つんでれおおかみ の なかま に なった!
うっそでしょ……
自分の姿に動揺を隠しきれず、水溜まりから後退り、腰を地面へ降ろす。
「ふん、同種の落とし子がいたかと思って助けてやったが、変わり者のようだな」
と、後ろから野太い声が聞こえ、振り向く。
しかし、先ほどと同じ赤と黒の毛並みの狼しかいない。
「どうした、餓鬼。礼が言えんのか」
「ぎゃあああぁぁぁ!!??しゃべったああぁぁ!!??」
「うるさいぞ、餓鬼!!普通しゃべるだろうが!殺すぞ!」
グルルと威嚇し、牙を剥き出しにしてくる。
「ごめんなさい、マジすいませんでした。あと、なんか分かりませんがありがとうございました。」
「ふん。なにぃ?自分がどういう状況だったか知らぬのか?」
どうって言われても……何がなんだか……
そう言われ、周りを見渡し確認すると、私の身体には白い糸のような物が少し付いており、怖い狼の隣には蜘蛛と思われる生物の残骸があった
「もしかして、私食べられかけてた……?」
「そうだ、鈍い奴め」
怖い狼はふん、と鼻を鳴らし不機嫌そうに答える。
「それはそれは……助けてくださりありがとうございました……」
「餓鬼にしては口調が丁寧な奴だ。オレはシキだ。お前の名は?」
「ユカリと申します……」
「ユカリか、変な名だな、ますます変わっておるわ。まぁいい、おい、ユカリ、オレに付いてこい。数少ない同種のよしみだ、まともになるまで面倒見てやる」
えっ、何このツンデレ狼……
まぁ、いきなりでわけワカメな状況だ。お世話になろう。
「ありがたいです……よろしくお願い致します……えっと、シキさん」
「ふん!」
鼻で息を吐くと、そのまま振り返り軽く地響きを鳴らしながら歩いていく。
私はその後に続き、シキさんもといツンデレ狼にお世話になることになった。