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3/44

3 ステータスとかで可視化できる力って限られてると思うんです


「ごほッ、がほッ、ごほッ!」


 悠人は口の中に入った水を吐き出す。

 そして、痛む体を何とか動かしてうつ伏せの体を起こして座り込んだ。


「ごほッ、ごほッ……はあ、はあ――ここ、は?」


 目の前には川。

 というより、洞窟内に流れる地下水流か。

 どうやら水流に流された自分は、運よく岸に引っかかったらしい。


 他は代り映えのしない洞窟の風景。

 灰色の岩だけが前面に見える。


 ただこの場所は少し広めで、小さな広場のようになっているようだ。


 とりあえず現状を把握した悠人は、深いため息を吐いた。


「……逃げ切った、か。……はぁー」


 胸に安堵が広がった。

 まだ、予断を許さない状況ではあるが、とりあえずの危機は乗り切ったのだ。


「……しっかし、何だったんだあいつは。なんかRPGのゴブリンに似た見た目だったけど、明らかに化け物だったし。しかも素手で岩を砕くって……ホッキョクグマでもできねーぞ、そんなの」


 またあいつに会ったら、一目散に逃げる。

 というか、絶対に見つからないように行動することを心に決めた。


 そうすると、これからの行動をどうするかになるが。


 取り敢えず、水場からは離れる。

 野生動物が水分補給や狩りのために水場に集まるというのは聞いたことがある。

 あの怪物が同じことをしないとは限らない。


 しかし、ただ当てもなくさまようのは避けたいのも事実。

 水源は分かりやすい目印になるし、水が飲めるのは魅力的だ。


 水場から少し離れた場所。

 隠れられる場所を探してそこから探索するべきか。


 となると、問題は食料になる。

 どれだけの時間で脱出できるか分からない。

 人間は十日間程度なら水だけで生きられるらしいけど、衰弱するのは目に見えているし、それ以上の時間がかかる可能性もある。

 食料の調達は急務だろう。


 あとは、戦う力。

 正直どうやっても、あの怪物に勝てるビジョンが見つからない。

 隠れながら進もうとは思うけど、洞窟内は凸凹はしているものの、人一人が完全に隠れられるほどの陰はあまりなさそうだった。


 必然、探索を続けると戦闘は起こる。


 戦闘がおこると、死ぬ。

 今度こそ。


 次はこんな運よく逃げ切れるとは思えない。


「とりあえずは、安全な場所を探すか。水場の方が危険だしなあ」


 そうして悠人は痛む体に鞭打って、歩みを始めた。




   ◇◇◇




 結局のところ、安全地帯は思いのほかすぐ見つかった。


 水場の広場から離れて二度ほど分かれ道を右に曲がったところにあった。


 すごく狭い隙間だけど、悠人ならギリギリ入れる。

 しかもここに来るまで非常に入り組んでいて幾重にも岩の陰に隠れているから見つかりにくいはずだ。


 内部は意外に広い。

 高校の教室くらいはある。


 良い拠点が見つかって一安心というところだ。


 あとは探索。何か怪物に勝てる方法か逃げる方法を考えなくては危険すぎるというものではあるが……


「ん? なんだこりゃ」


 悠人はふと、自分のズボンのポケットに何かが入っていることに気がついた。


「うーん……? 羊皮紙、か?」


 悠人は羊皮紙というものは今まで見たことは無かったが、写真やイラストを通してであれば見たことはある。


 羊皮紙には、一文。


 『捨てないでね♥』


 イラっとした悠人は、何も悪くないはずである。


「なんだこれは……」


 悠人は、手に持った羊皮紙を見つめる。


 すると、驚くべき変化が起こった。

 羊皮紙の表面がのたくったような線の形に燃えるように光ると、光の後に黒い文字が浮かび上がったのである。


==========================


 魔力:7

 気力:7

 霊力:12


 特異能力

  セーブ&ロード


==========================


「はぁ? なんだこれ」


お読みくださりありがとうございます。

評価とか感想をいただけるとモチベが上がるので、よろしければお願いします!


主人公の「セーブ&ロード」は死に戻り系じゃないです。

次回、解説されると思います。


次話は、今日中に挙げられるといいな。

期待はしないでください。

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