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転生した転校生  作者: 帝尊(ミカドミコト)
第2章 運命を決すは己が決断を決す瞬間のみ
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28. 決意表明

 三条カノンも落ち着いてきたところで、俺は宣言を行うことにする。


「四宮、三条、俺もこの一連の事で自分なりに整理して自分の考えが少しだけ固まってきたので、お前達にこの考えを共有しておきたいと思う」


 その瞬間、空気が変わった。

 俺の発言いかんでは、三人でできたこの空気感や関係値も破綻してしまうのだな。と思ってしまうような。

 そんな空気。

 築くのは大変だけど、壊すのは一瞬だ。言動には気をつけなければならない。


「四宮と出会って、三条と出会って、俺の今までの省エネ生活に終わりを告げなくてはいけない事に、四宮や三条と出会った時はあまり実感としてなかったけど、今は、これからの自分と向き合っていく決意というか、なんというか、心の持ちようが変わってきた」


「如月くんは、決意表明下手くそね」

 四宮シノアが茶々を入れる。この緊張感のある空気感を少し和ませたかったのかもしれない。


「そーいうなよ。四宮」

 茶々に少しだけ対応をして


「俺の気持ちが大きく変わってきたのは、四宮と三条の戦いを見て、どこにでもいる普通の女の子がこんなすごい戦いをするんだ。って事に俺の心は突き動かされたし、その後、俺の心臓は誰かの攻撃によって貫かれて。。。。。その、四宮や三条が居なかったら、多分俺は死んでいて。。。。。」

 伝えたい気持ちや言葉がうまく出てこない。


「実は、気を失っている最中に夢を見たんだ。あれは夢だったのか。

 どんな夢だったのかは曖昧だけど、俺は、俺ではない誰かになっていて、自分を見つめ直していいたり、誰かと何かをしていたり。

 もしあの夢か何か分からないものがタイムパラドックスボックスによる影響であるとすれば、前世なのか未来なのか」

 最後の特に時空間に手を出してからこちらの世界軸、時間軸に意識が移った事は、”たまたま"だったのだろうか。

 俺は、あれによって、今までの自分とは違う何かから”転生"したんじゃないか。と思う感覚に陥る。

 錯覚ではなく、感覚である。


「ちょっと、その話、詳しく聞かせて。なんで、今の今まで言ってくれなかったの?」

 三条カノンが、食いいるように聞いてくる。”何か”を知りたいのか、はたまた”何”かを確かめたいのか。


「悪い、本当に曖昧なんだ。ただ俺ではない誰かを俺が経験していたんだ。それだけは確かなんだ。そして、その体験が、俺の最後の決意のキッカケを作ってくれたんだ」

 本当は鮮明に残っている記憶ではあるが、すべてを打ち明けて相談するには、まだ俺の中の”器”が許容しきれない。

 もう少し、もう少し、色々なものを吸収していく過程で、三条カノンや四宮シノアに共有できるタイミングが出てくるだろう。

 その時までは、三条カノンや四宮シノアには申し訳ないけれど、都度都度出せる情報で一緒に考えていってもらいたいと思っている。


「そ、そう」

 残念そうにする三条カノンをよそに


「でも、得たものは相当大きいと私は思うわ。だって、戦闘によって自分の考え方の甘さを知り、夢だかなんだかで自分のしなければいけない事が、わかったんでしょ?」

 四宮シノアは核心をついてくる。

 考え方の甘さを知ったのは確かなんだけど、もっと優しい言い方してほしいな。っと思ったのは、もちろん思うだけである。


「三条。四宮の言う通りなんだ。まだまだ曖昧なところは多いけれど、突きつけられた事実だけでは受け入れられなかった俺は、現実を突きつけられてようやく受け入れられるようになってきたんだよ」


「う、うん。それで、如月は今後どうしていくの?」

 不安そうに三条カノンは確認してくる。


「俺は、やっぱりタイムパラドックスボックスを作りたい。あ、そもそも作ってはいないんだっけ?キッカケを作り出したんだけっけ?それであればキッカケだけでなくて俺が作り出したい」


 俺の想定もしなかった発言に、三条カノン、四宮シノアはびっくりする。


「ちょっと、何を言っているの、如月くん、気でも触れた?」

 四宮シノアは、今までに無いリアクションで、俺に食いかかる。

 それはそうか。四宮シノアからしてみたら、言葉だけで聞く限りは、一番とって欲しく無い選択肢だもんな。

 三条カノンのほうをチラッと見るとじっと俺を見ているだけで何も言わない。

 三条カノンからすると、むしろこの先が気になるところか。


「落ち着け四宮。四宮や四宮陣営の人達の考えを否定するわけでは無いが、タイムパラドックスボックスは、俺がキッカケを作らなくても出来上がると思う」


「それは、なぜ?」

 なおも食い下がる四宮シノア。


「今はまだ、俺の感覚だ。ってことで許してくれ。様々な出来事が交差する記憶の中で見た俺は、タイムパラドックスボックスじゃないけど、らしきものを追求していこうぜって話を、他のメンバーとも"話をしていたんだ」

 実際で研究室で行っていた情報自体は可能な限り伏せておきたい。

 しかるべきタイミングまでは。

 しかしながら、感覚だけで納得してくれるとも思えないので、多少の情報提示はしておかなければいけない。


「だから、俺が四宮の考えている当初のやり方で仮に対応したとしても、流れを食い止めることはできないと思う。もちろんなんの根拠もないけどな」

「それって、もはやキッカケというものは、大したことではないって捉えたほうがいいのかしら?」

「それはわからない。ただ事は単純では無い気がするってことだよ」

 腑に落ちない四宮シノアの顔色を見つつ、引き続き無言で俺の意向を知りたがっている三条カノンを確認し、俺は言葉を続ける。


「だから。っていうより、やっぱり謎が多すぎるタイムパラドックスボックス発生の由来に関しては、俺がしっかり見極めて、キッカケだけでなくて見極めたほうがいいと思うんだ」


「その結果、世界を混沌に陥れることになっても?」

 四宮シノアは、お前に世界を未来を人々を守れる力があるのか?と問われているようだ。


「だからこそ、四宮、三条、おまえらが必要なんだ」

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