アレへの褒美
タンゴ国王にアレが謁見したのはその数日後である。品種改良されたゴビの解析が進んでいるという。集まったのは司法庁長官、研究所所長ばかりではない。ヨウゲンやタイゲンの古参、メイ士コユウもいた。ゴダンは一命をとりとめ、今後は裁判になるという。ヨウゲンの、これはいわば不始末をタイゲンのダイメイ士が処理した、そのことについて是非を含めての審議となった。が、おおむね評価するものだった。それほどまでにゴダンの支配というのが圧政に近く誰しもが懸念していたということである。
その功労者アレに褒美というのは当然の話となった。賞与や昇級といった案がある中で、国王がアレにお尋ねになった。希望はあるかと。
「はい。恐れながら一つ。私はダイメイ士の仕事に誇りを持っております。が、同時に不自由さも感じております。友人や同僚にもダイメイ士としては我が強いのではと苦言を呈されたのも一度や二度ではございません。そこで、僭越ながら申し上げます。ダイメイ士とは別の役職、自由に役目を全うできるような役職をお与えください」
アレは跪いて恭しく頭を下げた。そこいた重役らが一斉に見たのはアレではない。メイ士コユウだった。アレは退出となった。議論もそう長くはならなかった。