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✧ 詩 ✧ ふたり

水色の雨に


君は水色の雨の中へ

一気に駆け出した


僕の一瞬の躊躇に

君は何を察したのか



きっと

この雨は

君を染める

夏の白い制服も

固く結んだスカーフも

小さな木綿のハンカチも

なにもかも透明な水色に染めて


そして雨は

誰も触れたことのない君の唇を覆い

細くしなやかな首筋を伝い

なめらかな胸元に流れ込み

ふたつの清らかなふくらみにすら

当然のように触れて


さらに雨は

なにもかもはじめての君を思うがままに濡らして

迷いもためらいもなくすみずみまで君を浸していく


君はこの雨に身を任せて

僕のことなど忘れてしまえばいい



君が綴った青い文字が雨の飛沫(しぶき)に濡れて溶けて

受け取ったばかりの白い便箋を染めて流れて

あふれだして雫になって

青い月のように光って

涙に似た香りを残して

放課後の渡り廊下に滴り落ちる


……あなたを好きです

  わたしとつきあってください

  あなたを好きになったのは本当です……


君の言葉は少しずつ

けれど確実に雨の色と同じになって

この世界から消えていく


君に言えなかった言葉も

雨と同じ色になって

消えてしまえばいい


この胸に畳み込んだままの想いなど

雨に打たれて溶けて流れて

跡形もなく消えてしまえばいい











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― 新着の感想 ―
[良い点] 読みながら、ドキドキしてしまいました。 ステキで素直な心からの本音、だと思いました。
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