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秩序という名の死神  作者: 真田遼一朗
第一部 死神と秩序
3/8

3話 オリーブオイルはからだに良い

「おい店長そのオリーブオイル三つくれ!」


「あいよ、三つで598円だよ」


 ここはオリーブオイルの町オレイン。地中海に面したこの町はオリーブがたくさん育ちやすくとても美味しいことで有名だ。


「はい。これでぴったりだろ」


「598円丁度いただきました。こちらレシートです」


「ああ」


「ありがとうございました!」


 自称死神はこの町に来て早速オリーブオイルを購入していた。


 買ったオリーブオイルをビニール袋に入れ肩に引っ掛けて提げるとぶらぶらと街を歩き出した。


 それを死神から四丈程離れたところから修道服を着た大柄で灰色の坊主頭の男が不敵な笑みを浮かべ見ていた。


「いらっしゃいませ。お一人様ですか」


「はい。一人です」


「店内かテラス席のどちらにしますか?」


「テラス席で」


「かしこまりました。こちらへどうぞ」


 それをよそに死神は洋食屋に入っていく。


 それに続くように男も店に入りテラス席の方へ行く。


「なあ隣の席いいか?」


 驚いたことにいけしゃあしゃあと男は死神に話し掛けてきた。


「ああ、いいけど。けど、目的はなんだ俺の始末か?」


「まあそんなことだが、お前のことをよく知ってからにしようと思ってな」


「そうかよ。けど、お前の知っている情報は全部話してもらうぞ」


 死神は笑いながら話しかけてくる男とは対照的に表情を一切変えずに注文を済ますと淡々と話していく。


「まず自己紹介でもしようかね。オレはポルトス、ケイオス教会の四人いる幹部のうちの一人だ。はい次はお前の番だぜ!」


「俺の名前は死神だ。以上」


「ご注文いただいたコーヒー二つです。どうぞ」


「「ああはいどうも」」


「おいおいそれだけかよ。てか絶対本名じゃねえだろ。まあいい次は目的を教えてくれ、今度はお前からな」


「俺の目的はお前ら組織に捕らえられている俺の恩人を助け出すことだ。あとついでに組織とそれに関係のある国の粛清をして回っている。以上」


 死神とポルトスは頼んだコーヒーを啜りながらお互いの情報を出し合う。


「そうかそうか、ついででオレ達組織の邪魔をしていたとはな。お前面白いなハハハ」


「そんなことより組織の情報を教えろ」


「ああそうだったな。まあ全部はダメだが組織の目的と近況なら教えてやるよ。それでもいいか?」


「分かった。教えろ」


「ああまず目的だな。目的はざっというとだ、今争いが激化し混沌としている世界を近代兵器を色々な国にながすことで更に活発化させ崩壊させることだな」


「なるほどだから取引ではなく何の対価も無く渡していたのか」


 死神は今までの疑問が腑に落ちたように頷く。


「ご注文いただいたサラダです。どうぞ」


 死神の前にウェイターがサラダを置く。


「いや俺じゃないそっちの坊主の方だ」


「すみません。ドレッシングはこちらです」


「ああありがとう」


ポルトスはサラダを受け取ると話を再び元に戻す。


「その通りだ。お前が今まで滅ぼした三つの国も近代兵器を流している途中だったというわけだ」


「何も疑いもせずに武器を受け取るような腐った国を元からターゲットにしていたということか」


「ああそんなところだ。まあ第一まとな国なんてあと僅かしか残ってないけどな」


 ポルトスは注文したサラダを食べつつ話す。


「よし目的はこんなところだ。次に組織の近況を教えてやるよ。結構貴重な情報だからちゃんとメモとるの忘れんなよ!ハハハハハ」


「いや早く教えろよ!」


「ああ悪い悪いテンション上がっちまってな。よし本題に入るとだな、ボスが西欧の島国に組織の妨げになる存在がいるらしいっていうもんだからな、それを回収か排除するために幹部二人で向かったらしいぜ。だからオレをもし倒すことが出来たら行くといいぜ」


「ご注文いただいたナポリタンとカルボナーラです」


 死神はカルボナーラを、ポルトスはナポリタンを無言で受け取ると物凄い勢いで完食した。


 そして二人は無言で立ち上がると互いに武器を構えこう言った。


「「負けた方が支払いだ‼」」


 二人の戦いが始まるとその場にあったテラス席が全部吹っ飛び、近くにいた人々は逃げていく。


 まず死神が持っていたオリーブオイルの瓶でポルトスの左肩をぶん殴りオイルまみれにし距離を取る。


「小賢しいマネしてくるなあ死神ぃべとべとになっちまったぞハハハハハ」


 瓶で殴られたのにも関わらず気にする様子も見せずに笑い余裕を見せるポルトス。


「化け物みたいな硬さだな」


「ハハッ、それはお互い様だろハハッ!」


 少し会話を交わした後死神はポルトスから距離を取るために逃げる。


「おいおい逃げていいのかぁ。オレの武器の射程からは走っても出れねぇし遮蔽物も意味をなさねぇぞハハッ」


 と言いながらポルトスはロケットランチャーに弾を込め照準を死神に合わせる。


「至近距離でロケラン喰らうよりかはマシだ。距離を空ければ避けるのは容易い」


 そういうと飛んできた弾をバク宙で避ける。


「ハッ。なんで避けれるんだよ。カラダどうなってんだよ」


 ポルトスは笑いながら次の攻撃のために死神を見失わないように補足するため走って追う。


「のろいぞポルトス。そんなんじゃ俺は追えない」


 そう言うと入り組んだ住宅街を使ってロケランの射線と爆撃範囲の外側に逃げる。


「ここまでくればいいか。さてこれからどうするか」


 死神は充分に距離を取り住民が逃げて空になった民家でこれからの動きを考えていた。


「もうこのまま逃げればいいじゃない」


「駄目だよ先生。どうせ倒すまでしつこく追ってくるし、幹部はできるだけ一人ずつ倒しておきたい」


「じゃあどうするのよ」


「隠れていても遮蔽物を壊してくると思う。だからこのまま隠れずに瓦礫を盾にして距離を詰めて近づき撃った後隙を狙う手で行く」


 そうして死神はポルトスの位置を確認すると住宅街を出て近くの瓦礫に身を隠す。


 そして使えそうなものを確認するとポルトスが警戒している方向とは逆から近づいていく。


 ポルトスが撃った次の瞬間、その後ろから死神が走りこんでくる。


「こんなに近づいていたとはな。だが甘いぜ。装填から発射までの時間、簡単にやられるつもりは無いぜ。ハハッ!」


 ポルトスは後ろからきた死神に気付くと弾を装填してロケランを担ぐ。


 死神は右手に刀を持ちポルトスに斬りかかるが担いでいたロケランで防がれてしまう。


「どうした。こんなもんかよ!」


「うるせぇ、黙ってろ」


 そう言い左手に持っていた火炎瓶を転がす。だが、ポルトスには避けられてしまう。


 すかさずもう一本の瓶をポルトスの頭蓋目掛けて振り落とすもロケランを使って防がれてしまう。


「なんだこれは、さっきのオイルか‥‥‥?」


 が、割った瓶からはオリーブオイルが出てきてロケランがオイルまみれになってしまった。


「これじゃあロケランが使えねぇぞ。やりやがったな死神ぃ!」


 武器無しでも襲い掛かりにくるポルトス。


 それに対し刀で体を切りつけ怯ませる死神。


「これで終わりだ」


 死神がそう言うとポルトスの腹を蹴り後ろに転がした火炎瓶を踏ませる。


「うわああああああ。熱いぃぃぃぃぃ」


 体に付いていたオイルも相まって炎が勢いを増しポルトスを苦しめる。


「なかなか強かったよ、ポルトス。じゃあな」


 燃えているポルトスの最後を見ずに死神はその場を後にした。

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