表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ホラー・ホラー風味

便利な判別機【夏のホラー2020 投稿用】

作者: まい

 小さな反逆。


 駅は現代に有るものばかりじゃありません。


 それと、電車の駅だけじゃなく、バスの駅だってあります。


 そして中世風ファンタジー世界にだって。



7/29 オジサンとの掛け合いを少し追加

 ルルはルルと言います。


 ルルは王都に住んでいる平民で、今日はお母さんにお使いを頼まれて、日帰りで近くの村まで行く予定です。


 でもルルの足じゃあ往復に何日もかかるの。


 なら、どうするか?



 そう、ルルの人生ではじめて、ひとりで乗り合い馬車……駅馬車とも聞きますね。 を、利用するのです!


 その為に、乗り遅れないよう早め早めで、ルルは停車場……駅まで来ました!


 お使い用にいつもより少しだけ良い服でおしゃれして、いい気分です。 ルンルンなのです!



 それで出発まで待っている人用のベンチに、お使いの荷物をかかえて座っていたのですが…………。


嗚呼(ああ)……(うら)めしや。 怨めしや、ファリン。 貴様さえ、貴様さえ婚約者でなければ……》


 なんか聞こえてくるのです。


 周りを見てみても、誰も聞こえてないのか、平気でみんなボンヤリしてます。


 発車の時間はまだかな~って、みんなしてアホ(づら)下げて、空を見てたりしゃべったり、串肉をかじってたり平和な感じです。


《にくい……憎いんだ、ファリン。 あの時僕が、婚約破棄して君を追い出していなければ、死ぬことは無かったんだ》


 (にく)い? いやいや、ダメですね。


 他の搭乗待(とうじょうま)ち客が食べてる串肉に、引っ張られ過ぎてます。 ルル、しっかりするのです。 ルルは良い子、我慢の出来る子……よし。



 じゃない。 なんかまだブツクサ聞こえますね。


 婚約破棄しなければ~って、しなかったら良かったじゃないですか。 なんで後悔してるんですかね?


《ファリン、ファリンファリンファリンふぁりん。 嗚呼、君が僕に、しっかり陛下から頼んだ婚約だったって、教えてくれていれば》


 変なうわ言が、さっきよりハッキリ聞こえるようになってきましたね?


 なんでしょう? ちょっと馬車の点検とかしてる人に()いてみましょうか。


《僕が悪いのは分かってる。 でもファリンも悪いんだ、きみがぼくを…………》


 ベンチから立ち上がって、動くと雑音が遠くなって、聞こえなくなりました。


 何だったんでしょうか? ルルはナゾなのですよ。




「へぇ? (じょう)ちゃん、あの声が聞こえたんかい?」


 驚かれました。 ますますナゾです。


「アレが聞こえると、なんなのですか?」


 全く分からないので、ヒゲぼーぼーのオジサンに聞き返したのですよ。


 するとですね、ちょっと長い返事をもらいました。


「あれはここが昔、処刑場だった頃だ。

 当時の王子様が、婚約破棄でひと騒動起こしたそうだ。

 その時侯爵だった貴族様のご令嬢と婚約してたんだが、王子様は大の女好きでな?

 それで王子様が悪い女にとっ(つか)まっちまって、ご令嬢と婚約破棄したんだとよ。


 それで婚約破棄するには理由がないとダメって事で、ウソの悪事をでっち上げて、犯罪者に仕立て上げて婚約破棄。 それから王様へは内緒で勝手に国外追放したってんだから驚きだ。


 そんな横暴を時の王様が気付いて、王様みたいにふるまった王子様を、国の決定を無視して好き勝手した罰で処刑。

 それでまだ怨念(おんねん)がここにとどまってるんだそうな」


 少しじゃなかったです、クッソ長いのです。


 しかも今の話は、ここが刑場だったってのと、王子の怨念が居るってだけですよ。 重要な部分を教えてもらえてないので、突っ込みます。


「だからどうしたのです。 なぜその王子の声が聞こえるのか、そこが大切なのですよ」


 ズバッと言ってやったのです!


「へっ、情緒(じょうちょ)も分からねぇんじゃあ、キレーなねーちゃんへの道はまだ遠いな」


「お母さんに聞いたことがあるのです『重要な部分までの話しが長い男は、ゼンギばかりのソーローヤロー』だって。 ところで、ゼンギとか何とかって、どんな意味ですか?」


 そしたら、余計な言葉と一緒に少し呆れられました。


 かなりムカッときたので、お母さんから教わった言葉を使ったら、アホみたいに真顔で「今後、男に言っちゃなんねーぞ?」だそうです。


 訳が分からなくて首をひねってたら、オジサンが続きを語りだしました。


 こうやって、とっととしゃべってくれれば、回り道しないで済んだのですよ! ぷんぷん!


「時々聞こえるのがいてな? なんでだーって理由を調べたら、婚約破棄されたご令嬢は神聖な回復魔法を使えるお人で、聞こえた人も同じ魔法の適性があったそうだ」


 そう! そこを聞きたかったので……ん??


「ルルに、回復魔法の適性です?」


 気になって声に出してしまいましたが、オジサンが気楽にそこを拾い上げてきやがるのです。


 恥ずかしくなるから、放っといて欲しかったのですよ。


「おう。 昔ほど珍しいって訳じゃねぇが、それでも貴重な才能だ。 良かったな、回復魔法が使えれば、一生食いっぱぐれないぞ?

 後で親御さんと教会へ行くと良い」


 なんか頭をエンリョ無しになでてきます。


 すっげームカムカっとくるのです!


「気安く触るんじゃねーです、オジサン!」


 怒りにまかせて、手をパチンとはたいてやったら、物凄く悲しそうでした。


「まだ19なんだが……」


「知りません、ルルの頭をなでたバツです」


「…………そうか、すまなかったな」


 あやまるオジサンは、とても弱そうにみえました。


 それを気にしてじゃないですが、そろそろ馬車が出てもおかしくないフンイキになりましたので、お使いの荷物をかくにんしながら、乗車の準備をはじめるのです。


 バイバイする気持ちを込めて、オジサンにあいさつです。


「村まで行く馬車は、どれですか?」


 すると、ヒゲのオジサンがとても不味いものを食べたような感じになって答えてくれました。


「そろそろ出す、オレの馬車だ。 ……なんか、すまねぇな」



 ガッテムなのですっ!!

 この王子様の怨念。


 強くなりすぎないよう、消えてしまわないよう、適度に弱い聖水や浄化魔法で怨念を弱らせているそうです。


 その結果、回復魔法の使い手(とその卵)を見つける、良い判別機になっているそうな。


 生殺し。 元気にさせず、さりとて弱らせず。 生かさず殺さずの絶妙な管理体制となっております。

 ……死んでるから、言葉的に合ってるか微妙ですけど。



~~~~~~



 やらかしました。 はい。


 ホラーで駅ってお題なのに、なぜか婚約破棄を強引にねじ込んでやりました。


 婚約破棄ものお約束、ざまぁされた王子も怨念として添えて。


 だが物怖(ものお)じしない小さいお子様が主人公なので、怖さがほとんど感じられません。


 こいつは失敗の範囲に入るんじゃなかろうか?



 そうそう、ヒゲのオジサンの名前はブロム。

 ルル、○ファリン、○ブロ○


 今の季節は風邪をひきやすいですしね。 背筋がぞくっときたらどうぞお大事になさって下さい。



 まあ失敗だとしても、現代の電車駅ばかりが駅じゃない。 乗り合い馬車は駅馬車でしょ? その為の広場を駅としても良いじゃない。


 そんな発想の叩き台に、この作品がなってくれれば良いなと思い投稿します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 怨念をも利用する人々。これはホラーですわ。 [一言] なろうの企画物の作品だったのですね。
[良い点] ルルちゃん可愛いので正義ですw [気になる点] エス〇ックは? [一言] 怖いものシリーズ行きますねぇ~w 怖さよりも面白さが際立ちなすよw 時期ネタ二つもかけてきましたねw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ