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6 ゴブリンもどきの弱点

すみません、遅れました。

久しぶりにTRPGにハマってしまって、動画を見ていたら時間がががが


 隙間からじっと外を見つめる。


 そこにいるのはゴブリンもどき。

 悠人が地球にいたとき、ゲームでよく見たCGのゴブリンよりはるかに醜悪で、恐ろしい見た目の怪物だ。


 悠人が呼ぶ仮称『安全地帯』から外を覗き続けること僅か。

 ゴブリンもどきはすぐに現れたのであった。


 すぐにゴブリンもどきが見つかったのはラッキーと言えばいいのか。

 それともこの場所すぐ近くを徘徊しているのを嘆けばいいのか。


 悠人はどちらかというと嘆きたくなったが、気を取り直して観察する。


 ゴブリンもどきの数は三体。


 うわ、こいつら群れるのかよ。マジで勘弁してくれと、悠人は余りの理不尽に涙が出そうになる。


 しかし嘆いていても始まらないのも事実。

 とりあえずは観察するしかない。

 己を知り敵を知れば百戦殆うからずの精神だ。


 奴らはこちらに気が付いていない。

 十個の血走った眼を全てギョロギョロ不規則に蠢かせながら、いかにもふらふらとした足取りで歩いてゆく。


 腕が重すぎて、バランスが取れないのだろうか。

 だとしたら生物として欠陥では? とも思うが、それでも悠人からすれば、自分がなり振り構わず逃げだすほどの力を持っているのだから始末に負えない。

 しかし、これは何かの弱点になるかもしれないと、頭の中にメモ書きした。


 そして悠人は、ズボンのポケットから一枚の羊皮紙を取り出した。

 あの、悠人が持つ特異能力『セーブ&ロード』が記されていた羊皮紙である。

 今はその表には、何も文字は記されていない。


 ――余談だが、裏に前も見た『捨てないでね♥』の文字が記されている。


 この羊皮紙は、前は麻取悠人(マトリユウト)と思われるデータを表示した。

 もしかしたらを使えば、あのゴブリンもどきのデータも見れるのではないか。


 そして、悠人は、どうか見えますように、と心の中で祈りながら、羊皮紙をゴブリンもどきの方にかざす。

 すると羊皮紙は、ぱちぱちと物が燃えるような音を発しながら、舐めるように文章をなぞって燃えてゆく。

 そして熱が収まると、羊皮紙には次のような文字が刻まれていた。


==========================


 魔力:136

 気力:998

 霊力:701


==========================


 ごふぅッ……!


 悠人は心の中で吐血した。

 136、998、701……!?

 こ、こっちの数値は7、7、12なんだが……?


 い、いや魔力も気力も霊力も実際どういったものなのか分からないのだけれども。

 実際どのような用途で使われているかは分からないのだけれども!


 しかし、なんかやばいのは十分伝わった。

 気力とかこっちの百倍以上あるし。


 ま、ままま、まあ、き、気にしてもしょうがない。

 たいして意味が無い数値かもしれないし?

 だ、だから、ビビってるわけじゃない。

 この足が後ずさりしているのは、決してビビっているわけじゃない。

 いいね?


 悠人が心の中で盛大に怖気づいている、その時。

 視界の中で、変化が起こった。


 三体いたゴブリンもどきの内一体が、転んだのだ。

 地面の窪みに足を引っかけたゴブリンもどきは、不意を突かれたのか、気が緩んででもしたのか、普通に体を地面へ打ち付けた。


 しかしすぐそのゴブリンもどきは顔を上げ、痛そうに手でさすり、地面へ手を突いて起き上がった。

 その腕には、転んだときに尖った岩にでもぶつけたのか、赤い血が少しだけ流れている。





「………………………………………………………………………………ん?」





 ()()()()()()()()()()()()()


 は? なぜだ? なぜ血を流す?

 あいつは、思いっきり岩の壁を殴りつけてもぴんぴんしていたんだぞ。

 それが、なぜ、たかが転んだ程度で、その体が、肌が傷つく?


 悠人は混乱する頭を抱えながら、いまだゴブリンもどきたちを見続ける。


 視界の先では、先ほど転んだゴブリンもどきが、別の二匹のゴブリンもどきたちに腹を抱えて笑われていた。

 転んだゴブリンもどきは笑われたことをどうやら怒っているようで、いきなり笑っているゴブリンもどきの顔へ、真正面からそのこぶしを勢いよく叩きつける。


 殴られたゴブリンもどきは、凄まじい速度で吹き飛ばされ、悠人の視界から消えた。


 あっと思うほどもない間であった。


 しかし、殴られたゴブリンもどきはほんの数秒で元の場所へ戻ってくると、そのこぶしを殴ってきたゴブリンもどきへフック気味に振り抜く。


 それに頭を打ちぬかれたゴブリンもどきは、勢いよく壁に激突し、凄まじい破砕音がして、壁に大きなクレータを作るのだった。


 まあ、悠人の動体視力では、笑われて仲間を殴ったゴブリンもどきがいきなり壁に激突したようにしか見えなかったので、彼らの動きは、クレーターを作ったゴブリンもどきと、腕を横に振り抜いた形で固まっているゴブリンもどきを見た後の想像に過ぎないのだが。


 しかし、間違っているというわけでもないだろう。


 クレーターにめり込んだゴブリンもどきは、そのまま壁から剝れ倒れ落ちる。

 かと思われたが、その足は、倒れる寸前に地面を踏みしめた。


 そして十個の目玉をギラギラと光らせ、己を殴ったゴブリンもどきへと突撃する。

 それからは途方もない乱戦であった。


 悠人には、もはや黒い影が破壊をまき散らしながら宙を舞っているようにしか見えない。


 ここからあちらは相応に離れていたからよかったものの、あまりに近かったら確実に巻き込まれていただろう。

 しかし、悠人はその事実に安堵する余裕は無く、ただ一つの出来事についてのみ考えを巡らせていた。


 ゴブリンもどきが殴られ、クレーターを作ったとき、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 もしや、ゴブリンもどきの体が頑丈になるには、ある条件が存在する?

 その条件とは?

 二つのダメージの違い。

 一つは地面に躓いて体を打った。

 一つは目の前から迫ったゴブリンもどきに殴りかかられた。


 躓いて、転んだ……

 目の前から殴りかかって……

 転んでそのまま体を打った。殴られて叩きつけられた。


 ――いや、これは、もしかして……!


 いや、ただの想像に過ぎないのだが。

 それでもそれが事実だとするのならば。


 もしかして――






 ――奴らは、油断している状況で、意識外からの攻撃には、その防御性能を発揮できない……!?






 とすれば。


 この推理が正しいとするのならば。


 こちらにも、勝機が、見えるかもしれない……っ!


お読みくださりありがとうございます。


筆者も一度作品を読み返してみたのですが、話の展開が早すぎて読者目線だとついて行けない場所が散見できました……

描写をめんどくさがったせいですね……

これからそういう状態をなくすために今話から多少丁寧に書いていくつもりです。

その分、物語速度は少し落ちます。


もしそういった点などで気になる点や意見等あれば感想欄で常時募集しておりますので、もし何かあればどうぞ。

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