第1章 第1節
627年。日本の戦場にて、戦いが繰り広げられていた。
この世界では異形と呼ばれる存在人型の機械によって、存亡の危機に侵されていた。
異形は上空より飛来し、見つけた町や村などを襲い人も動物も見境なしに殺していく。そうしてある程度の町や村などを破壊するとまた上空へと帰っていく。この謎の襲撃が始まったのは今から数百年ほど前で人々はいつ自分の町や村が襲われるかと恐怖に震えていた。
そんなさなかに、一つの軍事機関が設立された。その名は、
【人類防衛機関】
人類防衛機関は国連直属の機関で、人々を異形の恐怖から解放するため、そして異形の目的の鮮明化を目的とした機関として創られた。日本には新しく陸軍が設立され、第1から6までの機動課があり、奮戦していた。
「クソ、なんだって今日はこんなに多いんだ!」
「踏ん張れ!本部が何か対策してるみたいだ!」
「あんな無能上司集団の事だ。どうせろくなことじゃない」
「いや、今回はそうでもないらしいぞ。噂になってる部隊がいるらしい」
「あんなの噂だろ?信じがたいな」
隊員たちがボヤく中、怒号がとんできた。
「無駄口を叩くな!さっさと倒すぞ!」
『了解!!』
そして機動部隊は、敵陣に向かって行く--
--日本陸軍第7特務機動課--
遺跡調査及び棺発見の指令を受け、遺跡を探索中の7機動の無線が鳴った。
「本部より7機動。通達した通り、【棺】の発見、及び回収をを急がせろとのことです」
「全員、上から急げとの指示です」
全員の顔に焦りが浮かぶ。それと同時に作業のペースを上げた。
「隊長、棺ありました」
「あったか緑、棺。よくやったじゃねぇか上出来だ」
そこには、泥に汚れ、鈍く光る銀色の棺があった。
「隊長、中身はなんなんすか」
「さあな、俺も詳しくは知ねぇが、上の連中から中は見るんじゃねぇと」
「しっかし、なんだってこんなものを欲しがるんだろうねぇ?」
「わかんねぇが特別なものなんじゃねぇか、難しいことは上に任しておけばいいじゃねえか。紫、連絡」
「こちら7機動から本部。棺を発見しました」
「こちら本部、了解。回収班をそちらに回す」
「あー、終わったっすねぇ」
「油断するんじゃね一樹。ちゃんと回収させるまでが俺たちの仕事だ」
「へーい」
通信からかなりの時間がたったが、回収班が来る様子がない。
「変だな、遅すぎる、紫」
『本部に問い合わせます』
「頼んだ」
『こちら7機動から本部。回収班はまだなんですか』
「こちら本部、回収班はまだついていないのか。確認する」
その時、遺跡の入り口付近で物音が鳴った。
「こちら7機動、回収班がついたようだ。お前ら、渡す準備しとけ」
隊員たちが渡す準備をしている間にも物音は近づいていた。
ドガァァァーン‼
「っ何事です⁉」
遺跡の中に、岩が崩れ落ちる轟音が響き渡る。振り返るとそこには異形の姿があった。
「黄金隊長、なんで異形が来るんですか」
「わかんねぇが、全員棺を守りながら退避。紫、本部に連絡」
異形は上半身と右腕が異様に大きく、手当たり次第に天井や壁を殴っては破壊していく。
『こちら7機動から本部。異形の襲撃を受け、現状況では棺の回収が不可能です。応援を要請します』
「こちら本部。応援を送る。応援が到着するまで何とか棺を守り切れ」
通信が切れた。
『本部より、応援が到着するまで耐えろとの指示です』
「本部が無茶苦茶なこと言ってんじゃねぇ、くそ。皆、応援到着まで踏ん張ってくれ」
『前方、ヌアダ型5体確認。来ます』
更に戦いは激しさを増していく。そんなさなか異形の攻撃によって落ちた落石が棺に当たった。本来、棺には特殊な鍵が掛かっており、回収後ざまざまな施錠解除をしながらあけなければならなかった。しかし、棺はいとも簡単に開いてしまった。
「隊長、棺が開いたっす」
「なんだ、一樹、聞こえなかった。もっと大きな声で言え」
「だから‼棺が開いたっす」
この大きな声のおかげで7機動全員が棺が開いてしまった事に気づいた。
「「「「「なんだと‼マジじゃねえか」」」」」
振り返るとそこには蓋の開いた棺があった。そして、すぐに、紫が状況確認に向かう。
『黄金隊長、人です。人が入っています』
「うぅ……。ここは……」
中に入っていた人はすぐに体を起こした。