写真!夜眠れないのでアナログとデジタルのことについてぼんやりと考えてみたら迷走した(4)
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(1)〜(3)にて、2つの仮説を立てました。
第1仮説: 何かしらの数量を「数えたらデジタルで、量ったらアナログ」です。
第2仮説: 何かしらの数量を「数値で表示したらデジタル、それ以外で表示したらアナログ」です。
これらの検証を進めて行きます。
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例えば写真。というかカメラかな。昔はフィルムを露光して撮すアナログ式でしたが、今はイメージセンサーの出力を数値化して記録するデジタル式ですね。デジタルカメラ(デジカメ)と呼ばれています。今ではスマホの付属機能かも。
カメラには静止画を写すスチルカメラと動画を撮影できるビデオカメラがありますが、主にスチルカメラのことを考えます。
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アナログカメラはレンズと銀塩フィルムがあって、撮影したフィルムを現像してネガができて、印画紙が、...まあ、アナログのことは良いですね。銀塩フィルム(ロールフィルム)とそれを使ったカメラはアメリカのコダック社が1888年に発売したのが始まりです。
1970年代には、CCD(や後にはCMOS)などのイメージセンサの開発が進みました。
CCD(Charge Coupled Devices、電荷結合素子)とは、1969年の発明で、半導体の光電効果を利用した、光の強弱を相応する電気信号に変換するセンサーです。発明者は後にノーベル賞を貰いました。
画素と呼ばれる、半導体を主とした小さな素子が縦横に並んでいて、1つ1つの画素で受けた光が電荷として蓄積されて、電気信号となります。イメージセンサーなどへ応用されました。1974年には100x100画素のセンサーが開発されています。
世界初のデジカメの発明は1975年のことだと言います。1974年の100x100画素のセンサーを利用。なお、発明者はコダック社の人。
量産品として販売されたのは1990年頃です。富士フイルム社の「FUJIX DS−X」、東芝社の「MC−200」、アメリカのDycan社の「Dycam Model1」などが1990年前後に発表、発売されています。
1995年3月のカシオ社の「QV−10」が世界初の液晶モニターを搭載した機種で、6万5千円で発売されたことがエポックの1つですね。
デジカメの発明から量産機までに15年を要したのは、CCDの開発の他に大容量のメモリーカードに必要なフラッシュメモリの発明が必要だったからでしょう。JPEGやExifと言った国際規格の制定、パソコンやプリンターの普及も背景にあるのでしょう。
カメラの歴史を調べ始めると、とても深い沼があって危険です。例えば、一眼用レンズとか危険です(お財布が!)。
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興味深いのは、今で言うデジカメが普及する前に、電子化されたアナログカメラが登場したことです。1981年のソニー社のマビカ(試作品)です。電子スチルカメラと言い、デジカメとは区別されています。
1984年に電子スチルカメラのための共通規格ができました。業界32社を集めた懇談会で決めたってさ。ソニーはベータマックスで業界との付き合いを学んだのです。
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この共通規格は、のちに国際電気連合(IEC)の国際規格(IEC1122、1991)になったそうですが、確認できていません。謎
「IEC61122:1992(Still video floppy disk magnetic recording system)」として存在を確認できました! そしてこの規格は1998年に廃止されています。
元資料の誤記ではなくて、IECの規格番号が変更された為でした。
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イメージセンサーの出力は電気信号でアナログです。これをADCした数値をメモリーカードなどに保存するのがデジタルカメラです。電子スチルカメラはイメージセンサーの出力をアナログ信号のままフロッピーディスクに保存するのです。
フロッピーディスクにアナログ信号を記録できるの?、と思われた方も多いと思います。
こここで思い出して頂きたいのは1980年頃の日本ではビデオテープレコーダ(VTR)が普及しつつあったことです。
そうです、ソニーのベータマックとビクターのVHSです。いわゆるビデオ戦争です。ベータマック方式は1975年5月に発売されたSL−6300が初の家庭用カラーVTRです。VHS方式は1976年9月に発表されたHR−3300です。
「ベータマックスはなくなるの?」と言う広告は1984年1月25日でした。ああ無残様が。
動画であるVTRの1コマを静止画として、磁気テープではなくて磁気ディスクに記録するのが電子スチルカメラであると、多少の誤解があるかと思いますが、そのような印象を受けました。VTRの技術を流用して電子スチルカメラが開発された気配がありますです。
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アナログカメラとデジタルカメラの違いは、写真を「ネガフィルムや印画紙」から「デジタルなデータ」にしたことにある。データなので、太陽にあたって劣化したりしないし、コピーや転送が容易だ。写メとか。
これは第2仮説に似ているが「表示」という言葉に収まらない感じがする。何か追加すべきではないか。
電子スチルカメラとの比較では、デジカメはADCを行う点が特徴ではないかな。デジタル式の温度計もADCをしていた。第1仮説の「数えたら」に「ADCしたら」を追加してはどうだろうか。
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ところで、ですね。アナログ式の写真もスキャンしてデジタル化すれば、デジタルになるのでしょうか? えっ、デジタル化したのだからデジタルですよね?
それと、デジタル式の写真はモニターに表示して見る分にはデジタルで、印刷したらアナログになるのでしょうか。
いや、モニターでもアナログなのかも? DVIやHDMIはデジタルインターフェースだけど、アナログRGBとかデジタルRGBとかあった気がする。使用するモニタによって違うの? あれれ?
測定や表示といった単純な場合なら、何となくイメージ出来たのですが、得られた値の処理については、どう考えたらよいのでしょうか。
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1つの考え方として、アナログやデジタルは表示方法の種類だと割り切ることがあるように思います。第1仮説を捨てるのです。
すなわち、もとの量や数が連続した値なのか離散的なのかには関係なく、アナログとは針の位置や角度あるいは電圧などの連続的な方法で表すことで、デジタルとは(有限桁の)数値で表すこと、と考えるのです。
離散的な値を針の位置で示すと、離散的な位置しか取らないので連続的な値にはならないのですが、これもアナログだとする考え方です。
モヤモヤしていた時計のステップ秒針を、これもアナログだと認めるのです。
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この考え方によれば、デジタルな写真のデータはデジタルですが、印刷するなどして濃淡で表示すれば、モノクロの2階調であってもアナログとなります。CDに記録された音楽のデータはデジタルですが、プレーヤーで再生して聴こえる音楽はアナログとなります。
銀塩撮影した写真とデジタルな写真はどこか違うという方もいましたよね。雑誌などでカラー印刷した写真は本物の写真とは別物とも。これはデジタル化する際のビット長(=ダイナミックレンジに関係する)が不足していたのかも知れませんけれど。
まぁ、今時のスマホなどのデジカメは吃驚しますね、月を撮影したときとか。
CDについても、レコードとは音が違うという方もいますね。レコードからは演奏家の感情が聴こえてくるとか、レコードの音は暖かいとか。
このような写真や音楽のプロ的な方の意見には私は何も述べることはできないのですが、もっと極端なケースで考えて見ました。
モノクロ写真を、モノクロのドットマトリックスプリンタで印刷するケースです。これもアナログというべきでしょうか。
ドット単位でオンとオフがあって、もとの写真のデータの各ビットの1と0に対応するのですよね? これは時計のステップ秒針と似ていますが違います。
これもアナログでよいのでしょうか?
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アナログとは連続的な量のこと、あるいは連続的な量を別の連続的な量に相応させて扱うあるいは表すこと、というのが本来の定義だと思いますが、これだけでは割り切れないのです。
アナログやデジタルは表示方法と割り切ると、デジタル式の電流計でもレベルメーター式に表示したらアナログということになります。
でも、第2仮説のみを採用して単に表示方法と割り切るのは、短慮かも知れません。もやもやします。
明日も迷走しますので宜しくお願い致します。
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2024.3.24 微修正。内容に変更はほとんどありません。
2024.4.18 微修正。内容に変更はほとんどありません。
2024.5.22 微加筆と推敲。
2024.11.17 推敲。