十七ノ罪 天界
時は遡り、ウリエルと白狐たちsin僟隊との戦闘から数分後。
地上での戦闘で多大な傷を負ったウリエルは自力で天界へと戻り傷を癒すため、ウルズの泉と呼ばれる湯銭へと向かっていた。
―天界―
そこは、地上の世界と同じ次元にあるのか、それとも別の次元にあるのか。
雲の上に続く恍惚と存在している天の楽園。
南ヨーロッパにあるとある神殿によく似た作りとなっているが、明らかにそこに存在するものは、地上には存在しないであろう浮世離れした植物や動物が生息している。
暖かい日差しに照らされたそこは、現在の地上とは正反対の文字通り楽園と呼ぶに相応しい場所だった。
『随分とボロボロじゃないか……赤眼……』
『ウルッ……サイ……!お前は、高みの見物か……。サキエル……』
『ジジィの気まぐれには付き合いきれん。俺は俺のヤりたいようにヤる。勿論、ジジィが言っている≪人類滅亡≫ってヤツも俺はどうでもいいと思っている。赤眼をそんな姿にした奴には興味があるがな』
『それにしても本当にお前は派手にヤられたな。そんなにニンゲンってのは強いのか?』
『違うっ!アレは僕が油断していたからだ!今度は絶対にっ!』
全身深手を負っていたウリエルの身体は、超高速で傷が修復していき、1分も経たずに元の姿へと回復していた。
ウルズの泉と言われるその泉は強力な浄化作用があり、どんな傷でも短時間で回復する効果があると言われていた。
泉と言っても、温泉のように湯けむりが上がっている。
疲れることがない天使は基本的に入ることはなく、自身の再生機能が機能しない状態の時にしか使うことはない。
そのため、ウリエルは今回初めてこの泉に入ることとなった。
『サキエル。お前はいつもこの泉に使っているよな。なんか違うのか?』
『俺はここが好きなんだよ。温かくて、体がフワ~って浮き上がるこの浮遊感。お前達には分らないだろうが、俺は気持ちよくて好きなんだよ』
このサキエルと言う天使は、周りの天使と比べてどこか人間近い感覚を持っていた。
『黄金の林檎……か。どうしてこれを喰ったらいけないんだろうな。手を出すなって言うなら、ウルズの泉の目の前に置くなって話だよな。』
そう言いながらウリエルは目の前に生えている巨木に実る果実に手を伸ばそうとするが、それをサキエルは制止する。
『やめとけ。その果物に手を出すとお前はここにはいられなくなるぞ。流石の俺もこれだけはジジィの言いつけを守った方がいいと思うがな』
『チっ、なんでだよ。お前何か知ってるのか』
『俺が闇を司る天使なのは知っているよな』
『当たり前だろ。』
『実は俺の前にもう一人、闇を司る天使がいたんだ。そいつは今の俺やお前のように、この泉に入り浸っててな。その時、その樹に実っていた果実に手を出したんだ』
『それで?』
『追放されたよ。天界からな。……今、そいつがどうなってるかは知らないが、地上に堕ちたところでそいつの居場所は無いだろうから、地獄暮らしだろうな。』
『それで、アンタはここで何してんだよ?まさか、そいつと同じその実を喰ってやろうと思ってんのか?』
『そんなわけないだろ。それだったらもうとっくにここにはいねぇよ。俺はソレを喰おうとしてる奴を止めようと思ってここにいるんだよ。お前みたいな奴をな。』
『けっ。余計なお世話だ。俺はこのままじゃダメなんだよ。このままじゃ……』
『だったら特訓しろ、特訓。ラファエルならいつもユグドラシルの上で独り修行しているから』
『俺が人間ごときに修行するなんて、それは俺のプライドが許さない!!』
『さっきまで、禁断の果実を喰おうとしてた奴がよく言う』
二人はウリエルが戦った人間達とその機械について語り合う。
『お前が戦ったあの人間達。ありゃなんだ』
ウリエルは、自分が戦った人間傑達の事を説明した。
彼らの話を聞いたサキエルは少年のように目を輝かせ、興奮した様子だった。
『なんだよ、やっべぇな!ソイツら!うわぁ、俺もその人間達と戦ってみてぇな~』
『お前、笑い事じゃないんだぞ!アイツらは俺が消す……!他の誰でもない、この俺が……!』
まぁまぁ、とサキエルは失笑しながらウリエルをなだめる。
怒るウリエルが握った拳には深紅の炎が揺蕩う。
第17話読了ありがとうございます!
今回は天使メインの話となりました!
新しく出てきた第3の天使サキエル。
一癖も二癖もありそうなこの天使は今後どのように関わってくるのか!
次回第18話もよろしくお願いします!




