22 VS二体の”舞い降りる黒水晶” 中編
お待たせいたしました。
はい、新しい技名考えるのに3時間かかりました。
今日の遅れはそのせいです。
空中に浮遊する己の体。
それを睥睨する二体の”舞い降りる黒水晶”から放たれる巨大なビーム。
空中ゆえに動けることはなく、悠人にできることはただそれを待つのみであり、それでも諦めるものかとその二つの閃光を、目を見開きながら見つめる。
悠人に向かって突き進む二つのビーム。
しかし、それが悠人に当たることは無かった。
同時に放たれた二つのビームが衝突したかと思うと、それは混ざるでもなく爆発するでもなく、お互いに逃げるかのようにその身をくねらせ、あらぬ方向へ曲がって草原へと突き刺さったのだ。
「――はぁ?」
そして二つの場所で同時に、核爆弾でも投下されたのではないと思うほどの爆音が鳴り響く。
悠人は地面に着地すると、兎も角、素早く走り始める。
なぜだ、なぜあんなことが起った。
いや、自分にあの攻撃が降り注がなかったことは紛れもない幸運だが、その原理が知りたい。
”舞い降りる黒水晶”は先ほどの出来事に動じることはなく、悠人へ向かってさらにビームを発射する。
悠人は全力で跳んで、何とか回避した。
やはり二体同時に避けるのは、あまりにも厳しい。
それ程持たないだろう。
しかし、それを気にしながらでも悠人は観測眼系の技でそのビームを注意深く観察する。
その光を奔流を作り出しているのは魔力、圧縮された膨大な魔力だ。
ビームを構成している魔力が渦巻きながら放たれ、悠人にはそれが特殊な力場を作っているように見えた。
どうやらこの力場が魔力を弾くような性質を持つらしい。
空気中に漂う魔力も、放たれたビームから弾かれるような動きを取っていた。
であれば、魔力力場を利用できれば、あるいはこの状況を打開できるかもしれない。
悠人がそう考えているうちにも、”舞い降りる黒水晶”からビームは降り注ぐ。
遂に躱しきれなくなったビームが腕に掠り、そこから耐えがたい激痛が走った。
「ぐううぅ……ッ!!」
見ると、ビームが当たった腕は焼け爛れ、一部筋肉が露出している。
その場所から激しい痛みと、身体を侵食するような熱を感じ思わず足を止めそうになる。
しかし悠人は、それでもと、全身に汗を浮かべながら走り続けた。
本当は立ち止まりたい。地面へ倒れて転げまわれたらどれほどいいだろうか。
だが、ここで倒れたら確実に死んでしまうだろう。
死への恐怖が、悠人をなおも走らせる。
それでも、これまでも幾つもの痛みを受けてきたお陰で何とか耐えきれていることも否めなかった。
この傷がもし、この世界に来てから初めての傷だったら、どんなこともほっといて無様に転げまわっていただろう。
さらに降り注ぐビームを、悠人は避け続ける。
一回その攻撃に当たったことで、ビームに対する恐れが増し、必要以上に距離を取ってしまう。
これではさらに隙が増し、死ぬ可能性が増すだけだ。
しかし、そうは分かっていても、本能からくる恐怖にには抗えなかった。
もう本当に時間がない。
早く、完成させてみせる――
ビームの魔力力場を観察しつつ、情報体を構成する。
まずは幾つもストックしている『魔力LvΩ』を配置。
そこから『圧縮LvΩ』を接続し、魔力を圧縮させる情報を作り上げる。
そこに『巡回LvΩ』と『調整LvΩ』を加えることで、魔力の流れを綺麗に並べるように調整させる。
『変性LvΩ』と巨人から保存した『力LvΩ』で、調整した魔力を物理的に強い影響を及ぼせる魔力力場へと変性させる。
それを『放出LvΩ』と洞窟エリアの壁から得た『形状:壁LvΩ』で壁上に魔力力場を出力し。
『放物線LvΩ』、『加速直線LvΩ』、『高速直線LvΩ』などの操作系で魔力力場を操作してビームのそれと全く同じように模倣する。
『強化LvΩ』でその魔力力場の力を強化した。
魔力消費をできる限り少なくするため『空気LvΩ』、『魔力LvΩ』、『収束LvΩ』を使い、空気中の魔力を収束させ、それを体内で使用する魔力の多くを代用させる。
――これで完成。名は<魔を拒む魔>。
悠人はそれを、自分の目の前を通り過ぎたビームへ使用した。
ぐにょん、と曲がるビーム。
それは空中であり得ない軌道を描き、悠人の意図した方向へ炸裂した。
「よしッ! ――ぐうッ!?」
がくりとした眩暈。
――まずい、さっきの実験のための一回で予想以上に大量の魔力を持っていかれた。
大気中の魔力も使用したのにこの消費量とは……、即興で作ったせいで効率が悪すぎる。
今の残存魔力では、おそらくあと五回の使用が限度だ。
それでも避けるしかなかった前よりはまし、か。
どうする、どうすれば勝てる。
方法は無いか?
どうにかして考えろ。
お読みくださりありがとうございます。
主人公がどういった感じで技を作成するのかちょっと詳しく書いてみました。なんかプログラムっぽい?
技名を考えるために、よくめだか〇ックスとか参考にするけど、あの作品は独特の雰囲気があって結局参考にならない今日この頃。(´・ω・`)




