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防御特化と日常13。

メイプルの強力な防御スキル、【イージス】によって王の攻撃を相殺したものの、竜となって宙を舞う王はその巨大な口に再び炎を溢れさせる。【イージス】で防いだような攻撃が繰り返されるようならば、防ぎ切るのは難しい。全滅とはならないだろうがマイとユイを守って勝つだけの防御リソースがない。

【身捧ぐ慈愛】がない現状、中途半端に耐久戦を仕掛けるのは逆効果だ。


「ブレスなら……!」


「私達で何とかできます!」

相変わらず降り注ぐ炎の雨はマイとユイではどうしようもない。しかし、王の大技であるブレスに対してはまだ対抗策がある。


「オーケー!カナデ、イズ手を貸してくれ!」


「任せて」


「多少は食い止めるわ!」


「「【カバー】!」」

イズがアイテムで、カナデが障壁で炎を防ぎ、メイプルとクロムが大盾で残る炎を食い止める。直後。炎の爆ぜるような音と共に、王から全てを焦がす必殺のブレスが放たれた。


「お姉ちゃんから!」


「分かった……!」

クロムの後ろで守られていたマイが瞬時に飛び出し、八本の大槌を構える。

マイは臆することなく迫る炎を見据えて握りしめた大槌を振り抜いた。


「【巨人の業】!」

大槌と炎が衝突する。王のブレスは上記を逸した破壊力を持つが、それはマイも同じこと。

速度、耐久力、対応力。様々なものを犠牲にして、プレイヤーの枠に収まらない異次元の攻撃力を手にしたマイの大槌は、襲いくる炎を王に向けて完璧に弾き返した。


「二人ともついてきて!」

サリーが指揮を執りマイとユイを前進させる。王の攻撃範囲は拡大する一方だ。派手なブレスは強烈だが、現状は悪いことばかりではない。


「あの大きさ。セットアップはいらないようだな」

カスミは【血刀】によって炎を払いのけ、サリーは魔法で壁を作り、ほんの一瞬ではあるもののスペースを確保する。

今までのように丁寧な事前準備は必要ない。

狙うべき敵のサイズは大きくなり、移動速度も落ちた。これならば二人の攻撃も容易く当てられる。


「「【飛撃】!」」

事実、残りHPもあと一押しといったところまできている。狙うは短期決戦。それができるだけの火力がこちらにはある。


「【全武装展開】!【古代兵器】!」

【イージス】も使い終えて装備を元に戻したメイプルは【古代兵器】も使って総攻撃を仕掛ける。


「メイプルそれ借りる!【全武装展開】【虚実反転】!」


「こっちも」


「援護するわ!」

メイプルに合わせてサリーも武装を展開し二人で援護射撃を行う。その隣には爆弾を発射するイズと障壁の防護と共に魔法を撃ち込むカナデ。


「【マルチカバー】!」

四人がダメージを出す分クロムが時間を稼ぐ、それでも王のHPはまだ尽きず、再度ブレスの予兆が八人の目に映った。

それでもそれは想定内。

放たれた業火の前に今度はユイが立ちはだかるマイにできることはユイにだってできる。成功はすでに確約されているのだ。


「【巨人の業】!」

迫る業火は今度はユイによって跳ね返される。自らの業火がその身を焦がし、残るHPを削っていく。この反射によってようやく倒し切れるかと思われた王のHPはほんの僅か残り、そして体勢を立て直した王の口元、そして背後の燃え盛る壁から炎が噴き上がる。


「やべ……」


「メイプル!」


「【暴虐】!」

サリーの声に反応して後方からメイプルが異形となって前に飛び出す。炎がメイプルを襲い、しかしその巨体によって王の炎は遮られた。

後ろの七人は難を逃れ、炎を全身で受けながらメイプルは王に向かって駆ける。

王の炎、続く鋭い爪による先制攻撃。それらを防御力に物を言わせて無効化したメイプルは空中の王に飛びついた。

メイプルの口から吹き出た炎が王を焼き、鋭い爪が体を裂く。


「これで、どうっ!」

王の首筋にメイプルが喰らいつく。

それは全員で削ったHPをようやくゼロにし、竜となっていた王の姿は人型に戻っていく。

そうして、壁の炎も収まり空間も元のサイズまで収縮する。

それら全てはこの激しい戦闘の終わりを示しているのだった。







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― 新着の感想 ―
[一言] メイプルの【イージス】はカッコ良さそう…。
[一言] 単なる個人的希望ですが・・・ 『同盟可能なギルド戦』みたいなイベントとかの話があったら、嬉しいように思います。 同盟の『上限』として、『総人数』を設定すると、中小のギルドは有力ギルド傘下の…
[良い点] う~ん(苦笑) 『使い切らせる』のが至難なほどの手数を持たせちゃうと、作品を作るのも大変になりますね。 [一言] だけどでも、実のところメイプル、これだけやってまだ、手札を切り切っていない…
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