1 自民党政治の評価
◇「奇襲解散」の様相
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は2024年秋の衆議院選挙特集といたしまして、自民党と公明党以外は
どの党がどういう政策を打ち出しているのか?
そして何をどう評価すれば良いのか? について、国政政党7党(教育無償化を実現する会は維新と合流するために除く)とまだ国政政党では無いものの注目されている日本保守党について僕の視点ながら語っていこうと思います。
質問者:
正直、皆さんどこに投票していいか困惑していると思います……。
筆者:
今回の総選挙には大義が無く、何となく争点が分かりにくいのもあるのかもしれません。
政治と金の問題と経済政策が主な関心事として出てはいるのですが、
経済政策において共通している内容が薄く(規制することの違い、バラマキ先の違い程度の差ではあるが)、
「総論での比較」になりそうなので「何となくのイメージ」だけで評価してしまいがちになると思うんですよね。
そこで今回は各党の公約をちゃんと見ていき評価していこうというわけです。
質問者:
確かにかつては2006年の構造改革のための「郵政民営化」、
2017年の社会保障のための「消費税増税」など分かりやすいところはありましたよね……。
残念ながらどちらも良い社会には貢献できていなさそうですけど……。
筆者:
それでもまだ争点として有権者に委ねられただけマシだったと言えます。
有権者が過去起きたことから学んでいき、過ちを繰り返さないことが大事だと思います。
今は「事実上の移民」や「LGBT理解増進法案」もそうですが、公約に無かったことが平然と言葉を変えて推し進められたりしますからね。本当に恐ろしいことだと思います。
質問者:
今回はいわゆる「B層戦略」と言う形では無いという事なのでしょうか?
筆者:
どちらかというと「奇襲解散」と言う側面が強いと思います。
野党も何故か準備が整っておらず多くの選挙区で統一候補を立てることが出来ていません。
また石破総理個人から見たら「ライバルへの復讐」と言う側面も強いと思います。
安倍派議員を非公認・比例重複をしないと言った方法を取っていますからね。
自民の総議席数が減っても石破氏のシンパが増えればいいと思っているのかもしれません。
ただ、重複候補者が減った分、急遽比例代表での公認を増やしたために不祥事などの「身体検査」が不十分である可能性もあるので、例え自民党が相対的に勝利しても「水ぶくれ」の議席数になる可能性も高いです。
◇最終的な目標は「自民党の解党」
質問者:
ただ、相対的な勝利だとしても、それはなるべく多くない方が良いですよね?
筆者:
そうですね。
最低でも自民単独過半数割れをしないと「就任直後解散で絶対勝てる」という先例を2回連続献上してしまう事になります。
利益をお仲間に渡していく政策をより自民党は加速させることになるでしょう。
質問者:
早期解散は石破さんの自信の無さの現れだと思うんですけどね……。
筆者:
そこを突けないのが今の野党が致命的なところです。
今回の選挙の各党について触れる前に、
まずベーシックな僕の政治・政党への考えを話していこうと思うのですが、
現在日本には「最善の政党」と言うものは存在しません。
なぜなら今現在、当選するためには「党からの公認」と「莫大な資金(最低でも衆院選挙の小選挙区に出馬には諸費用合わせて2000万円)」が必要であり、
親が政治家か、お金持ちか、著名人しか立候補することすらできません。
この選挙制度のシステムのせいで「庶民感覚」を持ち合わせている政治家が限りなくゼロに近いと言えるのです。
ですから、「特定の政党」と言うのを僕は推薦することは致しません。
現時点での最善の状況は「少数与党による連立」で「どの党にも調子にのらせず国民の意見を聞く」
このような状況が目下では一番望ましいように思います。
つまり、与党以外で皆さんが「一番考えが一番近い政党」を選んでいただければと思います。
質問者:
自民党のままの政権……と言う選択肢は無いんでしょうか?
筆者:
彼らは誠実性の欠片も無い集団です。
最近では公約違反をしてもいけしゃぁしゃぁとしており、
せいぜい頭をちょっと傾ける程度の謝罪しかしません。
石破氏も安倍・菅ラインからの打破を願って自民党内の改革派から選ばれたわけですが、
反アベノミクス政策の中止、保険証廃止の見直しの撤回、裏金議員の大半の公認、早期の解散と、
早くも総裁選で良さそうと思われていた「公約」としていたことはことごとく覆されたわけです。
確かに、世相に応じて臨機応変に政策は替えていく必要はあります。
ただ、公約した時から1カ月経たずに変容してしまうのはあまりにもスピードが速すぎます。
このような石破政権が続けば政治改革が不十分のまま「国民への裏切り」はこれからも引き続き行われていくことでしょうし、
結局のところ「自民党の悪しき部分の踏襲」は続くことでしょう。
質問者:
自民党を改革していくことって難しいんでしょうか……?
筆者:
難しいと思います。
世襲議員が5割前後いる自民党ではそもそも政治改革は望めませんね。
というのも、世襲議員は政治資金の相続非課税、選挙区を引き継ぐことが出来るなどの要素から一般国民より2300倍当選しやすいというデータもあり、“見えない令和の階級社会“と化しているからですね。
このように自らの家族が当選しやすいシステムを自ら法律で制定することが出来るのにもかかわらず崩していくとはとても思えないからです。
石破氏は鳥取1区選出の2世議員ですからね。
父の石破二朗氏は鳥取県知事を4期16年、参議院議員は2期鳥取選挙区から選出、自治大臣を勤めていたようですから選挙区で圧倒的有利な立場にいるわけです。
質問者:
な、なるほど。衆参の選挙区は違えど政治団体の相続非課税、知名度の差は段違いという事ですか……。
筆者:
もっとも、上記のことを考慮したとしても、
「自民党しか政権担当能力が無い」
と判断される方に関して僕は「無理に考えを変えろ!」などと強制したりはしたくないです。
やはり野党に決め手がなく、民主党が政権を取っても公約を果たされなかった「悪しき歴史」があります。
また、野党に政権担当能力が怪しいことも紛れもない事実なわけです。
“他に入れたい政党が無いから”若しくは“他の政党だともっと悪くなるだろうから”と国民の多くの方は思われていると思います。
このことは世論調査による支持率にも如実に現れています。
少しバラツキはありますが、石破内閣の支持率は45~50%、自民党支持率は他の党より“ダブルスコア”、「支持政党なし」が自民党支持率と大体同じと、同傾向です。
これは一側面の事実は間違いないわけですし、他の政党に政権を渡すことは短期的に見たら危険ではあると思います。
質問者:
石破内閣は発足時の支持率で見たら2006年以降では下から2番目とのことですが……この状況では自民党政権はまず続きそうですよね……。
筆者:
“いまのままでは“それも熱量なく「相対的な与党勝利」と言う感じでしょうね。
野党の皆さんも本当に緊迫感を持ってやっていただかないと存在意義が無くなります。
ただ、今の自民党に国の舵取りを任せ続けた場合の方が、
「未来が無い」
と僕は思えてしまうわけです。このままいけば「失われた30年」は「失われた40年」や「失われた50年」になっていくことでしょう。
賛否両論あることは間違いない意見だと思うのですが、
30年スパンで見て経済ゼロ成長と言う国は内乱が起きた国と日本ぐらいしかありません。更に可処分所得はむしろ増税によって減少、かといって公共サービスは低下、エンゲル係数過去最悪。
第二次安倍政権以降の10年を見ても実質的な移民と非正規雇用による給料の低下があります。
この延長線上を受け継ぐことが濃厚でありながら、開幕から嘘つきっぱなしの石破政権を全く評価できないという事です。
質問者:
やっぱり、「嘘を吐かれる」とちょっと困りますよね……。
石破氏の変わり身がここまで速いのは「内閣総理大臣になりたいがための方便だった」と言われても仕方ないと思います。
僕は自民党をとりあえずは解体するぐらいの勢いが必要で、解体してからまた選び直せばいいと思っているという事です。
この点にご納得・ご賛同いただけた方がここより先の「僕なりの政党評価」について参考にしていただければ幸いです。
特にこれは現時点の僕の一意見、一視点ですので、「正解である」と強制するつもりはありませんからね。
今、それぐらい複雑な状況でありながら、日本の政治状況は深刻であるという事です。
質問者:
「正解」と言うのは一側面から見たものでしかないでしょうからね……。
ちなみに、具体的にどういう項目で評価していくんでしょうか?
筆者:
〇経済政策
〇政治改革(裏金議員への対応)
〇安全保障
〇社会保障政策
〇これまでのその党の歴史などの背景情報
この5点で評価していこうと思います。
点数としては「日本の国益にとって総合的にプラスであるか?」を基準にしたいと思います。
正直なところ「公約は反故される」と思った方がいいと思ってはいるのですが、
良い政策ほどお金が必要ですから、「突然良い公約はやってくれない」と言う要素があります。
そのために公約はある程度は参考にはなると思っているという事です。
それではこれらを前提にした上で、次の項目から各党の公約について両議院の議員数が多い順に見ていこうと思います。