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秩序という名の死神  作者: 真田遼一朗
第一部 死神と秩序
2/8

2話 腐ったものは脆く壊れやすい

「はあ‥‥‥。くそ、こりゃあ面倒くさいことになったな」


 喫茶店から逃げた死神はひとけのない路地に隠れていた。


「どうするのこれから」


 と心配そうに自称先生は尋ねる。


「こうなったら国の偉い人がたくさんいる城に乗り込むしかないな。何か大事なこと知ってる奴一人はいそうだし」


 そう言うと死神は建物の壁と壁を蹴って屋根に乗った。


「んじゃ、行きますか」


 そして建物の屋根伝いに城に向かった。


「さて、どこから入るかな」


 城は周りに高い塀があり、唯一の入り口である門には強そうな門番が二人いてばれずに侵入するのは誰から見ても難しく思える。


「じゃあこのまま最短距離で行くか」


 そう呟くと刀を構えて助走を取り勢いをつけて城の塀に向かって屋根から飛んだ。その後、轟音が鳴ると塀をぶった斬った黒い死神が煙と瓦礫の中に佇んでいた。


「意外と脆かったな。まあいいか」


 死神は体に付いた土埃を払いながら城の窓から中に侵入した。


 城に入った死神は途中に邪魔なものを壊しながら階段を上り最上階に向かう。


 幸い下の階の衛兵は外の塀が壊れたことに対処するため全員出払っていた。


「ここまでは順調だな。さて、今回の国はあたりだといいな」


 死神は最上階の部屋の扉を開けながらそう呟く。


 そこにはこの国の王と位の高そうな人が数人と修道服を着た怪しげな五人組が話していた。


「おや、来たようですね」


 修道服を着た五人組の一人の眼鏡を掛けた男が言う。


「なんか妙に落ち着いているな。俺が来ることが分かっていたのか?」


 そう死神は修道服の男たちに問う。


「君は我々組織の敵として認定されているからね。先回りさせてもらったよ」


「そうか、そっちから来てくれるとは好都合だ。俺の質問に大人しく答えてもらおうか」


「おいおい。何勝手に話を進めているんだ。うちの国を滅茶苦茶にしてただで済むと思っているのか」


 と王らしき見るからにガラが悪い男が怒りながら言ってくる。それに合わせるように他の偉そうなおっさんたちも怒りながら何か言い出した。


「うるさい。そんな奴らとつるんでいる国のことなどどうでもいい。第一、お前ら身分が高い奴しかまともな生活が出来ない腐っている国など壊した方がいいしな」


 死神はそう言い放つと持っていた刀を構えた。


「もとより我々も話し合いをするつもりは無い。組織の障害になるお前はここで排除する。いくぞ、お前ら!」


 修道服五人組のリーダーらしき男がそう叫んだ。


 すると、五人全員で死神を囲み銃を構え一斉に撃ってきた。


 死神はギリギリのところで避け一番近い小太りの男に近づき腹に二発蹴りを入れた。


 そうすると男は宙に浮き隣の眼鏡を掛けた男の上に吹っ飛んでいった。


 陣形が崩れたことで生じた隙を逃さず死神はこの部屋に一つしかない石柱に身を隠す。


 すかさず残った三人の修道服の男たちは銃で石柱を撃って壊そうとする。


 そして石柱の太さが半分になった。 


「いいのか。この石柱を壊して」 


 とその時死神が妙なことを言い始める。


「はっ!命乞いか。諦めろ。これで終わりだ」


 そうリーダー風の男が言うと死神はこう告げる。


「教えといてやるよ。勝ったと思ったその瞬間は人間は油断するもんだってな。そしてそれを俺は見逃したりはしない」


 なんと死神は半分壊れていた石柱を刀で壊し三人の男の内リーダー風の男の片腕を斬り残りの二人の足を突き刺した。


「さあ質問に答えてもらおうか」


 死神はりリーダー風の男に問う。


 だが、その男は苦し紛れに自分の血で死神に目潰しをしようと飛ばしてきた。


 死神がその目潰しを避けた隙に男は懐から発煙弾を取り出しすかさず足元に投げてきた。


「覚えてろよ。絶対にお前は我々組織が排除する」


 と負け犬の遠吠えのようなことを言い残してその場から去っていった。


「はあ‥‥‥。逃げられちまったか。あいつが一番知っている風だったんだけどなあ」


 死神は残念そうに言いながら窓に近づく。


「待て、国を滅茶苦茶にしておいて逃がすと思っているのか」


「もうお前らに用は無い。この国と同じように崩れて死んでいくんだな」


 そう死神は国の王を含めた偉そうなおっさんたちにそう言うと窓から飛び降り城壁に何回か斬撃を加え落下の勢いを殺し地面に着地する。


 斬撃を喰らった城はみるみるうちに崩れて壊れてしまった。


「せっかく組織に近づく機会が巡って来たんだ。それを逃がしたりしない」


 死神はそう呟きその場を後にした。




        ◇




「はあはあ‥‥‥。ここまでくればもう大丈夫だな」


 片腕を失った男が疲れた様子で森の中の小屋に隠れる。


 すると窓に人影が映る。男に緊張が走る。


 が、小屋に入ってきたのは男のよく知る人物だった。


「おいおい。どーしたよお前、ボロボロじゃねーか」


「すみません邪魔者の排除に失敗してしまって逆にチーム全員返り討ちにされてしまいました」


「ああそうか、やられたのか。じゃあ幹部であるオレがそいつをぶっ殺してやるよ」


 そういうと自分を幹部と言った男は邪魔者のことを聞くとすぐに小屋から出て走って行ってしまった。


         


        ◇




「完全に見失ってしまった。まあしょうがないな。切り替えていくか」


 一方完全に逃げた男を見失っていた自称死神は追うのを諦め次の目的地に向かうことにしていた。

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