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夏の終わり

作者: みのり

夏が終わると一つ年をとる。精神的にって意味だけじゃない、僕の場合、実際一つ年をとるのだ。誕生日が9月2日だから。2学期が始まって早々で、皆は夏休み何をやったかあるいは学期始めのテストなのでいつも僕の誕生日どころじゃない。学生の頃はだいたいそんな思い出だ。自分自身、夏休みが終わって皆に会えるのを楽しみにしているので、そこまで誕生日のことを気にしてなかったかもしれない。しかし、夏が終わると淋しい。もっとも最近では9月2日なんて全然まだ夏じゃないかってくらい暑いかもしれないけど。フジファブリックのあの歌の歌詞


最後の花火に今年もなったな

何年たっても思い出してしまうな


そのくらい夏が終わるのはドーンっと大きい。そういえば仲のよかった女の子とプールに行く約束をしていたけど、流れてしまったな。その子に誘われると二人だろうがグループだろうが行っていたのだが。やっぱり水着姿をみせれるほど、僕のこと好きじゃなかったのかもしれない。友達以上恋人未満ってとこなのか・・・。彼女も就職活動の末に大阪の会社に内定が決まったらしい。もともと鹿児島出身の女の子だから地元が近くなるなんて喜んでいた。彼女と知り合ったのは大学時代、バイト先でだった。僕は3年の4月、彼女はそのとき2年になりたてだった。いろんな大学の子がそのバイト先のトンカツ屋には来ていた。有名大学の子も少なくなかった。渋谷駅前の109-2の上で便利な場所にあったせいかもしれない。彼女とはいろんな話をした。でも、最初はバイト仲間と一緒に飲みに行くことが多かった。ある時、僕ともう1人の男の仲間と彼女と3人でカラオケに行くことになった。新宿の高島屋で待ち合わせた。でも、もう1人の男友達は急に来れなくなった。彼女の方をみると・・・ふいに僕はあることに気付いた。彼のこと好きだったんだ・・・。気付いたはいいものの、口に出すことはできなかった、イヤ、出したくなかった。僕の気持ちもけっこうあやふやなものだけど、彼女にはかなりの好感を持っていた。これから先、もしかすると発展するかもしれないという見込みもあった。別の男の話なんてなるべくしたくない。僕は彼女の話をただ聞いてうなずき、そのまま2人でカラオケに行った。カラオケで手を握るでもなく、キスをするでもなく、ただ歌ってしゃべって何事もなかったかのように時間はすぎ、そのままその日は別れた。


あれはいつだったか・・・もう彼女がそろそろ大阪に行くんじゃないかというぐらいの3月の晩に2件伝言が入っていた。

「今日の夜、会いたいからそっちに行ってもいい?」

というのと、その後に入れたらしい

「やっぱり・・・やめるね」

この間、20分ぐらいだった。僕はこの留守電に対して何のアクションも起こせなかった。「やっぱり・・・やめる。」これが僕と彼女との全てのような気がした。仲はいいけど、このまま友人の方が楽だとお互いの心がもう答えを出しているようだった。好きだと告白する必要すらない、何もかもわかった上での別れだってあるのだと僕は急に思った。15年後ぐらいにはきっとお互い、別々の人生を歩いていることだろう。その時になつかしく思い出したりすることがあるのだろうか・・・。


夏が終わると一つ年をとる。僕の場合、実際一つ年をとるのだ。

2010年に書いたものをはじめて公で発表しました。

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