6話 誰だって大きい浴場に行ったらテンションが上がるものだ
「中々速いなあいつ。攻撃が当てにくい。あとあのナイフ毒付いてるから攻撃されるなよ」
「分かりました。あと出来れば 広い場所で戦えればいいんですけど現実的に無理ですよね」
アラミスの攻撃を凌ぎながら二人は戦略を練る。
「隣には部屋があるんだよな」
「はい。両隣にありますけど‥‥‥」
「よし、任せろ」
そう言うとグリムはアラミスとは逆の方向に走り出し後ろにあった壁を切った。
「あなた何をやっているの‥‥‥?」
「広くしているんだよ部屋をな」
驚愕するアラミスにグリムは真顔でそう答える。
「そっちの壁も切らせてもらう」
「やれるものならやってみるのね。そんなことをしていて私の攻撃を避けられるのかしら」
アラミスは懐から毒付きナイフを十本出し戦闘態勢に入る。
「言ってろ。お前の攻撃はもう俺には効かない」
グリムは刀を手にアラミスの方へ走る。
それに対しアラミスはナイフを投擲する。
グリムは飛んできたナイフを避けずにその身で受けさらに勢いを増してアラミスに近づく。
「避けないなんて頭おかしいんじゃないの。あなた狂ってるわ」
「別に急所は避けてる。致命傷にならなきゃさして変わらん」
グリムはそのままアラミスを壁に叩きつけ壁ごと斬ろうとする。
アラミスは斬られるギリギリでナイフでグリムの攻撃を受け難を逃れ距離を取った。
グリムはしっかりと壁を壊し、体に突き刺さったナイフを抜いていく。
「さあこれで広くなったぞアル。これでいいか」
「はい。これで動きが読みやすくなりました」
「言ってくれるわね。死神はともかくあなたにやられる気はしないわ」
アラミスは二人の会話に不服を示す。
「アル、なめれてるぞ」
「そうですね。まあ油断してくれてる方が良いですけど」
二人は武器を構える。そして挟み撃ちの形で斬りかかった。
アラミスはグリムの攻撃を弾きつつアルの攻撃を避ける。
そして避けられたアルの隙を付き、太ももに毒付きナイフを刺した。
「これであなたは終わりよ。毒は十分以内に体に巡り動きを止める。そして三十分に意識がなくなるわ」
「すぐにお前を倒さなきゃいけないことは分かった。アル、お前は安静にしてろ」
「はい‥‥‥。すいません」
「アラミス場所を変えさせてもらう」
そう言うとグリムはアラミスの下の床を切りアラミスを下に連れて行った。
◇
「どこよここ。濡れてて滑りやすくて嫌だわ」
「ポルトスのようにはいかないわよ。組織のためにも死神、あなたはここで確実に始末させてもらうわ」
アラミスの始末宣言をよそにグリムは置いてあったシャンプーやボディソープの入ったボトルを集めていた。
「何をしているのかしら。あなたふざけているの?」
「もっと滑ったらお前は果たして立っていられるのか気になってな」
そう言いボトルのキャップを全部外し浴場の大理石の床にぶちまけた。
「やっぱりうまく広がらないな。水を加えればもっと広がってもっと滑るかな。なあお前はどう思う」
近くにあったシャワーを取りお湯でぶち巻いたシャンプーとボディソープを大浴場一帯に広げる。
「馬鹿じゃないの。お風呂に入れば関係ないじゃない」
「ああ、そうだな」
アラミスは風呂に入り攻撃の態勢に入る。
「いいのかその位置で、そこは俺の間合いの内だ」
グリムは刀を抜きヌルヌルの床を走り出すというよりも滑走しだす。
気づいたアラミスは避けようとするが足元のお湯で速く動けない。
「終わりだアラミス」
グリムは滑走によって得たスピードでアラミスに一直線で向かっていく。
逃げるのを諦め、構えるアラミス。
グリムは風呂の上を飛び少し回転しながら遠心力を加えていく。
「くっ。こんなはずじゃなかったのにぃ!」
アラミスは最後にそう言い残すと勢いを増したグリムの一撃にやられてしまったのだった。
「じゃあなアラミス」
◇
「アル、大丈夫か」
「はい。傷はもう大丈夫です。止血したので」
「毒は大丈夫なのか?」
「はい。グリムさんこそ傷は大丈夫ですか?」
「ああ、もう傷は全部塞がった。それより逃げた奴を追ういたいがもう追える距離ではないか」
グリムは城の周りを見渡してそれらしい人物が見えずがっかりする。
「いえ、場所は分かります。双子だからなのか分かりませんがリアの大体の方向は分かるんです」
「そうなのか。場所は何処なんだ」
「今東の方角の海を渡っています」
「分かった。早く向かおう」
「はい。港に案内します」
こうしてアルは連れ去られた双子の姉であるリアを助け出すために組織を追うことになった。
グリムはアルが居場所が分かることを利用して組織の本拠地に乗り込もうとしていた。
「やっと会える‥‥‥」




