31 出立。次へ……
爆睡!
という事で、お待たせいたしました。
危ない……日付回るところだった……。
今回長めです。
まずは肩慣らしとして、洞窟でゴブリンもどきやコボルトもどき、巨人を狩りに行く。
洞窟の中で強い攻撃を使うわけにはいかないため、基本的に<石の一撃>。
巨人相手にのみ、<石の衝撃>を使用する。
巨人の生息している洞窟のクリスタル地帯は通常の洞窟よりも頑丈だ。
だから<石の衝撃>でも大きく崩れることもない。
洞窟内の他の場所で<石の衝撃>を撃てば、崩壊する可能性のある。
そうでなくとも通常の洞窟でに生息しているゴブリンもどきとコボルトもどきにとって、<石の衝撃>はオーバーキルになるから、<石の一撃>で十分だ。
草原地帯から、幾つもの洞窟地帯へと続く入り口を見つけ、そこへ突入して中の怪物を狩り尽くす。
悠人の今の能力値からすると、絶対値に比べて少しの割合しか上がっていかないが、塵も積もれば山となる。
前はそのちょっとの上昇で生死を分けていたと考えると、気を抜こうとは思わなかった。
そして、狩りをしている最中。
少し気になる出来事があった。
どうにも、前より能力値の上昇値が上がっている気がするのである。
ゴブリンもどき一体を倒した時の能力の上昇が、前より上がっているよウニ思える。
いや、確実に上がっていた。
実際に確認してみると、前に比べ実に二倍の上昇値となっていたのだ。
この原因を解明できれば、今後の戦いに役に立つ。
そう考えた悠人は、検証を行うことにした。
そして、その理由にたどり着くことに成功した。
その原因は、周囲の魔力と気力を吸収して自分の魔力と気力を回復させる技。
<魔力自動回復>と<気力自動回復>にあるようだった。
これには、生物を殺したときに発生する、能力値上昇のメカニズムが関係しているようだ。
生物が死ぬと、その生物が持つ霊力、魔力、気力が空気中へ霧散する。
霊力は、その生物が死んだ瞬間に、その全てが身体から抜ける。
魔力と気力は、一部がその死体に宿り続けるものの、やはり大部分が空気へ溶けて拡散していくことになる。
そして、誰かがもし生物を殺した場合、その拡散したエネルギーの極一部を自身の体に吸収することでその能力値を増すようだ。
悠人が三種の観測眼でその流れを観察していると、敵が斃れたときに霧散した霊力魔力気力の一部がリジェネによって、通常の時より多く悠人の体に吸い寄せられ吸収されていたのが分かった。
おそらくそれが、能力値の上昇率が上がっていた理由なのだろう。
これを理解した悠人は、その霊力魔力気力の吸収による能力値の上昇のみを主目的とした技を開発した。
そうすれば、もっともっと自分は強くなれる……
敵を斃したときに発動させ、その霧散する霊力魔力気力を強力に吸収し取り込む技。
――――悠人はそれを<千屍万豪>と名付けた。
これを使えば、これまで以上に効率よく能力アップが狙えるはずだ。
悠人は<千屍万豪>を使いつつ、狩りを再開する。
次は草原地帯での狩りに切り替えた。
<戦きの人閃光>を開発した悠人にとって、もはや”舞い降りる黒水晶”はただの獲物に過ぎない。
元々鈍重な”舞い降りる黒水晶”は避けることもできず<戦きの人閃光>に貫かれ、その体を爆散させた。
草原地帯を駆けずり回り、点々と浮かんでいる”舞い降りる黒水晶”を次々と落としていく。
そうしているうちに、崖の向こうの荒野から”漆黒の母蛇”が現れることになった。
そうだとは思っていたが、やはりこいつは複数体いるらしい。
そしてその本拠地、というか本来の生息地は荒野のようだ。
自分の幼生体を草原地帯に生み落とし、繁殖をしているという事なのだろうか。
あの時は余裕がなかったからできなかったが、今はあいつの能力値を確認する余裕がある。
悠人は、ズボンのポケットから羊皮紙を取り出した。
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魔力:129,889
気力:25,153
霊力:53,091
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やはり高い……
数値自体は”舞い降りる黒水晶”の三倍以上。
この能力値は、三倍だから、”舞い降りる黒水晶”三匹分と同じ戦闘力という訳ではない。
例えるとすると、RPGのレベルに似ている。
”舞い降りる黒水晶”がレベル100とするならば。
”漆黒の母蛇”のレベルは300である。
まあ、ここまで実力は開いていないかもしれないが、だいたいこんな感じだ。
本当に、何で自分がここまで生き残れたのか不思議な程である。
まあ、それは一重に、セーブ&ロードのお陰だろう。
最初から最強の聖剣を持っていたようなものなのだから。
”漆黒の母蛇”は瞳を紅く光らせ、縦に裂けた口をガパリと開いた。
そしてそこから強烈な光と熱が放出される――
――その瞬間、下方から飛来した石の弾丸がその頭を弾き飛ばした。
仰け反った”漆黒の母蛇”はその光の奔流を空へと放ち、大気で霞む程はるか上空にある天井――光る巨大クリスタルで敷き詰められた天井へと激突する。
大爆発を起こし、砕かれたクリスタルが次々と草原へ落ちる中、しかし悠人と”漆黒の母蛇”は戦闘を続けていた。
しかしそれは、戦闘というにはあまりに一方的なものになりつつあっただった。
悠人の<戦きの人閃光>はと”漆黒の母蛇”の肉体を貫きはしないものの、体表で爆発して大きな傷を残す。
”漆黒の母蛇”が悠人に攻撃しようとしても、<石の衝撃>がその体を弾き中断される。
”漆黒の母蛇”は石弾やビームをどうにか躱すが、情報体で構成された攻撃は、再発動にそう時間はかからない。
躱せない攻撃も多かった。
どんどんと体を抉られ、血と肉をまき散らし、”漆黒の母蛇”はそれ程時間もかけず地に墜ちることとなった。
悠人は”漆黒の母蛇”が絶命しているか確かめるため、地に伏せるそれに一度ビームを撃ちこんでみる。
その体はピクリとも動かなかった。
その様子に、悠人は怪物の打倒を確信した。
緊張して詰まっていた息を吐く。
体が僅かに弛緩した。
「思ったより簡単に倒せた……。取り巻きがいなかったのもデカかったが、それでも今の俺にとってこいつは敵ではなくなったという訳だ。……よし、そろそろ荒野に行ってみるかな……?」
悠人はそう呟くと、”漆黒の母蛇”の死体から情報体を取得し崖の方へ向かう。
善は急げ。思い立ったが吉日。
そういう言葉が、悠人の頭を過ったのだ。
もしかしたら焦っているのかもしれない。
でも、それでもかまわなかった。
そもそも、焦ることが必ずしも悪いことではないのだから。
そこには幅約一キロメートルの奈落が広がる崖。
そしてその向こうには、濃い魔力の澱む荒野があった。
悠人はその奥にある深淵を見つめると、ごくりと喉を鳴らした。
ここに、万一でも落ちてしまう未来を考えると、足がすくむ思いだ。
しかし、ずっと足踏みしているわけにもいかない。
ここを脱出するという目的があるのだから。
悠人は眦を決する。
そして、ダッシュで後ろへと下がると、助走をつけて崖から一気に跳び出した。
既に強大な身体能力を手にした悠人は、普通の人間では考えられない跳躍を実現し、その一跳びのみで幅一キロメートルものの奈落を飛び越えていく。
次なる舞台は、峻険なる山々と毒々しい厚い雲に覆われた、魔界の如き荒野となる――――
現在の能力値
魔力:15,152
気力:15,339
霊力:71,098
特異能力
セーブ&ロード
技
<石の一撃>
<石の衝撃>×10
<巌の身体>
<氣闘術>
<虚ろな身>
<外傷治癒>
<魔の観測眼>
<気の観測眼>
<霊の観測眼>
<魔を拒む魔>NEW!
……魔力の流れを歪ませる魔力力場を形成する。
それにより魔力系攻撃の軌道を捻じ曲げ回避が可能。
気力系攻撃・物理攻撃には効果なし。
周囲の魔力を消費して発動可能。
(全ての消費魔力を代替することはできない)
<魔力自動回復>NEW!
……空気中の魔力を吸収し自身の魔力を回復する。
大体一日で魔力を全回復できるくらいの効率。
<気力自動回復>NEW!
……空気中の気力を吸収し自身の気力を回復する。
大体一日で気力を全回復できるくらいの効率。
<戦きの人閃光>NEW!
……巨大なビームを発射する。
ビームは着弾すると、核爆発の様な大爆発を引き起こす。
約三秒のチャージ時間を必要とする。
周囲の魔力を消費して発動可能。
(全ての消費魔力を代替することはできない)
<魔闘術>NEW!
……身体能力が大きく向上する。
魔力を使っていること以外は<氣闘術>と同じ。
<魔闘術>と<氣闘術>を同時発動した場合、
マッハ3程の速度で移動可能。
<堅牢たる魔絶>NEW!
……魔力の流れる歪ませる魔力力場の衣を纏い、
肉体自体を外部からの意図せぬ魔力干渉へ
抵抗できるようにする。
ゲーム的に言えば「対象の魔法防御力を大きく上昇させる」技。
周囲の魔力を消費して発動可能。
(全ての消費魔力を代替することはできない)
<千屍万豪>NEW!
……能力値の上昇をアシストする。
これを使用することで、従来の十倍以上の速度での
能力上昇を可能にさせる。
簡単に言えば「経験値効率10倍」。
お読みいただきありがとうございます。
チートの中でもありふれている経験値増加系が追加されました。
最初から構想はあったのですが、出てくるのに思いのほか時間がかかりましたね。
次回からは幕間にしようかなと思っています。
何話か書くつもりですが、前にも書いたやよい視点にするか、それとも現地人視点にするか、別のクラスメイト視点にするか……
現在思案中です。




