4話 金髪碧眼の聖剣使いはみんなだいたい好き
「たこ焼き8個入からしマヨネーズ付き1つください」
「はい。538円です」
「じゃあ、これで」
「はい。1008円頂いたので470円のお釣りです。どうぞ」
お釣りを受け取ると買ったたこ焼きを大事そうに持ち食べられそうな場所を探す死神。
「良さそうな丘があるな。あそこで食べるか」
と街の開けた場所に位置する国営公園の一番広いエリアである原っぱの真ん中の丘に死神は腰を下ろした。
「んん、やっぱりたこ焼きはうまいな。このからしマヨネーズもいいアクセントで実に良いな」
死神は一人でブツブツと食レポをしながらモグモグとたこ焼きを食べる。
「はっ!はっ!」
すると死神は近くにいた剣を素振りしている青年に気が付く。
青年も死神に気が付き二人の目が合う。
すると青年は素振りを止め、死神の方にズンズンと近づいてくる。
死神は急に近づいてきた青年に警戒している。
「お兄さんもしかして騎士の人ですか⁉」
とその青年は死神の警戒とは裏腹にキラキラした目で死神に聞いてくる。
「ああいや、違うけど」
「そうでしたかすいません。雰囲気が強そうだったのと剣を持っているのが見えたので勘違いしてしまいました。本日にごめんなさい‼」
青年は凄い勢いで死神に謝る。
「ああ大丈夫だよ。それはそうと騎士って何だい?」
「騎士ですか?もしかしてお兄さん他の国の人なんですか?」
青年は不思議そうに翠色の目で覗き込んでくる。
「うん。そうだよ遠いところから来たんだ。あとちょっと顔の距離が近いかな」
「ああすいません!ええと騎士の話でしたね。騎士はこの国を守る最も尊敬されている職業です。僕も憧れていて日々鍛錬しているんです。」
青年は口早に説明する。
「そうなんだ。説明してくれてありがとう。ええとそういえば名前聞いて無かったな」
「そうでしたね。僕の名前はアルって言います」
「俺の名前は死がm‥‥‥。いやグリムだ、よろしくアル」
死神はアルを信用出来ると思ったのか滅多に言わない本名を名乗る。
「そうだ。早速ですしこの国のことを僕が教えてあげますよ」
「本当か!それはありがたいよ。ぜひお願いしてもらうよ」
死神ことグリムはアルが気に入ったのか一緒に行動することにした。
「早速だけど質問していいかな」
「はい。いいですよ、どんなことでも聞いてください」
「単刀直入に聞くけど君は王族だったりしない?」
「いえ違いますけど、どうしてそう思ったんですか?」
「いや金髪にその翠色の目、おまけにその聖剣みたいなの持ってたから。そんなの王様の血筋的なもの考えるのは必然だよ」
グリムは謎の偏見でアルに変な質問をする。
「まあ血筋は引いてるとかなんとか母が言ってたような気がします」
「金髪翠眼の聖剣使いは王様の関係者だと相場は決まっている」
「へえーそうなんですね。ちなみにこの聖剣はその先祖の王様が使ってたらしいです」
「じゃあすごく強いのか⁉」
グリムは珍しくテンションが高くなりアルを質問攻めにする。
「いえ、この聖剣を扱うのに僕はまだ力不足で双子の姉と一緒に使った一度しか力を引き出せなかったんです」
「そうなんだ。でも王様じゃなくて騎士になりたいんでしょ」
「王様になるよりも大切な人達を守ることの出来る騎士の方が良いと思ったからです」
アルは真っ直ぐな目で何気なく言う。
それはグリムからすると眩しくて何とも言えない感情が出てくる。
「そうか」
グリムは言葉を詰まらせてしまい会話が止まってしまった。
「えっと、これからどうしましょうか。もし行きたいところとか無かったら家に来てください。さっき話した双子の姉と家の世話をしてくれている人に会って欲しいので、ぜひ‼」
アルは少し元気が無くなったように見えたグリムに気を使い、提案をする。
「ああそうしようかな」
グリムはアルに任せることにして、アルの家へ向かった。
◇
「着きました。ここが僕の家です」
グリムとアルはしばらく話しながら歩き目的地に到着した。
「てかさ、三人で住んでるにしては家が大きくない?」
グリムは目の前の屋敷を見て驚きながらアルに問いかける。
「ああ、これは国の所有物だったもので今はいろいろあって貸してもらってるんです」
「へぇー、そうなんだ」
「はい、どうぞどうぞ入ってください」
「ああうん。お邪魔します」
アルが国の所有物にどうして住んでいるかは追及せず家に上がるグリム。
「あれ誰もいない‥‥‥。まだ帰ってきてないのかなぁ。」
「話してた二人のこと?」
「そうです。紹介したかったんですが今は出払っているみたいです。残念です」
「いや、大丈夫だよ。良ければ待つし」
「はい!くつろいでいってください‼」
グリムの気の利いたフォローに一瞬にして落ち込んだ様子から嬉しそうな顔をするアル。
それから他愛ないやり取りをいくつか繰り返し二人は昼下がりのティータイムに突入した。
「ん!これおいしいな」
「この国でも有名な洋菓子店の一番人気のシュークリームですから」
「この紅茶もおいしいな!」
「ごく一部の上流階級の人しか飲めないとされる高級茶葉ですから」
楽しそうにティータイムを過ごす二人をよそに外からドカンと大きな爆発音がしてくるのだった。




