7話 組織の本拠地は案外わかりやすいところにあるものだ
「着いたな。ここに組織の本拠地があるのか」
「ええ、この町のどこかにいます」
グリムとアルの二人はアルの双子の姉を連れ去った組織の幹部を追い欧州のある田舎町に来ていた。
「今のうちに作戦でも立てるか」
「えっ、場所はまだ分かっていないのにですか?」
「いや、場所なら見当がついているんだ。だから作戦を立てよう」
「はい。分かりました」
二人は見晴らしのいい原っぱに寝転がり作戦を立て始める。
「ああ、あと作戦を立てる前に言っておきたいことがあるんだがいいかな」
「はい。良いですけど」
アルは不思議そうにグリムを見る。
「敬語はもう止めにしないか。歳もそんなに離れていないしため口でいいよ。というかその方が良い」
「そっか。うん、分かった」
グリムの言葉に笑顔で応えたアル。
こうして二人の親密度はより上がった。
「よし、話を戻すぞ。おれの考えている作戦はこうだ。夜に本拠地に忍び込み襲撃する。その後二手に分かれて俺は親玉のところを目指し、アルはリアを探す。とまあこんな感じだ」
「うん、だいたい分かった。でもなんで夜なの?」
「夜の方が一般人のことを気にする必要が無いからな。それに単純に忍び込みやすいからかな」
「分かった。それで行こう。今夜にも決行する?」
「ああ。だから今のうちに寝ておこう」
そう言うと荷物を枕代わりにして仰向けに寝る態勢になる二人。
「うん。おやすみ」
「ああ。おやすみ」
こうして二人は夜の作戦のために仮眠を取り始めるのだった。
◇
「起きろアル。もう行くぞ」
グリムはまだ寝ているアルを起こす。
「ん~。あー。おはよう‥‥‥。もうそんな時間?」
寝惚けながらアルはグリムにそう問う。
「ああ、この町の人間は全員寝たようだ。今なら容易に忍び込める。さあ行くぞ」
「うん。それで場所は何処なの?」
「ああ、場所か。ほらあそこに見える教会だと俺は睨んでいる」
「なんでそう思ったの?」
「あいつ等はいつも修道服を着ていた。だから関係があると思ったんだ。だが、まだ確定ではないからあの教会に近づいてお前が調べれるまではなにも言えないな」
「分かった。早く行って確かめよう」
二人は夜の町を駆け教会に着いた。
「よし、中には誰もいないな。どうだアル、この教会からリアがいることを感じるか?」
「うん。、この教会の下らへんからリアの存在を感じるよ」
「そうか、じゃあ乗り込むか。覚悟はいいか俺は出来てる」
グリムは乗り込む覚悟が出来たかをアルに問う。
「もちろん、覚悟は出来ているよ。最後まで付き合うよ」
「よし、行こう」
二人は教会に入り地下への隠し通路を見つけた。
「ここから入るみたいだな」
「そうみたいだね」
「心して入ろう」
「うん」
二人は狭い通路を通り地下の広い空間に出た。
「誰もいないみたいだな。二つに道が分かれているな」
「そうみたいだね。向かって右の道の先にリアがいる気がするよ。そっちに行く?」
「そうか、けど俺は左に行くぞ。その方向に俺の目的の奴がいる気がするんだ。だからここからは二手に分かれることになるな」
「分かった。また後でね」
「ああ、また後で」
二人はまた逢うことを誓いそれぞれの道を進むことにした。
◇
アルはグリムと別れた後、リアの元へ行くために感じるままに走って行く。
「この先の開けた空間にリアがいる気がする」
アルは狭い通路を抜け開けた場所に出ると足を止めた。
「いた、リア!」
アルは部屋の奥にリアの姿を見つけ駆け寄ろうとする。
「組織のために彼女を渡すことは出来ない。悪いがお引き取り願おう」
駆け寄ろうとするアルの前にリアを連れ去った金髪のおかっぱが立ちふさがる。
「お前はあの時の‥‥‥。悪いけどリアは返してもらうよ。例え力づくでもね」
「ほう、勝てる気でいるのか。組織の幹部であるこのアトスに」
「ああ、勝てるさ。僕は王様になる男だからね。家族を救えないような奴に国なんか守れないからな!」
そう言うとアルは武器を取り出しアトスとの戦闘に入るのだった。
◇
一方グリムはアルと別れた後、目的を果たすために組織のボスのいる場所に向かっていた。
「誰もいないな。このまま行けばあいつのいるところまですぐに着けるな」
グリムは武器庫らしき部屋に出た。
そこは部屋の隅々まで武器が飾られておりマニアックな物からポピュラーな物までたくさんの種類の武器があった。
「すごい数だな。どうやってこんなにもたくさんの武器を作れているんのか不思議だ」
そう独り言を言いながら歩いているとたくさんの武器の中に人影があることに気付く。
「おい、そこに誰かいるのか。出てこい」
すると武器の中から修道服を着た死んだ目をしたロン毛の男が出てくる。
「おや、君は確か死神だったかな。うちの組織を邪魔しているとかの。そんな君がここに何の用かな?」
男は落ち着いた様子でグリムに話しかけてくる。
「随分と落ち着いてるんだな。お前、ただ者じゃないな。最後の幹部なのか?」
「如何にも私こそが組織の幹部にして組織の頭目の右腕であるダルタだ。以後お見知りおきを」
ダルタは丁寧に挨拶をする。
その対応に対しグリムは武器を構える。
「悪いが悠長に話をしている時間は無い。早く始めよう」
「分かった。では始めるとしよう」
ダルタは拳を構え戦闘態勢に入る。
グリムは一気に間合いを詰め、刀で肩から胸にかけて斬り込もうとする。
だがその攻撃をいとも簡単に拳で弾かれてしまった。
「何っ!どうなっている」
「フフ、驚いたかな。私の使う拳法は銃弾ですらも弾く威力を持っている。君の攻撃は私には届かないということだよ」
そう言うと後ろに回り込み正拳突きをしてくる。
グリムは咄嗟に刀で受けたが耐え切れずそのまま後ろに吹っ飛んでしまう。
「くっ!随分と飛ばされたな。どこだここは」
別の部屋に吹き飛ばされてしまったグリムは周囲を見渡す。
するとダルタが誰かと話していることに気付く。
「すみませんアートルム様。武器庫で戦うわけにはいかずお部屋にお邪魔させていただきました」
「いいよ。早く済ましてくれるのならね」
「はい、承知いたしました。速やかに敵を排除します」
ダルタはそう言うとグリムの方に向かっていき拳で腹に一発入れてくる。
怯んだグリムは腹を抑え呼吸を整えようとする。
「やばいな。内臓が少しやられたか。まだ動けるがきついな。もうなりふり構っていられないな」
グリムはゆっくりと深呼吸をして精神を統一する。
刀を鞘に納めダルタに対し丸腰で挑んでいく。
「血迷ったか死神。武器なくしては私を倒すことはできない。ここまでのようだな」
「それはどうかな」
グリムはダルタの拳を受けながら何かを狙う動きを見せる。
グリムの拳は悉く躱される。だがグリムは諦めずに攻撃を続ける。
「何をしたって無駄だ。君は私には勝てない」
ダルタは攻撃の勢いをさらに激しくしグリムに隙を与えないようにする。
だが、その勢いを利用してグリムはダルタの下に入り込み腹を蹴り上げ後ろに飛ばす。
「俺の‥‥‥勝ちだ」
グリムはダルタの攻撃を受けながら付けていた手榴弾のピンを予め括り付けておいた糸を引くことで起爆させる。
ダルタは手榴弾の爆発により立つことがやっとの体になってしまった。
「ア゛‥‥‥」
ダルタは声にならない声を上げ何とか戦おうと拳を構える。
そんな状態のダルタに容赦なく刀を向け斬りかかるグリム。
グリムはダルタの左肩から右脇腹にかけて斬り、止めを刺した。
「さあ、次はお前だ。アートルム!」
次にグリムは今まで傍観していた組織のボスであるアートルムに刀を向けたのだった。




