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第一話 シスコンの親友がなんか悩んでる

なろう処女作であります!

拙い部分もあると思いますが、なにとぞよろしくお願いします!

「なあ、親友。僕の頭はどこかおかしいのだろうか?」


 学校の昼休み、前後の席をくっつけ弁当の包みを開いている最中、目の前の親友がつぶやきだした。ずいぶんと辛気臭い顔してるくせに顔立ちがいいから様になる。これだからイケメンは…


「何だ唐突に…?」


 つぶやきの真意はほぼ確実と言っていいほど分かり切っているのだが、とりあえず無難な返答をしておく。


「この前、学校の図書室で気になる本を見つけて読んでみたんだけどさ、その本によるとどうやら生物学的に兄妹が恋愛感情を持つことはありえないらしいんだ」


「ふーん」


「兄妹で、まあ…その…あの行為をすると――「何?『あの行為』って何?」――分かっているだろう、話の腰をおらないでくれ!…で、そうすると遺伝子に異常が生じてしまう可能性が高くなるんだって。そうならないためにも生物の本能として、血縁者に対して恋愛感情は湧かないようになっているはずなんだ。確率で言えば99.9パーセントだって」


「へ―」


「だけど…だけど僕は…こんなにも妹が好きなんだ!」


 えっと…正直、ほんとどうでもい。


「僕は華恋(かれん)が好きだ。妹として、そして異性として恋してしまっている…」


 ……あ、そう、で?


「僕はどうしたらいいんだろうか?」


 知らんがな。

 …だが仮にも俺はこのイケメンの親友である。15年の付き合いだから何を言ってほしいのかだいたい検討がつく。


「どうしたらいいも何もないだろう……自分で答えを言ってんだから」


「自分で…答えを…?」


「残りの0.1パーセントなんだろう、お前は。99.9パーセントの兄妹はそういう感情を持たないかもしれないが、実際にお前は持っているわけだろう?その本に書いてある『例外』の部分に当たっちまったのがゆうなんじゃねえの?」


「例外……、そうだよな…!うん!どんなものにでも例外はあるよな!」


 パァァァ!!みたいな効果音でも出てるのかと思えるような笑顔を浮かべ、目をキラッキラさせ始めた親友、如月勇きさらぎゆう。残念ながら幼稚園時からの腐れ縁で、呪いにでも掛かってんじゃねえかと思えるほど学校やクラスが同じになり、終いには席なんかも近くになる。

 容姿端麗、成績優秀、文武両道、秀外恵中、人をほめる系の四字熟語は大抵当てはまる気がするのがこの男。180センチ近い高身長に細マッチョな体型、女受け間違いなしの甘いマスク、性格も一部を除いていたって温厚な全男子の敵となり得る存在だ。

 まあ、『なり得る』ってだけで実際にはあまり敵対心を持っている男子は少ない。その理由が、この勇のアイデンティティとすら言えるかもしれない一つの欠点?性格?特徴?にある。


 如月勇はシスコンである。


 重度で末期なシスコン具合である。


 この男、修学旅行中に自分がシスコンであることをクラス全員の前で暴露し始めるくらいには羞恥心がぶっ飛んだ残念系イケメンなのだ。……まあ、たとえ残念だったとしても告白する女子たちは後を絶たないのだが、俺はこいつの妹に対する熱意とか恋慕とかを長年、来る日も来る日も聞かされ続けていたから、嫉妬したことはない。俺も何回か告られたこともあるし。

 話が逸れたが、ともかく親友の勇は面白いやつだってことが伝われば嬉しい。


連夜れんやに相談できてよかったよ。そっか……僕は異常じゃなかったんだ!」


(いや、例外と異常って意味的にはたいして変わらないと思うが…)


 俺は空気が読める男だ。思ったことを口に出さないという配慮ができる。

 憑き物が落ちたようなアホみたいにすがすがしい顔の勇がガタッと音を立て立ち上がり開いた弁当そっちのけで駆けだそうとする――


「ちょっと落ち着け「ぐえっっ!?」」


 ――のを首根っこを引っ張って強引に止め、椅子に座りなおさせる。


「ゴホッゲホッ!おぇ……連夜!何で止めるんだ!?僕は行かなければならない場所ができたんだ!!」


「どうせ妹様のところだろう?今は食事中だ、後にしろ。行儀が悪い」


「まだ弁当に手を付けていないから、食事前だ。問題ない」


「無駄な屁理屈を…」


 なにキリッとした顔してんだ、腹立つ。しかしここで止めなければ余計に面倒なことになる。

 俺たちは今高校二年生だ。で、勇の妹、如月華恋は一つ年下の一年生。勇のようなこの学校トップクラスのイケメンが一年の教室に突撃したら一年女子たちの黄色い歓声で、憩いの昼食の時間と昼休みがパーになる。ついでに言うと男子たちは嫉妬で昼休み以降の授業に集中できなくなる可能性がある。そんな事態は何としても阻止しなければならない。後輩の平穏のためにも俺はこいつをここに縛り付けなければ…!


「……いいのか?弁当をそのままにして?」


「……なに?」


 俺がにっこりと微笑みながら忠告する。勇からは俺がさぞかし黒い笑みを浮かべているように見えるんだろうな、普通に笑ってるだけなのに…。何か深い意味があるんじゃないかと探るように聞き返してくる。


「その弁当、お前の愛している妹様が一生懸命作った弁当なんじゃないのか?」


「ッ!!!」


 勇の背景に雷が落ちた。…ように見えた。顔芸かってくらいの変化だな、その驚き様。というか本当に華恋ちゃんが作ってたんだ、カマかけただけだったんだけど。


「お前がその弁当を置いていったら俺が食べちまうかもしれないな?めちゃくちゃ美味そうだし」


 これは正直な感想だ。真面目にとんでもなく手が込んでいる。弁当用に密閉されることを考慮して炊いたんだろうか米がべたっとしていないし、おかずだって、ほうれん草の胡麻和えに筑前煮、生姜焼き等バランスよく色合いも良い。

 高校一年生でこれが作れるとか、将来何になりたいんだろうね?……こいつの嫁さんだわ。一瞬で答え出た。考える必要ないわ。勇と同じくらいのブラコンだったね華恋ちゃん。


「だめだ!!いくら親友の連夜だったとしても、これだけは渡せない!!」


「だったらはよ食べろや」


 しっかりと着席しパクパクと食べ始める勇。あっ、こいつさっさと食って一年の教室に行くつもりか!前言撤回、ゆっくり食べろ!この場合の言葉は、えっと…


「おいおい、そんな急いで食べて味がわかるのか?華恋ちゃんは、そんな味がわからないような食べ方をしてほしくて作ったのかな?」


「ッッ!!!!」


 ピタリと箸を止めると、そのあとはゆっくりとおかず一つずつを噛みしめて食べるようになった。ほんと扱いやすいな、俺の親友は。まあ、これで名も知らぬ後輩たちの平穏を守れたわけだ。俺も落ち着いて弁当が食べられる。いただきます。…うん、うまい、さすが我が妹。


「……そろそろいいか?勇、連夜」


 毎回の小騒動が収まったのを見計らって隣の席から声がかけられる。四条圭斗しじょうけいと、中学から付き合いのある友人だ。男女ともに人気がありムードメイカー的存在と言えるおちゃらけた男子である。


「今週末、クラスの女子を何人か誘ってカラオケしようと思ってんだけどさ、二人とも来ない?お前らイケメントップ2が来てくれると女子たちの受けがいいんだけど…」


 今週末か……。その日はちょうど予定があったな、確か。


「僕は遠慮するよ。予定もあるしね」


「俺も予定ありだな。また今度ってことで」


 残念そうな苦笑を浮かべる圭斗。断られると予想はついていたんだろう。俺も勇もこういう誘いに乗る頻度は低い。


「ありゃー、そりゃ残念。ちなみにその予定ってのを聞いてもいい?」


 ああ、それなら。






「華恋とデートなんだ!」「妹と買い物だ」

おや?っと思った人、手挙げて!

ふっふっふ……作品タイトルの『親友兄妹はブラコンとシスコンである』の『親友』という言葉、『誰からの視点』で親友なのか私は明言していないのです!



一話目を興味を持って読んでいただきありがとうございました。面白いかもと思っていただけたなら、なによりです。拙作はちょくちょく視点変更しながらゆっくり進んでいきます。

ということで、よろしくお願いします!


……あとがきってこんな感じでいいのかな?

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