26 VS”漆黒の母蛇” 参
きちんと文章を確認できてないので、変なところがあったらごめんなさい。
※追記。
遂に総計10,000PV達成しました! お読みくださる皆様のおかげでございます。もしよろしければ、これからも本作をよろしくお願いいたします!
”漆黒の母蛇”は、光球を作り出してそこからミラーボールの様に無数のビームを放つ。
その発動の瞬間を見た悠人は走り出し、それらをギリギリで避ける。
ビームの放射熱が悠人の肌を炙る。
次の瞬間には五体の”舞い降りる黒水晶”も、その濡れた口腔からビームを放つ。
さらに密度を増した光線の雨に、悠人は避けきれずに<魔を拒む魔>を発動する。
直撃するはずだったビームは、悠人が形成した魔力力場により空中で捻じ曲がってあらぬ方向へ飛んで行く。
悠人は”漆黒の母蛇”に<石の衝撃>を放つ。
放たれた石の弾丸はそれの鱗を貫けず、巨体のヘビは殴られたように弾かれて攻撃を中断する。
――やはりこちらの攻撃で傷は無い……しかしけん制にはなる、か。
やつらを倒すには、やはり奴ら自身の攻撃を捻じ曲げて当てるしかない。
しかし、悠人の<魔を拒む魔>では完全に反射することはできず、軌道を少し曲げる程度しかできない。
そのためにはやつらが互いの攻撃に当てやすい様に、上手く位置取りをする必要があるのだが、それはやつらに囲まれることと同義だ。
前は二体だったが、今回の敵は六体でありその上位種も含まれる。
危険度は前とは比較にならない程に高い。
相手の位置を調節する前に死ぬ可能性は高いし、上手くいって一、二体を倒したところで<魔を拒む魔>は制御の難しい技だ。
それを使っている最中、悠人はそれ以外無防備になり、その時を狙われればそれで終わりだ。
――他にも何か攻撃手段があれば……
そう思うが、今はこれしかない。
強烈な死の気配に、悠人の喉が鳴る。
身体が僅かに震えた。
しかし、それでもやらなければこのままジリ貧になるのは違いなく、やるしかないのだ。
――悠人は不規則に動きビームを避けながら、怪物共に接近する。
最も強力な攻撃をする”漆黒の母蛇”に対しては<石の衝撃>を打ち込み続けて攻撃を封じる。
一体で無数のビームをまき散らす”漆黒の母蛇”にだけは攻撃させるわけにはいかない。
しかし、攻撃しながら位置を調整するのは集中が分散し、非常に難しい。
二体相手の時にやったときも、攻撃は中断して移動だけに集中していたからできたのだ。
それを今回は六体相手。
一体の攻撃は封じても、まだ五体の”舞い降りる黒水晶”が自由にビームを放ち続ける。
ただ、それでも”漆黒の母蛇”が攻撃に参加するよりは幾分かマシだ。
悠人は、やつらの中をかき回すように、怪物の中心で走り回った。
ビームが顔にかすりかける。
すぐそこで発生した地響きが、足を攫おうとした。
悠人を中心に幾つものキノコ雲が巻き上がり、どんどんと気温が上昇して、そこは竜巻に巻き込まれるように風が吹き荒れ、凄まじい衝撃波の嵐が四方八方に吹き荒れる。
地面を抉るように足を蹴り、地の振動を無視して走り続けた。
体を焼くほどにまで上昇する気温を、<巌の身体>と<氣闘術>でどうにか耐え続ける。
吹きあがる土埃で視界は、もはや一寸先も分からないが<霊の観測眼>で敵の位置を把握し、ビームは<魔の観測眼>で着弾地点を予測する。
怪物と人間の攻防はしばらく続いた。
そして遂に、ぎりぎりを生き抜いた人間が反撃に移る――
互いの位置を確認し、土埃を貫いてきた二筋のビームに向かって<魔を拒む魔>発動する。
悠人を狙ったビームはその軌道を湾曲させて、明後日の方へ飛び去っていく。
そして、砂の天幕の向こうから、悠人の耳は二つの破裂音を聞き取った。
それはいつものように土や岩盤を削り取る音ではなく、確かに肉と血の詰まった存在が破壊される音だった。
悠人はそれに、心の中でガッツポーズを取る。
しかし油断はせず、すぐに新たな攻撃が来ても対処できるように警戒している。
……おかしい。
…………なぜ、攻撃が来ない?
悠人は警戒しながらもその不気味さで動けず、ついに空中を舞っていた分厚い土煙が地へ落ちて晴れる。
そこにいたのは、宙に浮かぶ”漆黒の母蛇”と三体の”舞い降りる黒水晶”。
落としたのは子分を二体だ。
できれば”漆黒の母蛇”へとビームをぶつけてみたかったが、流石にそれは叶わなかった。
しかし、どうした。
なぜ攻撃してこない?
悠人が訝しんでいると、次の瞬間にビーム攻撃が再開された。
攻撃を警戒していた悠人はそれをぎりぎりで避ける。
――さっきの間は何だったんだ……? いや、それはいい。もう一回同じことをやるだけだ。今度はヘビの方に当てる……!
悠人は疲労の溜まった余裕のない自分を、それでも鼓舞して行動に移る。
<石の衝撃>を放ちながら、やつらへと接近していく。
しかし、この怪物たちは悠人の予想外の行動をとり始めた。
悠人が接近すると、散開しつつ距離を取り、それでも互いが離れすぎないように同じ方向へ移動をしただしたのだ。
”舞い降りる黒水晶”たちは、動きは鈍くさく機敏な挙動はできないものの、その最大移動速度はかなり早い。
悠人の全速力と同程度の速度は出せるのだ。
それを使って、悠人から一定の距離を取るようにしてビームを放ってくる。
――――対策された!?
そんな馬鹿なと思いつつも、それは認めざるを得なかった。
明らかに、悠人を囲まないように動いている。
そして、走ると同時に放った<石の衝撃>。
これも”漆黒の母蛇”はその長い身体をくねらせる様にして避けていた。
――――くそッ! こっちは慣れられたか!?
”漆黒の母蛇”にはずっと石の弾丸を放っていたが、やつは遂にこのマッハ三の攻撃に慣れ、避け始める。
それでも十五発に一発は当たるから、あの光球を出す暇は無いが、それでも子分たちよりもずっと速いペースでビームを放ってくる。
――――どうする……どうする……!?
まずい、これはまずい。
これでは<魔を拒む魔>による反射攻撃ができない。
何か打開策は……
悠人は敵の攻撃を避け続ける。
その動きは次第に精彩を欠いていき、足が鈍り始めていく。
それでも尋常でない集中力を発揮して何とか攻撃を避けていたが、それももう限界になっていた。
石の弾丸のけん制も緩んでいって、時折”漆黒の母蛇”は光球を作って無尽のビームを乱射していた。
ふらふらとした体は、それでも幽鬼の様に攻撃を避ける、避ける、避ける。
体は満身創痍であり、精も根も尽きる尽き果てたようだったが、それでも目だけは爛々と輝いていた。
奇跡のようなそれは、それでも、あと少しで途切れ、無くなるだろう。
しかし、それでも”漆黒の母蛇”は焦れたのだろう。
今までとは違う攻撃を行おうとする。
がぱりと開いた、縦に裂けている口。
そこから光球が発生し、しかしそれは今までと違い、球体の大きさはどんどんと増して行く。
口だけでは収まらず、口を出てその顎の先端でどんどんと増していくその輝きは、”漆黒の母蛇”自身をも飲み込む程の大きさまで成長して、まるで地上に現れた太陽の如き輝きを宿していた。
そして、無尽の熱と光とエネルギーを孕んだそれは、破裂するようにして、一本の光の奔流と化した。
視界全体を飲み込む様な、莫大量の光。
それは、悠人の瞳に映ると――――
――――――その小さな一人の人間を飲み込んだ。
お読みいただきありがとうございます。
自分でも確認しますが、文章に変なところがあったら教えていただければ嬉しいです。




