魔王と手品
魔央 「手品とはなんだ。」
勇 「久々に子供っぽい質問。」
魔央 「こないだ学校の講演会で見たのだ。」
勇 「じゃあ、知ってんじゃねえか。」
魔央 「だがな、魔力反応もなしに人間が消えたのじゃぞ?」
勇 「ああ。手品は魔法と違うよ。」
魔央 「なんじゃと!? じゃあ、あいつはどうやって消えたのじゃ!? なにが行われたというのじゃ!」
勇 「いまさら!?」
魔央 「箱の中からな、女の人が消えたのじゃ。 どうしたら魔法もなしにあの箱から出られようというのか!」
勇 「知らないよ。なんか抜け道があったり、隠れる場所があったりしたんじゃないの?」
魔央 「しかし、種も仕掛けもありませんとか言ってたぞ?」
勇 「あるんだよ。」
魔央 「嘘をついたのか!?」
勇 「夢を紡いだんだよ。」
魔央 「魔法でよかろうに。」
勇 「使えればね。」
魔央 「なんだってそんなめんどう臭いことするのじゃ?」
勇 「魔法使って無いって知って、魔王もおどろいたでしょ?」
魔央 「確かに。」
勇 「だから、すごいんだよ。」
魔央 「そうか。だから消えた人間を魔法で戻しておいてやったら、なんかすごく慌てとったのか。」
勇 「なんてことしたの!!」