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sin僟・ザイガ  作者: HEiTO
第三章 地天激動大戰篇
27/33

二十七ノ罪 地天激動大戰⑧ 悪女

サキエルの‘‘眠レル鳥籠’’を破った夢魔と橋姫は傑から情報を共有してもらい三人で白狐の元へと急いで向かった。

 一度、天使を退けているとは言え、現在の白狐は3体の天使を同時に相手取っている。

 幸いにも、自分達の道先には障害となるものは無く、ただひたすらに真っすぐ走り続けた。

 そんな道中、橋姫は自身の中に宿るとある感情があることに気づく。


 今まで意識はしていなかった、このむず痒く、心臓の鼓動が速くなる謎の感情。

 それはしばらく彼女がしていなかった恋とよく似た感情であった。

 この気持ちは誰についてなのか、自分は一体誰の事を思っているのか。

 思わず視線を先頭を走るsin僟へと向ける。

 この気持ちの矛先はサタスに搭乗しているパイロットへと向けられている。

 彼女はそう気づいてしまった。

 自分が神嶌傑という男を好きになっていることが。


「ねぇ、傑。あのサキエル(天使)だけはあたしに戦わせてくれない?アイツのせいで嫌な過去を思い出しちゃったの。絶対に許せない」


「な、なら私も一緒に戦います!私もあの人のせいで……」


「わかった。だけど無理はしないでくれ。俺達は絶対この戦いに勝って生き返るんだ……!」


 そんな会話をしていると、いつの間にか白狐の元へと辿り着いていた。

 それほど時間が経っていなかった筈であったが、白狐の機体であるグリモンは左脚部、右腕部は全壊していた。

 通常の攻撃ではsin僟のパーツが破壊されると言うことはまず不可能である。

 それは、耐久型のアスロトを除いた他のsin僟も例外ではない。


 悪魔が開発した悪魔的機械は、世の理を無視した存在であるため同じ世の理を無視した存在でしか攻撃を与えることはできない。

 しかし、それでも基本、表面に傷がつくことはあっても破壊されるまでは今までは無かった。


 だが、今回は違った。

 グリモンは既に受けてしまっていたのだ。

 悪魔の機械の硬度さえも凌駕する驚異的な攻撃を。


 グリモンのパーツが破壊された理由はたった一つ、ビルをも溶かす灼熱の熱が機体を脆くさせていたこと。

 白狐が己の身を賭して行った行動は、残念ながら自分の身を削っていたに過ぎなかった。

 それ程までにウリエルが放った天空ノ業火(ブリム・ストーン)は凄まじい威力を誇っていた。


「大丈夫か!白狐!」


「うるせー!こいつらは俺一人で十分だ。お前たちは他の奴らのとこへ行け……」


『戻ってきたか、我が宿敵よ。貴様の相手は我が再度、努めよう」


「逃げるのかテメー!俺の相手はお前たち三人で足りるんだよ!」


『己惚れるな。我の相手はお前ではない。さ、続きと行こうか』


『これでやっと正々堂々と……」


『おっと、そうはいかねーぜ。赤眼。コイツとは己も戦わせてもらう』


『ふざけんな!お前は一体何様だよ!それにコイツはもうこんな姿で俺に敵う訳がないだろ!』


「ちょっとそこのサキエル(天使)さん?あんたの相手はあたし達なんですけど?」


 サキエルは両眼をぽーっと見開き、ウリエルと橋姫、夢魔の顔をきょろきょろと見渡す。

 ウリエルの表情は‘‘ほら、さっさと行けよ‘‘と言わんばかりに舐め腐った表情をしており、それを見たサキエルは諦めたかのように溜息を吐く。


『仕方ない。それじゃ己はお嬢ちゃんたちと第二ラウンドと行きましょうかね。ウリエル(赤眼)、くれぐれもへまはするんじゃねーぞ』


『わかってるよ』


 サキエルはウリエルの姿がギリギリ見える位置へと移動をし、それに夢魔と橋姫も追従する。


「ねぇ、夢魔。あたし、アンタに言いたいことがあるんだけどさ」


 個別チャンネルに変更して、橋姫は夢魔に問いかける。


「なんですか?」


「アンタって相当な悪女わるだよね」


「はぁ!?ど、どこがですか!」


「どこかって、アンタの全てよ、す・べ・て。そんなぶりっ子みたいな喋り方で怯えて、それで周りの男を今までたぶらかしてきたんでしょ。そして、今度は傑を狙ってるの?」


「な、なに言っちゃってるんですか!?やめてください!そういう橋姫さんこそ私から見れば正に悪女の権化みたいな人ですよ!」


「はぁ~!?あたしのどこが悪女だって言うのよ!」


「傑さんの言うことに全て同意するとことか!」


「それはアンタも一緒でしょ!」


「自分は‘‘出来る女です’’アピールするとことか!」


「良いわよ、どっちが本当の悪女か決めようじゃない!」


「望むところです!」


 二人は敵の前で唐突に口喧嘩を始めてしまった。

 サキエルはその光景を見て呆れ果て、ついには痺れを切らしたのか、槍の先端に黒い球体を作り出した。


「おい!お前達!何を言い合いしているんだ!目の前の敵に集中しろ!橋姫、夢魔、二人ともやられるんじゃないぞ……」


 傑の言葉によって夢魔と橋姫の心に強い衝撃が走る。


(あぁ、やっぱり私、傑さんのことが好きなんだ~)


 夢魔の頬は赤々と染まり、体内の温度が急激に上昇する。

 更に、目はとろんと溶けるように垂れ、口からはねっとりとした体液が漏れる。

 正に、夢魔の身体は‘‘火照りだしていた‘‘。

 それに呼応するかのように夢魔の搭乗機であるアストのD指数は上昇し、白狐に並ぶ60%を叩き出していた。


(好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き……あぁ~、好き!!)


 夢魔の感情と共にアストは力強くジャンプし、耳から今までの比にはならない量の催眠粒子を散布する。


「さぁ、皆、私を愛しなさい……」


その声は、17歳の少女とは思えない色気たっぷりの妖艶な声であった。

更に、その妖艶さでこう続ける。


幻想抱く乙女の香りラッシヴィアス・セント


 空中に舞う催眠粒子は、地上を暴れる天獸たちへと向かって行く。

 粒子を吸い込んだ天獸は一体、また一体とやがて大人しくなり、東部エリアは沈静化した。


 「絶対に今度は二番目の女になんてならない!あたしは一番、一番相手が好きな相手になるんだ!だから、あんなより先にあたしがあの天使をぶっ斃す!!」


 嫉妬のsin僟であるレヴィーもパイロットの感情に応えどんどんとD指数を上げていく。

 その数値は60%を超え、レヴィーの能力は大幅に強化された。


 蛇の鞭をサキエルの持つ槍へと巻き付ける。

 その瞬間、瞬時に情報解析を行ない模倣可能と判断されると先ほどまでのしなやかな鞭はみるみるうちに白き鋭利なランスへと変貌を遂げた。


『己の武器まで真似をするとは、ほんと悪魔的所業だね』


 夢魔によって操れられた数十体の天獸は向きを変えサキエルの元へと突撃を開始し、その群れに混じり、橋姫のレヴィーは体勢を低く前方に体重をかけ突進を仕掛けた。


「うふ、あたしの為に頑張って……♡」


 ここに、悪女二人VS天使による第二ラウンドの幕が切って落とされた。

27話読了ありがとうございます!

今回は二人の女性をメインにしたバトル回でした!

夢魔と橋姫、二人が傑の事をどう思っているのか、その思いを糧に戦う二人の姿が皆様に伝わっていただけたらとても嬉しく思います。

次回、28話もどうかよろしくお願いします。

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