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sin僟・ザイガ  作者: HEiTO
第三章 地天激動大戰篇
30/33

三十ノ罪 地天激動大戰⑪ 九尾

 ——地獄。


 悪魔のロボットである‘‘sin僟’’を開発した地獄の博士、Dr.アンフェールはグリモンとウリエルの戦闘を観察し、額に汗をかいていた。


「私が開発したsin僟にはそれぞれ、片足にになっても立位を保持できるようにバランサーを内蔵させている……。しかし、だからといってそれでまともな戦闘が行なえる保証はどこにもないし、ただの気休め程度のものだ。だが、奴はよくここまで天使との戦いで良く生き延びてくれている。それも……。白狐は十分に戦ってくれた。だが、この状況では……。もう万事休すなのか……」


 ——東京 白狐VSウリエル。


 今までは何とか天使・ウリエルの猛攻を避けていた白狐であったが周りには炎の柱が取り囲み逃げ場は無く、他にsin僟隊のメンバーはそれぞれの天使を相手にしており、救援に行ける様子もない。

 白狐は絶体絶命のピンチに陥っていた。


 対してウリエルは神槍を構え、必殺の構えをしグリモンを狙う。

 たった一つの抜け道をグリモンに残してはいるが、その正面にはウリエルが待ち構えておりその機能を果たさない。


 ジリジリと左脚を前にずらし、姿勢を段々低くしていく。

 速度を‘‘確実’’に、威力を‘‘増大’’に、狙いを‘‘正確’’にする為、その準備を着々と整える。

 穢れ無きその神槍はただひとえに、生物を殺す為、目の前の悪魔の人形の息の根を止めようとその全てを貫通する先端を光らせる。


 対する強欲のsin僟のパイロットである我喜屋 白狐は残された時間、息を整え、目の前の天使に対し対抗策を練り考える。

 左右後方は炎の柱に囲まれ、前方は天使によって塞がれている。

 自身と炎の柱の距離は約11m、高さは約50m程、飛び越えるのは飛行能力が備わっていないグリモンでは困難なものであった。


「なんとか避けてくれ!!白狐!なんとしてもここで敗れるわけにはいかんのだ!!」


「Dr、ちょっと集中させれくれ……。心配するのは分かるが、俺はここで死ぬわけにはいかねーからさ。絶対勝つから。信じてくれ」


 白狐の言葉に、アンフェールは自身の気持ちを抑え込み白狐を信じることに決めた。

 つい先ほどまで傑と自身を比べて感情的になって戦っていた彼の姿は消え、目の前の敵を斃すことだけに集中し、静かに闘志を燃やす人物へと変わっていた。

 一体、ナニが白狐をそうさせたのか、アンフェールはすぐに思い知ることとなる。


 アンフェールの汗が地面に落ちる刹那、ウリエルが遂に動いた。


 音を置き去りにしたそのスピードに白狐は辛うじて反応をする。

 しかし、白狐自身反応が出来ても、sin僟も操縦しない事には意味がない。

 が、白狐は卓越した操縦技術でウリエルの神槍をグリモンを仰け反ることで回避し、更には残された右手で後方に燃え伸びる炎の柱に触れる。

 灼熱の炎はすでにボロボロの右手を焼くが、それでも白狐は触れるのをやめない。

 

 攻撃を躱されたウリエルは、天高く舞い、仰け反った状態のグリモンへ再度左手に持つ神槍を突き立てんと急降下を始める。

 

 神槍の先端は紅く燃え、熱を帯びた紅く熱く鋭い槍へと姿を変え、その姿は正に炎の剣の様であった。

 

 ウリエルがこちらへ向かってくる間、白狐は燃える柱にグリモンの右手を触れ続けさせる。

 下手をすれば、崩壊し戦闘不能になる恐れもありながら、それでも尚、白狐は触れるのをやめない。

 グリモンの臀部の辺りから一本、また一本と狐の尻尾の様なものが現れ始め、モニターにはDesaia70%の文字が表示される。

 やがて、尻尾は九本となり、遂に、触れていた炎の柱は消えグリモンは元の態勢へ戻ろうとする。

 が、目の前にはウリエルの神槍が待ち構えていた。


 咄嗟の判断で、グリモンの身体を半身にずらし右手掌をウリエルの顔面へと差し出す。

 瞬間、グリモンの右手掌から灼熱の炎が噴出し、ウリエルの顔面を焼き尽くす。

 本来、炎の天使であるウリエルには、自身の炎は効くことがない。

 もし、自身の力で体全体が焼けることがあればそれは本末転倒であるからだ。

 だが、今回のグリモンによって放たれた自身の炎では熱がる素振りを見せた。

 

 それは何故か。

 

 sin僟はD指数が上昇すれば上昇する程、悪魔の力が色濃く出現する。

 そのD指数が70%に達したグリモンは、奪った相手の能力に自身に宿る悪魔の力を加え、完全に自分のモノにしてしまう特性が付与されていた。

 それによって、悪魔の力を得てしまった天使の炎は元の使い手であったウリエルを傷つけてしまったのだ。


『熱い!アツい!あつい!熱イ!アツイ!アツイ!熱い!熱イ!あつい!』


 ウリエルは顔を炎に焼かれ、地面でのたうち回り始める。

 

『熱いよ!アツイ!助けて!!熱くてどうにかなっちゃいそうだ!!』


 駄々を捏ねる赤子の様にのたうち回るウリエルの姿にグリモンは哀れみと怒りの視線を向ける。


「炎の天使が聞いて呆れる。あれ程までに人類を好き勝手にして楽しんでいたのかと思えば自分がその番になれば慌てふためき、助けを乞う。情けない奴だよ。お前みたいな奴に殺される寸前だったのかと思うと、本当に悲しくなる」


 グリモンは転がり続けるウリエルの羽根に触れるとそれを自身の背中へと装着し、地面に落ちて尚、燃え続ける神槍に触れると空高く舞った。


「これが、空を飛ぶ感覚か。sin僟の中にいるから風を全く感じないが、外に出たらさぞ気持ちいいんだろうなぁ!」


 燃えるウリエルを他所に天使の羽根を堪能し、空を自由に飛び回る。

 そして、空を飛び回った白狐はウリエルの上空で機体を止め、九本の尻尾を炎へと変化させ、手に持っている神槍をウリエル目掛け投げた。


『ガぁ!!』


投げた神槍はウリエルの胸部を貫き、続いて、尻尾から変化した炎をウリエル目掛け一発、また一発と投げつける。


炎は命中し、ウリエルの身体全体を炎は包み込む。


「お前は、あまりに多くの人間を殺し過ぎた。その炎の中でお前が犯した過ちを悔いるがいい」


 二人の対決は白狐の辛勝で幕を閉じた。


30話読了ありがとうございます。

白狐とウリエルの再戦、いかがだったでしょうか?

確実に悪魔の力を自分のモノにした白狐によって斃されたウリエル。

他のsin僟のパイロット達も天使に抗うことは出来るのか?

次回31話をどうぞご期待くださいませ!

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