遠出
麒麟との戦闘後...ティオールの記憶が少し危うくなってるかも...?
ルーヒ「...自身のことに関する記憶を喪失しているのか?」
優誠「え?あ、はい。なんかみんなのことは覚えているし、置かれている状況も理解出来てはいるんですけど...俺ってティオールでしたっけ?」
アスタート「はい。貴方のこの世界での名はディエル・ティオールという名前となっております。」
優誠「(なんにも覚えてないな...アスタートとか、オロマとかのことは覚えているのに...俺に関する記憶が...)」
その後、優誠は思い出してみるがどれもティオールとしての記憶は全てあやふやになっていた
優誠「(おかしい、スキルだって、アスタートだって皆だって覚えてる。でも...)俺自身の存在のことを何も思い出せない。」
ルーヒ「...そうですか...そうですね、それならばお父様とお母様で思い出の場所等に連れて行ってみては?」
そうルーヒが言うと父も母も苦い顔をする
スイレーン「えっとー...この子全然外に出なかったから思い出っていう思い出があんまりなくて...」
ルーヒ「困りましたね...それならまた衝撃を与える。もしくは...」
優誠「し、衝撃!?流石に痛いのは嫌ですよ!?」
ルーヒ「それは奥の手。その前に1度この草を取って摂取して欲しいの。」
そしてルーヒは本を懐から取りだし、1枚の植物の写真を見せる
ルーヒ「この草は別大陸にあるんだけど、名前をキオクサって言うのよね。」
優誠「キオクサ?」
ルーヒ「そうそう。名前の由来は、1人の記憶を失った少女がこの草を道端でたまたま拾って記憶を取り戻したの。」
優誠「へぇ〜凄いですね...」
ルーヒ「それでその後に、故郷を失ってしまった悲しみやそれ以前に受けた苦痛・屈辱などを思い出して自死をする選択をしたっていう物語なんだけどね...」
優誠「え、何その物語。怖」
ルーヒ「ま、まあ。でも、本当に効果があったとしたらとても凄いじゃない!なので実験台になって欲しくて〜」
優誠「え、いやまぁいいんですけど...でも、それならなんで今すぐやらないんです?買うなり取りに行ったり何とかして手に入れればいいんじゃ?」
ルーヒ「それがな...あの草は希少品でしかも...」
優誠「希少品で?」
ルーヒ「ああ、あの草は冬の時期の...フィメェール国のソネール山の山頂か、ヴィニスラ大洞窟の地下だっていう話なんだけど...」
優誠「...なんか、どっちも面倒くさそうですね。」
ルーヒ「いやー、本当にね。だから私か取りに行ったりとかは無理。勿論この国にそんな暇な人もいない。だから君たちが取りに行ってきてくれ。」
優誠「...保護者とかはいるんです?」
ルーヒ「いない。自分で見つけてこい」
オロマ「それなら、私も行くわ。どうせ暇だし、それに...成長過程を間近で見たいしね!」
優誠「(それ多分戦闘とかじゃなくてショタからの成長過程の話では?)」
ジセン「それなら私も行こう。まあ、私がこの中だと1番見劣りしてはしまうが...」
優誠「何言ってるんですか、ジセンさんがいてくれれば心強いですよ!」
ドラーフ「それなら俺も...」
スイレーン「ダメです。貴方も私もこの国の治安や警備を任されているでしょう。特に貴方はこの国の最重要神物と言われているでしょ。」
ドラーフ「ああ、そっか。という訳で俺らは参加出来ない。息子が記憶喪失だってのに...力になれずすまないな。」
そう話していると
?「お医者さーん!骨折の容態を確認して頂きたくー!」
ルーヒ「すまないね、私は行くよ。幸運を祈る。はいはーい。今行きますのでお待ちを!」
スイレーン「あの声って...」
ドラーフ「...大丈夫だ。お前は心配いらない...さ、そうなったら旅の準備だ!お前ら早く準備をしろー!」
それから2ヶ月後
ティオール「(まだ少し違和感はあるけど...ティオールとしての自覚は出てきたな。でもやっぱ違和感すげえなぁ...)」
木々の葉が完全な緑色となり、サウナに常時いるような暑さを感じる...夏になった。
ドラーフ「ほ、本当に大丈夫か?」
ティオール「父さん、心配しないで。」
ドラーフ「無理だよ!まだお前4歳だぞ!?心配だってするさ。」
スイレーンがドラーフに近づき肩に手を置く
ドラーフ「?」
スイレーン「あの子はとても賢いから、きっと大丈夫よ。そうだ!ティオちゃん。あなたにこれあげる!」
そう母が渡してきたのは10冊程度の本であった。
スイレーン「あなたが今勉強してる言語と、その他今から行く国や主要国の言語よ。暇になったら好きなだけ読んでもらっていいわ。」
ティオール「か、母さん...ありがとう!」
ドラーフ「お、おい。まだ行くな少し待っててくれ」
そう言って家の中へと入っていき、剣を持って戻ってくる
ドラーフ「これはな、本当は餞別で渡そうとしていたんだ。だが、お前は武器無しで麒麟の攻撃を避け、受け止め、生き残った。剣を必要とするかは分からないが、いざという時はこの剣を持っていろ。」
剣を手渡されるが
ティオール「重!!ちょ、これ荷台に置いておいて!」
そう言うとジセンが剣を持ち、馬車の荷台へ置く
ティオール「ありがとう、それじゃそろそろ出発の時間かな。行ってくるよ」
スイレーン「行ってらっしゃい。」
そう言い頬にキスする。ティオールとオロマは荷台の中へ入り、ジセンは馬に乗り、運転する
ドラーフ「また会おーう!」
そう言いながら手を振る
ティオール「うん!できるだけすぐ戻ってくるよー!」
と言いながら手を振り返した
ジセン「それじゃ、別れも済んだかい?」
ティオール「はい。ありがとうございます。」
オロマ「はー、お腹がとてもすいた。」
ティオール「お金なら沢山持っているので、この辺でならいくらでも食べれますよ。」
ジセン「あははは、...さて、今から行く国は海辺の国ウォクアス国です。私の故郷でもありますね。」
ティオール「ウォクアス国ですか...でもあそこって別大陸に移動する船っていうよりかは海で遊ぶのがメインみたいなところありません?」
ジセン「そうだね。一旦その国まで移動して、この馬を預けて行こうと思うんだ。どうせなら、夏もまだ中盤だから海で泳ぐのもありだな....」
ティオール「あの、遊びに行くんじゃないですからね?」
ジセン「分かってるよ。さ、ついに外に出るぞー!」
そうして外に出る。
オロマ「ていうかさ、麒麟と戦った時に助けたパーティー全然お礼とかしに来ないのね。」
ティオール「いやまぁ死んだとか思われるでしょ。まさか生きてて病院にいるとか...ね?」
オロマ「そうかしら、一応病院で探すくらいはして欲しいものだわ。」
ティオール「そうだね(スキル解除できるものは解除しておくか。えーっと、「自動理解」理解対象:麒麟の雷から耐性・技・イメージ・魔力消費量かな。で、自動回復?なんでだ?)」
アスタート「驚異的な回復力を持っていたからですね。」
ティオール「(まあ確かに腕と背中の骨折も起きてから1日で治ったし...おかしいことでは無いか)」
そう思っていると、女の子の悲鳴が聞こえて、ジセンは急に後ろを向き小声で喋り出す
ジセン「あれは密輸集団!君たち、身を潜めてくれ。」
ティオール「は、はい。密輸集団ってなんだ?」
オロマ「密輸集団は...この辺で有名なやつらは奴隷の売買ね...分かるけどやめておきなさい。」
ティオール「でも...(奴隷...あの子も...そうなるのは...)」
オロマ「ちょ!?」
ティオールは外へ出て密輸集団に近づいていくのだった