5 放物線と直線と小石
今回は説明回です。
主人公の能力的に説明はせざるを得ないので……
ご容赦を。
この洞窟。
悠人が現在いるこの洞窟は、いったいどういうものなのだろうか。
正直、全く分からないというのが本音である。
そりゃまあ、高校の教室にいたと思ったら、いつの何かこんな良く分からない場所に強制連行されて、強制的に命がけのサバイバルを余儀なくされている。
今いる仮称『安全地帯』は危険はまだ少ないほうだけど、外にはゴブリンをさらに凶悪にしたような怪物が闊歩しているし。
水場はどうにか見つかったものの、食料の心配はつきない。
この状態では、遅かれ早かれ餓死してしまうだろう。
――その水場も恐ろしい危険地帯の為、全くいけないのが現状であるが。
取り敢えず、一刻も早く食料を探しにいかないといけないところではあるのだけれど、それを先ほど言った怪物どもが邪魔をする。
だからとにかく、悠人は奴らに通用しそうな技の開発にいそしんだ。
まずは、放物線以外の情報体の保存を試した。
思いっきり石を投げたときの情報体は『直線』。
これはそこそこ速さがあるし、使い勝手は良さそうだ。
しかし、何回もやっている最中に腕がつかれてしまったため、Lv5を作るのが精いっぱいだった。
上から石を落とした時の情報体は『加速直線』。
これは何回やってもつかれることは無い為、すぐにLv10到達した。
しかし、悠人の身長から落とすときの速度なんてたかが知れているため、攻撃に使えるかは微妙。
ただ、移動しながら加速していくため、相手の意表を突くことはできるかもしれない。
あと驚いたのは、『石』という情報体も保存できたことだ。
これを読み込みすると、その通り保存したのと同じ石が出てくる。
この石は時間経過で消えてしまうが、それでも非常に有用である。
これはもっと詳しく言うと、これは『材質:石』という情報体と『形状:小石』という情報体の組み合わせなのだが。
使い方次第では非常に化けそうな情報体である。これからに期待。
それと、これは石の情報体を保存していたときに気が付いたことなのだが、どうやら保存は一つのものに対して一回しか行えないようだ。
例えば一つの小石からは、『材質:石』か『形状:小石』をどちらか一つだけしか保存できない。一回保存すると、それ以上その小石から情報体を得ることはできなくなった。
なぜそうなるのかは分からない。
そういうものだと思うことにする。
悠人は保存が終わった小石をどこかへ放り投げた。
あと、情報体の保存を行える範囲は十メートルは超えないくらいだった。
その時々によって短くなったり長くなったりと非常に不安定であるが、大体このくらいだ。
またほかに、一番重要かつ有用な発見をすることが出来た。
それは、Lv10のその先である。
実に試行回数二千四十八回。
実に約一時間、小石を落とし続けてついに獲得したのが『加速直線LvΩ』
ここまで統合を続けると、どうやらこれ以上の統合はできなさそうだという事が感覚で分かった。
だからΩである。
またなぜ加速直線にしたのかは、単純に一番保存するのが簡単だったからだ。
これが他のLvと何が違うのかというと、決定的に違うところが一つある。
なんと、この情報体、読み込みしても無くならないのである。
今までは消耗品だった情報体が、それひとつで無限に使えるようになったのだ。
それに、その読み込むするときの強さがLv1~Lv10まで自由に選べる。
使い勝手が良すぎでは?
まあ、一度情報体を使用すると一定時間、再使用不可になるようなので一つの情報体を使って複数回同時発動することはできないのではあるが。
これに気が付いた後は、どうせなら『材質:石』と『形状:小石』の情報体もLvΩにしようと思ったのだけれど、四千九十六個の石をゲットするのはさすがに断念した。
現在保存しているのは以下。
『放物線Lv10』×1
『放物線Lv5』×3
『放物線』×52
『直線Lv5』×1
『加速直線LvΩ』×1
『加速直線』×3
『材質:石』×50
『形状:小石』×50
さて、次はあのゴブリンもどきの弱点でも探したいところ。
※下記を加筆しました。
・一つのものから一回しか情報体を取得できないこと。
・LvΩまでしかLvアップはできないこと。
既に書いていた気がしていたのですが、作者の気のせいでした。
途中で設定を追加してしまい、申し訳ありません。