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28 VS”漆黒の母蛇” 伍


 悠人は目の前の土と岩を<石の衝撃(ロックバースト)>で吹き飛ばし、地下にトンネルを作って疾走する。


 地表から灼熱のビームが幾つも降り注ぎ、地下深くを進む悠人が一瞬前にいた場所を消し飛ばす。


 悠人は走りながら、右手を中心にして周りの魔力を収束していく。


『魔力LvΩ』(あつまったま)『回転LvΩ』(りょくをいく)『回転LvΩ』(えにもかいて)『回転LvΩ』(んさせてあっ)『圧縮LvΩ』。(しゅくする。)『強化LvΩ』(もっともっとあ)『圧縮LvΩ』(っしゅくする)


 魔力を安定させるために回転を加え、それをどんどんと圧縮させていく。


『圧縮LvΩ』、(あっしゅく、)『圧縮LvΩ』、(あっしゅく、)『圧縮LvΩ』、(あっしゅく、)『圧縮LvΩ』、(あっしゅく、)『圧縮LvΩ』、(あっしゅく、)『圧縮LvΩ』、(あっしゅく、)『圧縮LvΩ』、(あっしゅく、)『圧縮LvΩ』、(あっしゅく、)『圧縮LvΩ』、(あっしゅく、)『圧縮LvΩ』、(あっしゅく、)『圧縮LvΩ』、(あっしゅく、)『圧縮LvΩ』、(あっしゅく、)『圧縮LvΩ』、(あっしゅく、)『圧縮LvΩ』、(あっしゅく、)『圧縮LvΩ』、(あっしゅく、)『圧縮LvΩ』、(あっしゅく、)『圧縮LvΩ』、(あっしゅく、)『圧縮LvΩ』、(あっしゅく、)『圧縮LvΩ』、(あっしゅく、)『圧縮LvΩ』、(あっしゅく、)『圧縮LvΩ』(あっしゅく)――」


 圧縮を繰り返された魔力は、次第に可視化されていき、青系統色の透明な煙のように見えた。

 それが渦を巻きながらボールの形になって、手のひらの上に浮いている。


『魔力LvΩ』(まりょくをき)『調整LvΩ』(れいにととの)『巡回LvΩ』、(えてならべて、) 『変性LvΩ』(こうおんのねつと)『燃焼LvΩ』(かがやくひかりに)『光LvΩ』(へんしんさせる)


 超圧縮された魔力の球体が、膨大な熱エネルギーとして光を放出しだす。


 するとそのとき、悠人は遥か地上から膨大な魔力の渦を感知した。

 それは、”漆黒の母蛇(サーペントマザー)”が吐き出した極大のビームの兆候に似ていた。


 あれがもう一度撃たれれば、もはや逃げることはできない。

 前は地中に逃げるという意表を突く行動をすることで、直撃を防ぐことが出来たが、二回も同じような手は通用しないだろう。


 ――だとするならば、迎え撃つ!


 悠人は斜め上へ<石の衝撃(ロックバースト)>を打ち放ち、そこに造られた大穴を疾走する。


 そして遂に、悠人は地表へと躍り出た。


 遥か彼方の天を埋め尽くすクリスタル。


 四方に広がる広大な草原。


 しかしその草原は、一方向だけ穴だらけになって掘り返され、他の方向もあちこちで煙を上げていた。


 そして、上空。


 そこに浮かぶは三体の”舞い降りる黒水晶(ダークネススフィア)”と一体の”漆黒の母蛇(サーペントマザー)”。


 ”漆黒の母蛇(サーペントマザー)”は縦に裂ける口から巨大な太陽の如き光の球を作り出し、”舞い降りる黒水晶(ダークネススフィア)”はその濡れた口腔を光らせていた。


「――上等ッ!!!」


 四体の怪物から溢れ出る、膨大な光の奔流。


 それを前にして、悠人は口元を歪ませる。

 そして、右手にある光り輝く球体を前にかざした。


『魔力LvΩ』(まりょくをとか)『融解LvΩ』、(してあなをあけ、)『燃焼LvΩ』(そのねつ)『光LvΩ』(とひかり)『調整LvΩ』(をらせん)『回転LvΩ』(となってと)『放出LvΩ』!(きはなて!)


 灼熱と閃光の球体に僅かに開けた穴。


 情報体による精密な魔力制御にて穿ったそこから、今まで押さえつけられてきた魔力の熱と光が暴れるように溢れ出した。


 悠人の体を覆いつくして余りあるその紅蓮(ぐれん)輝煌(きこう)の濁流は、空から迫りくる光の奔流と激突する。


 二つの力は拮抗していた。


 本来、悠人の力では、圧倒的な魔力をもつ”漆黒の母蛇(サーペントマザー)”と”舞い降りる黒水晶(ダークネススフィア)”には似た攻撃で対抗することはできない。


 しかし、悠人の持つ特異能力セーブ&ロードによって生み出された情報体がそれを可能にしていた。


 この濃密な魔力の満ちる草原地帯。

 その広範囲から情報体によって強制的に魔力を集めた。


 その後に行った魔力の超圧縮は、人間ではまず不可能な圧縮率だと思われる。

 しかしそれを行ったのは”情報体”――その実態は”概念”に似通っていた。


 『圧縮』の情報が読み込まれれば、その情報通りに世界が書き換わる。

 だから普通では圧縮できなくとも、強制的に圧縮をくり返す。


 そうして、一点に集中された膨大な魔力は、あの怪物に拮抗するだけの力となった。


 欠点は、緻密な魔力が必要なため、発動までに時間がかかること。

 そして、周囲に大量の魔力が存在する必要があること。


 しかし、悠人は今それを乗り越えてここにいる。


 拮抗した二つの巨大なビーム。


 しかしその拮抗は、徐々に地上から放たれたビームの方が押されて崩れ始めた。


 やはり、人間では怪物に敵わないのか。


 そのヘビの怪物の瞳が愉悦に輝いた気がした。


 悠人は歯を噛み締め、そこから血が流れた。


 しかし、悠人はその唇を大きく、三日月の如く吊り上げる。


『空気LvΩ』(まりょ)『魔力LvΩ』(くよあ)『収束LvΩ』(つまれ)


 その瞬間、草原地帯に漂う魔力が。


 ビームの衝突によってまき散らされた、濃密な魔力が悠人のもとに集まり出す。


 そしてその魔力は、悠人がかざしている光の球体に吸い込まれていく。


 悠人のビームの出力が、増大する。


 そして太さを増した光の渦が、ビームごと上空にいる四体の怪物を飲み込んだ。


お読みくださりありがとうございます。


ちょっと作者の私生活が忙しくなって参りまして、申し訳ありませんが、これからは2日に1投稿になると思います。

恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。

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