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灰の産声燃える日に  作者: 観桜
春の終わり
1/2

ZERO -1

()()()から世界は変わった。


時は何千年も遡り、それはそれは綺麗だった宮殿の真ん中。

彼は言った。彼女を殺せば世界は救われると。

彼は言った。彼女が僕の居場所であり僕の夢であると。

爆発音が轟き、闇が世界を包む。

彼女は死んだ。


男は泣き叫び、少女は微笑む。


「僕は何度でも君と恋に落ちる。それは運命のように綺麗で、呪いのように穢れどす黒い沼に包まれている。だが、悪役になるだけで君を愛せるのなら……」


途切れ途切れに紡いだその言葉は、ひとえに塵となって雲ひとつない晴天の元へと散った。


______

空気の澄むとある秋晴れの日。


「こら、そんな急いでは怪我をするよ。」


「だって、ほら太陽が!!」


ふわふわと揺れるお下げを追いかけて山をかけ上る。どこかあぶなっかしくて、ころころと笑う鈴の声の持ち主は僕を急かす。


「みて、レイ様。魔法界ではこんなもの、なかなか見れないでしょう?」


きらきらと輝く黄金の瞳は、夕日を浴びてより一層光を放つ。


「あぁ、苦労して登ったかいがあったよ。」


心ごと温めてくれそうなほどぬくい小さな手のひらに僕の手を重ねる。


「でも、きみは危なっかしいから。手を繋いでいようね。」


そう言うと食べたくなるほど柔らかい頬はいちご大福のように紅色となった。


「レイ様ったら。父上の真似かしら?」


「そうさ。君は、僕が世界を捨ててでも守りたいものだからね。」


鈴転がす声をこぼす桃色の唇は、そっと弧を描く。物語のセリフを模倣したようなこの言葉を、幼い少女は優しく受け入れる。この子がいない世界なんて、誰が考えられようか。昼と夜を照らす夕日を見てそう黄昏れる。

__に出会ったあの日。僕の中で何かが動いた。新品のままホコリを被った歯車は、勢いをつけて僕の世界に光を灯した。


野に咲く花は春色に染まり、夏日の空を舞台にして黄金に輝く。秋風に揺れるすすきは冬の冷たい空気をぬくもりへと変える。


これは魔法界ができて数千年。僕が『愛』した彼女を殺すまでの物語。

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