4 日本共産党
◇党の概略
1922年に旧ソ連の思想に影響を受けて誕生しました。
現状では日本最古の国政政党です。
1950年代には「武装闘争路線」を掲げていました(現在は表向きからは消えている)。
これにより1952年に制定された破壊活動防止法の調査・監視対象になりました。現在も公安調査庁から監視対象に指定されています。
党の綱領には「社会主義的変革」や「後々には自衛隊の解消」など非現実的な政策も多いことから、1979年の衆院選挙の39議席と比べると衆院10議席、参院11議席(どちらも第5党)と10議席がギリギリのラインと近年ではなっています。
ただし、日本共産党の機関紙とも言える「しんぶん赤旗」の記事を皮切りに今回の「裏金事件(脱税事件)」の問題が大きく露呈することになりました。
今回の総選挙でも逆風を吹かせる大きな一因にもなりましたし、自民党を解体する可能性を上げたことにおいて大きな功績と言えます。
今後も劇的には党勢は拡大しないものの憲法改正反対、反政府の受け皿として安定的には存在していくのではないかと思われます。
※過去の党要綱や10月10日の公約などを政策としてまとめています。
◇政治改革
・企業・団体によるパーティー券購入を含む企業・団体献金を全面禁止
・国民の血税を分け取りする政党助成金制度を廃止
・金権政治を無くす
⇒ 65点
意外と旧文通費や相続税非課税についてが公約としては存在していませんでした。
国政政党で政党助成金を唯一受け取っておらず、政治献金も受け取っていないために政策として実効性においては信憑性があると言えるのですが、一般の共産党員が「割を食っている」と言う話も聞きます。
「何かを犠牲」にして党運営を行っているという事なのでしょう。
◇経済政策
・週35時間制、残業規制を強め「サービス残業」を根絶する
・最低賃金を全国一律時給1500円にし、賃上げと一体に労働時間の短縮をすすめる
・消費税を5%に減税、インボイス制度の廃止
・大学の学費ゼロ
・内部留保に時限的な課税、富裕税の創設を行い、代わりに中小企業に10兆円規模の支援を行う
⇒ 30点
一貫して消費減税を訴え続けているところは評価できる点でしょう。
ただ一番上の週の時間を減らした上で残業時間なしと言うのは相反するものであり、立憲民主党並みに「不可能」な政策といっていいでしょう。
現実は週労働数を一律に制限すれば「サービス残業やり放題」にしないと会社が持たなくなります。
若い方ならもっと働きたい方もいるでしょうし、持病が深刻であれば今の就業規制でも働くことは困難であると考えます。
僕は会社で義務付けられている健康診断を活用した「年齢や健康度合いに応じた週労働時間数」にしなくてはいけないと考えています。
また、内部留保に課税することは危険です。現有資産・設備投資を売らなくてはいけませんからね。
富裕税もタックスヘイブン地に富裕層が逃げるだけで意味が無いでしょう。
それらを元手に中小企業支援という事は、実は共産党も「財源論」みたいなものに囚われているという事です。
長年の消費減税の公約を大きく評価をしてプラス得点ですが、根本の経済と会社の状況と言うのをほとんど理解していないように思います。
◇安全保障
・年間5兆円にのぼる軍事費(防衛費)を見直し、1兆円削減
・日米地位協定を抜本改定、日米同盟の強化に反対したうえで、ASEAN=東南アジア諸国連合と協力し、「外交で東アジアの平和をつくる」
・2030年度までに原発ゼロを目指す
・沖縄でのアメリカ軍の新基地建設を中止
⇒ 0点
現状、日米同盟に頼らざるを得ない状況であり、それを脱するためにはエネルギーと食糧安全保障が必須です。
それせずして自主独立をすることは日本の立場を極めて危険なものにしてしまいます。
過去を振り返れば日本共産党は「自衛隊縮小」を訴えていたり、「平和・中立・非同盟」という中露の存在を完全に無視した政策を展開していました。
それらを考慮すると到底評価することはできません。マイナス得点でも致し方ないレベルだと思います。
◇社会保障政策
・年金支給額引き上げ
・70歳以上の医療費窓口負担を一律1割
・マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせる方針は強制しない
・介護報酬の引き上げ、介護労働条件の改善
⇒ 90点
(負担が増えない前提であれば)諸手を挙げて評価できそうな項目と言えます。
高齢者に負担を増やす方向性は若者世代の将来不安に繋がり、財布の引き締めと少子化の加速に繋がると僕は考えます。
現状の負担を増やさないことと、老後の保障が大事になってくると考えます。
また介護報酬の引き上げも必須です。ただ、年金を十分に上げることが出来れば介護に対してご老人が支払う能力が上がってくるので、そこら辺の塩梅が大事になってくると思います。
◇その他の公約
今回大々的には無いものの、予てから外国人参政権の選挙権だけでなく被選挙権を認める方向性を打ち出しています。
選択的夫婦別姓や同性婚についても直ちに実現を目指しているとのことです。
ただ、憲法改正反対の姿勢は貫いているために、現状維持であれば緊急事態条項に関する抑止力にはなることでしょう。