あさり生活一日目!
私、あさり!!
いっぱい洗われて砂ぺっぺしたところ!!
私、あさり!!
お水と白い砂みたいなのに囲まれてちょっと安心!! あ、暗くなった。
ちょっとお水温かくなってきたなぁ。
……暑い。暑い暑い熱い熱い熱い熱いアツイ!!
嫌だ熱い助けてまだ死にとうない死にとうない誰か誰かっ……!!
………。
炊飯器の蓋が空いた。
私は今生まれた。
あさりごはんとして生まれ変わった。
そして、もうじき死ぬ。
光の先から現れたしゃもじが、無造作に私に差し込まれた。
これから私は死ぬ。
その時、私を乗せたしゃもじが小さくすすり泣く声が聞こえた。
お茶碗に下ろされた時、しゃもじと目があった。
「ごめん、ごめんなぁ……」
しゃもじは泣いていた。
あぁ、泣かないで。あなたが悪いわけじゃない。
お箸に乗り死地へと向かう私に、しゃもじは少し離れた所でひたすら謝り続ける。
そっと閉じ行く唇の向こうに、しゃもじの涙が光っていた。
……。
なんと言う事でしょう!
目を覚ましたら、見覚えのある景色! 身に覚えがある肌に馴染まない水質! 無意識にぺっぺしちゃう砂!
私、またあさりになってる!?