5 国民民主党
◇党の概略
2017年小池百合子都知事が「希望の党」を立ち上げ当時野党第一党だった民進党右派を吸収したものの、2020年に解体して残ったものが原型となっています。
旧民主党だった人もいることから労働組合との繋がりもありながら、右派的な思想もあるという立憲民主党と日本維新の会の中間的な立場を取っていると言えます。
また、東京都においては小池氏の立ち上げた政党の系譜をたどっていることから、小池氏と綿密な連携を国政選挙においても取っている傾向があります。
23年春の予算編成の際にトリガー条項検討を引き換えに自民党案に賛成するも何も得られることが無かったために24年春にはその検討から離脱しました。
立憲民主党からも秋波(連合の支持を全国で統一したいため)を度々送られていますが、幾度も突っぱねて巨大政党に対して絶妙な駆け引きでもって立場を保っていると言えます。
衆議院7議席、参議院9議席と前原氏ら「教育無償化を実現する会」の議員が離党してから両議院とも一桁になってしまい、求心力がどの程度保てるか「正念場」と言える衆議院選挙だと言えます。
※10月8日に発表された公約や党公式ホームページを参考にしています。
◇政治改革
・政党から議員に支給される「政策活動費」を廃止
・政治資金をチェックする第三者機関を来年3月までに設置する
・公文書改竄に対する罰則の導入
・インターネット投票の導入
・被選挙権の18歳への引き下げ
⇒ 50点
やはり、政治団体相続非課税の廃止、政治献金禁止が無いというのは大きなマイナスだと言えます。
インターネット投票は個人の情報を紐づけをしっかりできなければ二重投票、不正投票の温床になってしまう可能性が高いです。
確かに投票される方の拡大のためにゆくゆくは必要ではあると思いますが、今の技術・政府の信頼では難しいと言えるでしょう。
代わりに「被選挙権を18歳へ引き下げ」についてはプラス評価といっていいと思います。
やはり若い方に選挙に関心を持っていただくには同年代の優秀な方が出馬していただくことが一番であると考えます。
成人になれば出馬することが可能になることは「当たり前」であると言えます。
◇経済政策
・消費税を5%に減税
・民間投資を加速するため、取得額以上の償却を認める「ハイパー償却税制」を導入
・正社員を雇用した中小企業には、社会保険料の事業主負担を半減
・所得税の基礎控除などの拡充
・家計支援としてガソリン代や電気代の負担軽減に取り組む
・子育て世帯を支援するため、年間5兆円の「教育国債」を発行し、子育てなどの予算を倍増するとしています。
・子どもがいる親の所得の一部を控除する年少扶養控除の復活
⇒ 85点
「財政法4条廃止」や「低所得者の社会保障減免」が欲しいところですが、
基本的には「最高峰」といっていい経済政策だと思います。
減価償却の加速は密かにどこの会社でも嬉しい話であり、実質的な法人減税にもなりますし、国内投資になれば経済の活性化にもなります。
社会保険料は中小企業の折半負担は絶大な負担であり、これだけで支払いが苦しくなっているところも多いです。これが減るのは大変ありがたいでしょう。
未結婚若者への支援が欲しいところですが、年少扶養控除の復活はかなりプラスと言って良いでしょう。
◇安全保障
・災害や紛争など様々な危機を想定外とすることなく、国民と国土を危機から守ります
・食料、エネルギー、医薬品などを含めた総合的な安全保障政策に万全を期します
・安全基準を満たした原子力発電所は動かすとともに、次世代炉等へのリプレース(建て替え)を行います
・電気とエネルギーの安定供給を確保し、国富や技術力が海外に流出することを防ぎます
・「戦争をさせないための抑止力」と攻撃を受けた場合の「自衛のための打撃力(反撃力)を整備するため、必要な防衛費を増やす
⇒ 70点
最低限の項目を満たしていると言えますが、ちょっと具体性に欠けるかな? と言う印象を受けます。
単純に軍事力だけを強化するだけにとどまらないところは、好印象を受けますけどね。
◇社会保障
・尊厳ある生と死を保障する政策を積極的に議論します。
・基礎年金の最低保障機能を高め、安心できる生活保障の制度を導入します
⇒ 評価不能(20点ぐらい?)
今回の公約には社会保障に関する項目が見当たらなかったので、公式HPから引っ張り出してきました(それでも少ないのですが)。
ちょっと怖いのが「尊厳ある生と死を保障」と言う文言から「安楽死推進」を匂わせている点です。
「お金が無く死にたい」と言う人が出てくるのは問題ですからね。
国民民主党は現役世代に対する支援策は充実していますが、
今稼げない人たち(主にお年寄り)に対する不安を解消できないのはちょっと疑問が残ると言えるのではないでしょうか?
人は誰しも永久には働けませんからね。
◇ その他の政策
・高校までの授業料を完全無償化するとしています。
・「教育国債」で教育・科学技術予算を年間10兆円規模に倍増
・憲法改正の緊急事態条項の積極推進
⇒
恐らくは「真水国債」で行ってくれると思うので財政上の負担を考えないのであれば歓迎したい内容と言えます。
ただ憲法改正の「緊急事態条項」について玉木代表が「悪いイメージがついているので名前を変えるべきだ」と提案し「緊急政令」になったという経緯もあるためにこの点は警戒が必要です。