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sin僟・ザイガ  作者: HEiTO
第三章 地天激動大戰篇
33/33

三十三ノ罪 地天激動大戰⑭ 神獸

 百体もの天獸を撃破した亜久良と三吉であったが、息つく暇も無く、白き巨影はそらから次々に獣を呼び起こす。

 一体、二体と増えていくその獣に、二人は絶望の念を唱えた。


「まだ、あんな気持ち悪いのが増えるわけ……。もう無理、しんどい……。」


「クッ、あんな化け物共を次から次へと出されたら、此方の体力が持たない!」


 初めての天使との戦闘、更には二機での大量に現れた天獸との戦闘。

 二人が経験したことのないこの戦闘は、三吉の精神を容易くへし折り、また、亜久良の強靭な精神力さえも棒切れの如く真っ二つに折ることなど容易であった。


 否。


 亜久良の精神はまだ折れてなどいなかった。

 プライドが高い亜久良は、自分のこれまでの戦いを振り返る。

 自分が今までやってきたことは何だったのか。

 自分は今まで何かを成し遂げてくることが出来たのか。

 ここまで、自分を含めsin僟隊の面々を導いてきたのは誰か。


 亜久良の脳裏に浮かんだ人物はたった一人。


 神嶌傑であった。


 彼が、ここまで一人で初対面であり、戦闘もしたことのない男女六人をこの天使との決戦の場まで導いてきた。

 もし、彼の類まれなる戦闘スキルが無ければ、自分達は途中で死んでしまっていたかもしれない。

 そんな思いが、彼の心の奥底に過った。


「どうして、僕じゃないんだ。」


「どうして、彼なんだ。」


「どうして、僕より劣っているだろう彼が。」


 亜久良は拳を強く握った。

 誰よりも先に天獸と、天使と戦っただけの人間が、誰よりも賢い自分よりも慕われている。

 グループの中心にいる。

 その思いは、彼にとってどこか久しく感じた感情によく似ていた。

 誰よりも早く化け物達と戦っただけの人間が、自分に戦闘の指示やアドバイスをする。


 必死に戦っていた中で気づくことが無かった現実は、今、目の前にその鋭利な刃先を突き立てる。


 ただ、戦闘が得意な野蛮人の指示の元、戦っていたという現実は千方亜久良にとって最悪とも言える現実ものであった。


「神嶌……傑……。」


 次々に襲い来る醜き獣たちは、一心不乱に動くことも無い悪魔の人形目掛け突進をする。

 

「僕は、ここでくたばるわけにはいかないんだ!!!」


 絶望していたはずのその機体は、天高く舞い上がる。

 その姿は正に、絶望の淵から舞い戻った天使の様でもあった。


「見ていろ。神嶌傑。僕が、この状況を打破したとき、sin僟隊の新たなリーダーとなる!」


 これが、千方亜久良という男が、傲慢たる所以であった。

 絶対的自信を失わず、更なる高みを目指し、昇り続ける。


「三吉!僕の最高の支援を受けるがいい!貴様は、今!この時は!最高の右腕となることを許そう!!!」


 現状に辟易している三吉の乗るアスロトに亜久良は二種類の粒子を同時に振り撒く。

 攻撃力が上乗せされる‘‘力ヲ与エシ粒子エンパワー・パティクル’’と防御力を上乗せする‘‘防御機構ヲ与エシ粒子プロテクト・パティクル’’。

 赤と緑の二色の粒子はアスロトへと取り込まれる。


「もう、ゆっくりさせてよ。自分はもう闘いたくないんだって」


「それは、この僕が許さない!ここで諦めてしまえば、アイツに笑われる!アイツに負けることとなる!それは、この僕が許さない!」


「知らないよ」


 亜久良のテンションとは打って変わって、三吉は真逆のモノであった。

 

「もう、誰に勝ったとか、誰に負けたとかそんなことどうでもいいじゃん。この世界が終わろうが、終わらまいが、自分には関係ないよ。ただ、地獄に堕ちて、暇で面白そうだったからsin僟(コレ)に乗ったってだけだったのに。」


 自身の不満を、亜久良に聞こえるか聞こえないかの狭間で呟く。

 しかし、そう呟くうちに亜久良の性格を理解したのか、はたまたもう無理だと判断したのか、三吉は声を荒げる。


 「あー!!もう面倒くさいな!分かったよ!!こいつら全員、ぶっ斃せばいいんでしょ!誰かの言いなりになるとか面倒くさいし、癪に障るけどそれで黙ってくれるなもういいよ!分かったよ!」


 突如やる気を出した三吉はアスロトを防御形態にし、天獸の攻撃に耐え続ける。

 硬質なそのボディはたかだか天獸如きでは破壊するには至らず、ただただ、アスロトの反撃の素材になり続ける。

 

 そして、三吉は放つ。

 耐えに耐え続けた衝撃を周りを囲む天獸へと放出する。

 五十を超える天獸は四方に一気に吹き飛ばされ、二度と立ち上がることも無くその姿を消滅させる。


 その光景をただ眺めている天使に、亜久良は不気味さを感じた。

 自分から攻撃をするわけでもない。

 ただ天獸を放っては、此方の様子を伺っているような立ち振る舞い。

 奴は何を見ているのか。

 それとも、試しているのか。


 五十もの天獸が消滅し、不気味な天使は、またしても大量の天獸を戦場に投入する。

 更に、それだけでは終わらず、どこから来たのか、今度は地上を走り、天獸が向かってくる。


「今度は、地上から!どれだけここに集中するんだ!他の奴らは一体何をしている!」


 焦る亜久良に、両手を頭の後ろに組み諦めたかのようなポーズをとる三吉。

 このまま、決着のつかない消耗戦が続くのかと思った矢先にとんでもない光景を二人は目の当たりにする。


 地上を走って向かってきた天獸を、天から現れた天獸が喰い始めてしまった。


「な!」

 

 驚く二人を他所に、地上を走り現れた天獸共は全て、抵抗空しく天使が放った天獸達に食べられてしまった。


「と、共食い……!?」


「オェッ……!」


 二人はその光景に嫌悪感と同時に不快感を露わにし、思わず口を塞ぐ。

 だが、なんとか視線を元に戻し共食いの痕を見つめると更に恐るべき光景が彼等を襲った。


 生きた天獸の背中が繭から孵る蝶の様に、白く美しい羽根が現れる。

 そうして、醜い姿であった天獸の中から、天使と似て非なる人型の白い人形が現れた。


 その姿は、磁器の様に白く、何の装飾も無く筋肉質な肉体でもあり、美しい曲線を描いた姿をしていた。


 のっぺらぼうのような顔に二つの眼だけがこちらに向いており、生まれるや否や、気づけば三吉の駆るアスロトを五体の人形が取り囲んでいた。


「速いッ!」


「三吉!」


 囲まれたアスロトは、その人形に一斉に攻撃を受ける。

 それは、天獸であった頃とは比べ物にならない程の威力。

 強い衝撃が、三吉の奥深くに眠る記憶を呼び起こす。


「やめて、やめて、やめて」


 三吉を救いに行こうとする亜久良であったが、その周りにも禍々しい雰囲気の白人形数体が取り囲む。

 そして、亜久良の乗るルシイドに向け、声ではない声をぶつける。

 その気持ちの悪い音色に、亜久良は思わず耳を塞いだ。

 その行動が、過去の記憶が過去の記憶を掘り起こすトリガーになることも知らずに。

33話読んでくださりありがとうございます!

天獸の上位存在である神獸が今話から登場いたしました!

二人で初めて天使と対決する中で、亜久良と三吉は神獸も斃すことが出来るのか!?

次回もご期待ください!

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