311に寄せて
月が落ちていく
貴方も堕ちていく
絶望の瞳の中に私が映っている
この邂逅に一体何の意味があるのだろう
炎と煤にまとわれた貴方の頬に触れたいと
この一瞬に欲する私はなんとがめついのだろう
私の首と耳朶にきらめくダイヤモンドでこの望みは叶えられたりするのだろうか
月が墜ちていく
貴方も堕ちていく
私は太陽に落ちていく
お互いの重力は何の干渉もしていない
貴方の絶望と私の驕りは決して交わらない
それなのに
私の眼は、何故、貴方を捉えた
貴方の瞳は、何故、私の無様を映した
月は堕ちていく
貴方も落ちていく
炎と煤と絶望ととともに