魔王とトランスジェンダー
魔央 「トランスジェンダーとはなんだ?」
勇 「うーん、女の人なのに、男の体で生まれてきちゃった人みたいな感じかな?」
魔央 「器と魂がちぐはぐになっているという事かの。」
勇 「まあ、そんな感じ?にしてもなんで?」
魔央 「いや、なんぞ女子テニスにトランスジェンダーが参加するのはズルいとかいうニュースを聞いてな。変形する何かかと思ってな。」
勇 「トランスフォームはしないね。」
魔央 「ところでカクレクマノミは男子女子どっちに出ればいいのじゃ?」
勇 「いや、カクレクマノミはテニスできないでしょ。」
魔央 「では、カクレクマノミの魂を男子の肉体に憑依させたら女子テニスには出れるのか?」
勇 「カクレクマノミがオスかメスかに依るんじゃない?」
魔央 「カクレクマノミは状況によって性別が変わるぞ。」
勇 「じゃあ、解らないよ。」
魔央 「そんなことでは、カクレクマノミ系男子がテニスができないではないか。」
勇 「別にいいよ。そんな男子いないから。」
魔央 「ならば、わしが作ってやろう。」
勇 「いらんことしない。そんなことしたらおまえ魔力無くなって死ぬでしょ。」
魔央 「ふむ、ではアンドロギュヌスのゲルメディアブローヴはどっちに出ればいいのじゃ?」
勇 「え?アンド?ゲルアロなんだって?」
魔央 「男女どっちの身体的特徴も持ってたわしの四天王じゃ。お主、自分の倒した相手くらい覚えておいてやってくれ。うかばれん。」
勇 「ごめんよ。というか、性的にマイノリティすぎて判断付かないよ。人間じゃないし。やっぱり出れないんじゃない?」
魔央 「なんじゃ、普段平等がどうの謳っとるのに、結局は個体で差別するのか。」
勇 「人間ORノット人間くらいは許して欲しいんだけど。」
魔央 「何をいうか、向こうの世界では亜人だろうが獣人だろうが仲良くやっていたではないか。そもそも、トランスジェンダーだのLGBTだのの概念が有らんわ。なんでかっこいい名前つけて喜んどるのか理解ができぬ。」
勇 「あっちリベラルだったよね。男同士とかでも結婚してたし。」
魔央 「なぜ、こっちの世界は人間の中の個性を認めんのじゃ?」
勇 「さあ、宗教的にそういうのダメっていうのがあったてのは、聞いたことあるけど。」
魔央 「こっちでも、宗教か。まったく宗教というのはロクなことを起こさんのう。」
勇 「そういうこと口に出すのやめようね。」
魔央 「大体、こっちの世界の僧侶どもはほとんど何もできんじゃろが。せいぜい、できても死んだ人間の魂を呼べるくらいではないか。」
勇 「そういうの、絶対にネットとかに書き込んじゃだめだよ。特に後半。」
魔央 「その宗教とやらはロリコンは禁じておらんのか?」
勇 「聞いたことないよ。宗教が禁じてなくても倫理的に駄目だよ。」
魔央 「だから、LGBTLではないのだな。」
勇 「LGBTと一緒にくくっちゃだめでしょ。怒られるよ。」
魔央 「なにを言うか、どちらもただの性的趣向ではないか。なぜLGBTばかりが差別されるのじゃ?」
勇 「ロリコンは差別しなくても軽蔑されてるからじゃないかな?」
魔央 「思ってるだけならよかろう。」
勇 「思ってるだけならね。」
魔央 「トランスジェンダーとLGBTとロリコンのテニス大会も作るべきじゃろ。」
勇 「後半、特にロリコンは要らないんじゃないかな。あと、なくすべき差別はそこじゃないよね。」
魔央 「そもそも、よく考えてみたら、なんで男子女子で分かれているのじゃ?全員一つの大会に出したら良かろうに。」
勇 「この世界だとマナの影響がないから、どうしても力を使うスポーツは男子が強くなっちゃうんだよ。」
魔央 「なんじゃ、肉体構造が理由で男子女子を分けているのならば、カクレクマノミ系男子は男子テニスに出るべきではないか。」
勇 「たしかにそうだね。」
魔央 「ならば、トランスジェンダーじゃろうと男の体のテニスプレイヤーは女子テニスに出てはまずいじゃろ。」
勇 「いや、それはどうだろう?」
魔央 「なぜこっちには納得せん。」
勇 「この世界には明確な答えを出さないほうが良いこともあるんだよ。あとここまでの流れは絶対に不特定多数の目につくところに書き込んだりしちゃだめだよ?」
魔央 「そもそも名前の付け方が紛らわしいから、このような齟齬が出るのじゃ。」
勇 「名前?」
魔央 「きちんと男体テニスとか女体テニスとか呼んでおけば明朗じゃったろうて。」
勇 「思ったより名案。でも、女体テニスって響きが一部から批判を浴びそう。」
魔央 「そもそも、男子、女子って年齢じゃなかろうに。」
勇 「その話は現実でも口にしないようにしようね。」
魔央 「言葉の線引きを明確にせんから、尖閣諸島も・・・」
勇 「撃っては行けない方向すべてに言葉の弾丸を放つのはやめて!」