。」


予測不能になった。


柱の陰でクロガネも同じことを考える。


だが笑わない。


完璧なシステムにおいて――


予測不能は脅威だ。


バリア上空で声が響く。


『組み合わせ特性を確認。』

『成長ポテンシャル:指数関数的。』


沈黙。


『リスク分類へ。』


雷禅はまだ知らない。


だが彼は最初の一歩を踏み出した。


力ではなく。


神々が計算していなかったもの――


創造性で。

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