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防御特化と従魔成長。

クロムは穴を奥へ奥へと進んでいく。

シロップも横を歩いてついてくる。


「奥を確認してくるか。別に死んでも構わないしな」

クロムは周りの壁を観察する。

今にも崩れてきそうなボロボロの穴だ。

どうやら、人工的に作られた穴ではなさそうだった。


「墓の下となると、アンデット系か?」

クロムはそう予想する。

その予想は見事に当たり、少し進んだ所の広めの空間に入った瞬間に地面から次々とスケルトンが這い出してきた。

ボロボロの槍や錆びた剣を持っているが強そうには見えない。

雑魚モンスターの物量作戦である。


クロムはシロップも攻撃に参加させることで負担を減らし、無事に全てのスケルトンを倒した。


「お、シロップのレベルが上がったか」

クロムはHPの減ったシロップにポーションを与えるとシロップが新たに取得したスキルを確認する。


「【カバー】覚えたのか、ふむ。大盾とスキル構成が似てるな」

メイプルは普段はシロップをあまり戦闘に関わらせていないため、今まではそこまでレベルが上がっていなかった。

クロムと行動することによって、レベルが上がりやすくなった。

メイプルに返す頃には新たなスキルも覚えて強くなっているだろう。


「貸してもらったお礼にレベリングしてやるか」

クロムはシロップのサポートに徹して奥へと進んでいく。

道中のモンスターをシロップに倒させることによって、シロップはぐんぐん成長していく。


「ん?また、スキルを覚えてるな」

クロムが何度かの戦闘後にシロップを確認するとまた新たなスキルを二つ覚えていた。


【大自然】

地面を隆起させたり蔓や樹木を生成することで攻撃と防御が可能。


【精霊砲】

【巨大化】時にのみ使用可能。

正面に向けての遠距離攻撃。


「これはもう俺より強いかもしれん。ああ……俺もパートナーが欲しくなってくるな」

その後何度かの戦闘を挟み、クロムは最深部へと辿り着いた。

目の前にはボス部屋の入り口となる大きな扉がある。


「ダンジョンはそこそこ長いだけで、モンスターは雑魚ばかりだった……いけるか?」

クロムはこのダンジョンを高難易度でないと判断し、中へと入った。

中は広く、シロップが巨大化出来るだけのスペースがあった。


クロムとシロップが部屋に入って少しすると部屋の奥で一体の骸骨がゆっくりと起き上がった。

それは今までのスケルトンとは違い、古びているものの豪華な装飾のついた防具と長剣を装備しており、その空っぽの目の部分から人魂の様な青白い光を覗かせていた。


「ふぅ…一人でボスとやるのは初めてだな……いや、一人ではないか」

クロムはシロップを巨大化させると、先手必勝とシロップに命令する。


「【大自然】!」

シロップの周りの地面から伸びる極太の蔦がボスに襲いかかるが、それは全てボスの体を覆う、青白く輝く障壁に止められてしまった。


「まずは、なんとかしてあれを破らないとな」

シロップを後衛において、クロムがボスへと向かう。

ボスもまたクロムの方へと近づいてくる。


「【シールドアタック】!」

クロムの攻撃は障壁に止められてしまうが、取り敢えずはダメージを与えることで破れるかを試さなくてはならない。


「よっ…!」

大盾で長剣を弾き、斬りつけることで障壁にダメージを与えていく。

ただ、本来この仕事をするのは盾職ではないためなかなか破ることが出来ない。

クロムの装備はダメージを受け過ぎれば壊れてしまう。

ボスの攻撃の重さから、長期戦は避けなければならなそうだった。

このままではまずいと感じたクロムはシロップとボスが一直線上になるように移動し叫んだ。


「シロップ!【精霊砲】!」

シロップから真っ白いレーザーが放たれる。

道中一度使わせてタイミングと範囲を把握しているためクロムは飛びのいて回避することが出来た。


「どうだ!?」

光が止むと同時、パリンと音が響いた。

障壁がなくなったのだ。

だが、それは単純にいいことではなかった。

カタカタと音を立てるボスは地面に長剣を突き刺した。

長方形の部屋の四隅からわらわらとスケルトンが溢れ出してくる。


クロム一人では物量に負けてしまっていただろうが、今回はシロップがいる。

ほとんどのスケルトンをシロップに受け持たせることでボスに集中しやすくすることが出来た。

クロムはシロップのHPに気を配りつつも堅実にボスにダメージを与えていく。

シロップにも時折攻撃に参加させることでダメージを増加させる。


ボスの攻撃を確実に防ぐことさえ出来れば、雑魚スケルトンの攻撃は【バトルヒーリング】で耐えられる。

ボスの攻撃が甘くなった時に処理していけばいいのである。

堅実に立ち回るクロムが有利な状態だ。


「【シールドアタック】!」

ボスは盾を持っていないため攻撃を通しやすく、クロムにとって救いだった。

クロムはノックバックが入ったボスを追い打ちする。


「HPはそんなに多くないな…っと!」

攻撃に集中し過ぎれば手痛い反撃を貰ってしまうため、程々で攻撃を止めていたクロムだが、それでもボスのHPは半分近くまで削られていた。

これはシロップのお陰である。

シロップの【大自然】での攻撃がいいダメージソースになっていた。

シロップが多くのスケルトンを受け持っていることを考えると、シロップがいなければ勝負にならなかっただろう。


「本当、メイプルちゃんにお礼言わないとなっ…!【炎斬】!」

炎を纏った短刀がボスの体を斜めに斬り裂く。

これでようやく半分までHPを削ることが出来た。

ボスはもといた場所に戻るとスケルトン達を大量に呼び寄せた。

スケルトン達はその場に崩れていき、スケルトンから出てきた真っ黒い人魂がボスへと入っていく。

四隅から出てきていたスケルトンも止まった。


ボスから真っ黒なオーラが溢れ出し、大きな骸骨を形作る。

骸骨は片手にボス部屋の三分の一はある長さの剣を、もう片手には斧をもっていた。


「第二形態か。メイプルちゃんの方がよっぽど恐ろしいぞ?真似た方がいいんじゃないか?」

クロムがそう言って大盾を構える。

ボス戦も後半戦に差し掛かった。














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