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400回目の誕生日  作者: 黒い折り紙
3/5

401回目の誕生日・前編

 また目が覚めると8時26分。祝うべき、401回目の誕生日だ。それを確認するようにスマホを手に取って日付を確認する。

間違いない。またあの日だ。「昨日は」、と言っても僕にとっての昨日だが、余り良い終わり方じゃなかった。まさか高所から飛び降りて、トラックに轢かれて終わるとは思わなかった。


 だが記憶はハッキリ残っている。あの決意もしっかりとこの胸にある。このループ生活から抜け出す方法を探そう。


 そうして僕は早めに着替えて、家を出た。家の前では未だ事故が起こっていない。そこで、僕は事故が起こっていた場所に行った。そこには粗大ゴミが置かれていた。モノはこの際どうでも良い。重要なのは、このゴミを避けようとしたバイクが、後ろから走ってきた車にはねられるのだ。僕は、その粗大ゴミを一生懸命に、一人で移動させた。人に見られたらかなりヤバい光景だと思うが、このループから抜け出すには恥も外聞もない。


 そして少し待つと、バイクが走ってきた。ある意味、僕にとっては顔見知りの知り合いと言える。彼が近づいてくると、後ろから例の車が走ってきた。だが用意は完璧。目の前でバイクが車に追い抜かれていった。何事もなく、被害者も容疑者も生まれなかったわけだ。


 このクソウザイ生活の中で数少ない、心が安まる瞬間だ。人助けとして周りから認めてもらえないのは癪だが、自分的には満足している。この世界を少しは変えることが出来るのだ。始まりは操作できないが、終わりに向かう道筋はある程度改変する事ができる。この事実は未だ僕に希望を持たせてくれる。


 前には、朝のニュースをしている時間に合わせて現場に赴き、綺麗な女性がカメラに向かっている後ろでふざけたポーズをした。その番組を録画して見てみると、ちゃんと僕が映っている。女性は困った顔をして、スタジオにいる大物アナウンサーは僕のことに触れざるを得なかったようだ。勿論、1回目の21歳の誕生日にはそんなふざけた行動はとっていない。つまり、ループごとに世界はリセットされるが、僕の行動によってある程度世界は変わる。一応言っておくと、海外サッカーのチームを必死に応援しても、しなくても、結果は変わらない。非常に近しい環境を変える事しか出来ないということだ。


 とまぁ、何度も救ってきたバイクの運転手を最後まで見送ると、今日の最後を軽く予想しながら、スマホを見た。

「どうすれば、このループ生活から脱出できるだろうか。」

その瞬間、今までの悪事が脳裏に浮かんだ。そのことについては後で語ろうか。


 僕はタクシーに乗るため最寄り駅まで向かう。目的地は、いつもの図書館だ。

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