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転生した転校生  作者: 帝尊(ミカドミコト)
第3章 蛇の道は蛇こそ溺れる灯台下暗し
34/49

34. 合意ライン

 タイムパラドックスボックスと関係あると思っている記憶がやや曖昧になりかけているが、どこかの世界軸のどこかの時間軸の俺と九十九がやっていたあの実験だ。

 あの時空間の発動実験は、俺の中ではタイムパラドックスボックスのキッカケにつながる出来事なのではないかと思っている。

 ただし俺がキッカケを作ると言われている三条カノンや四宮シノアの情報とは事実が合致しない。

 なぜならば、俺であって俺でない感覚であったから。


 俺としては、自分が得た体験や経験や感覚を大事にしたい。

 三条カノンや四宮シノアがいう事実的根拠との整合性をしっかり取っていかなければいけないと思っているので、そういった意味でも”化学実験室”を拠点にできるのは悪くはない。

 さりげなく三条カノンにディスられた俺の部屋が狭いってところも考慮するのであれば尚更である。


「私は三条さんの考えに賛同するわ。如月くんは、どうしたい?」

 四宮シノアから問われる。

 さきほどまで俺の意見も聞かずに三条とセットで扱っていた人の発言とは思えない質問であるが、これぞ四宮シノアの真骨頂である。

 思い込みシノアさんとしてはもしかしたら先ほど言った発言すら忘れてしまっているかもしれない。

 優秀で冷静沈着に見える四宮シノアは性格的にはやや思い込みの激しい協調性・社交性のないぼっちさん。

 アホの子で残念なかまってちゃんの三条カノンは、意外に物事をしっかり整理して最適な判断を下し、協調性はないが社交性はあるぼっちさん。

 そして、ほとんど誰からも興味を持たれる事がなかった本来の王道で完全無欠・純潔で、ついつい人の属性カテゴリをしたがるのが大好きなぼっちさん、俺。

 思えば思うほど、この先が危ぶまれる想像しかできないパーティーではあるな。トリオのコント目指している訳でもあるまいし。


「俺も三条や四宮の考えに賛同するよ。タイムパラドックスボックスの実験や俺が魔術教わる拠点としてもここは悪くない気がする」

「うんうん。よかったよかった。じゃ、決まりだね。早速先生のところに入部届け出しに行く?」

 三条カノンは、自分の考えが伝わったからか、それともなければ早くも意見の不一致で行動がバラバラになる可能性を食い止める事ができたからか、これまた満面の笑みで俺や四宮シノアを受け入れる。


「いや、今日はやめておこう。二階堂先生は俺の予想、図に乗るタイプの人だと思うので、そういう人には事が本人の思惑通りにサクサクいくように思わせないほうがいい。

 なんなら2,3日くらい放置しておいてもいいかとは思うが、そうすると俺達が今度は動きづらくなるので、せめて今日くらいはどうなるんだろう?どうなるんだろう?って思わせてやりたい」


「うわ、如月、性格悪いね」

 三条カノンは明らかに俺の戦略に引いていた。


「三条さん、何言ってるの?如月くんは元々こういう人よ。

 なんだか意識失ってから使命感に目覚めたみたいなこと言ってるけど、本質なんて人間は早々変わらないのよ。

 だから三条さん、忘れちゃダメ。初めて会った日に如月くんに何をされたか。されたほうが忘れてしまったら、したほうの罪は風化してしまうの。

 新たな被害者を出さないためにも三条さんは辛いけど、あの日あったことを忘れちゃダメ」

 諭すようにいう四宮シノアに


「うん。。。。。四宮、思い出すと如月に辱められたことを覚えておくのは辛いけど、新たな被害者を生まないためにも私がちゃんと如月の本質をいろんな人に伝えていかないとダメだね」

 顔を少し赤らめながらも、俺を変態であることを他の人にも伝えていかないといけないという使命感に駆られる三条カノン。


「こらこらこらこらこら。俺の対人イニシアチブ戦略のまさかの批判から、一気に過去を掘り起こしすぎて、変態評価までが突き抜けすぎるだろ」

 四宮シノアを注意し、牽制しつつ。


「三条」

 俺は、三条カノンの前に行き、両手で三条カノンの両肩に掴み、しっかりと目をみる。


「ひゃ、は、はい」

 びっくりする三条カノン。


「あの日の事は忘れろ。あれは事故だ。そして、三条は何も辱められていない。大丈夫だ」

 これでもか。っというくらい人生の中でベスト3に入ると言っても過言ではないマジな表情で伝える。


「え、あ、う、わかったよ」

 さらに顔を赤めて、俺のほうを見れないよう。と言わんばかりに顔を背ける三条カノン。


「わかったから、すこし離れて」

「あ、悪い。少し興奮して出すぎた行動をしたかもしれん。すまん」

 三条カノンを見ると顔が沸騰してまうのではないかと思うくらい赤く、頭をフラフラさせていたので、キャパオーバーと判断し、離れる。


「如月くん、いい感じの女衒な行動ね」

 四宮シノアが腕を組んで俺を見る目は最高潮に蔑んでいた。


「んぐ」

 ぐうの音もでないが、三条カノンと二人きりの時にこの話題をするのも逆に変な空気を生み出してしまう可能性がある。

 四宮シノアと三人でいる時ですら、今回みたいに中々対応も難しくて、ましてや四宮シノアの毒舌爆弾を考えると、今後、二階堂先生はおろか、クラスのメンバー、ヒナリの前でも言いかねない。

 特にヒナリの前で言われた日には、俺が作り上げてきたお兄様像が完全に崩れ去ってしまう。

 そもそも、そこまでお兄様像は出来上がっていないとだけ追記しておくが。


「大丈夫、大丈夫、四宮大丈夫だよ。そんなに気にしないで」

 赤くなりすぎて沸騰して破裂してしまうのではないかと思われるくらいの三条カノンの顔は少し、落ち着きを取り戻していた。

 違う違うと両手を動かすようなジェスチャーとともに、俺を庇ってくれたのか、自分自身のフォローを入れたかったのか。

 また、これ以上、四宮シノア毒舌爆弾が浴びせられないようしてくれたのは、マジで助かります。


 とにもかくにも、三人の合意ラインが取れたので、すべきことは明確になった。

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