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防御特化と激戦の果て。

水と自然の国。崩壊する王城の最奥。玉座の間でリリィは兵士を呼び出し、最後の防衛に当たる。

メキメキ、バキバキ。響くはずのない音と共に、壁が破壊され正面から異形が姿を見せる。

先頭はペイン、サリー。続く異形までリリィが倒すのは不可能だ。


「【断罪ノ聖剣】!」


「【超加速】!」

細かいやりとりなどもう必要ない。

ペインは召喚兵を吹き飛ばし、サリーが駆け込む。


「【再生産】【傀儡の城壁】!」

物理的な壁を生み出すことでリリィは少しでも時間を稼ごうとする。


「朧【神隠し】!」

サリーはただ一人朧のスキルで消失することによってその壁をすり抜ける。この旗でただ一撃当てられるなら。

リリィはその手の旗を強く握り、しかしそれが不可能であることを確信する。


「【覚醒】【権能・劫火】!」

リリィはふらつきながら、狭い空間を炎で埋めにいく。サリーといえど、スペースなしには避けられない。


「【跳躍】!」

炎が溢れるよりも早く、サリーは跳んだ。

リリィの頭上をすり抜けて玉座に向かう。


「それくらい……!」

炎が辺りを燃やす。頭上のサリーが本物でないのなら、燃えて死んだはずだ。

気力を振り絞り、槍を突き出す。


「【変わり身】!」


「なっ……!」

入れ替わったのは黒い鎧の少女。リリィが突き出した槍は正確に胸に直撃する。

しかし、ダメージは与えられない。

防御極振りのその体は槍に突かれた勢いのままに、玉座へと転がり込んで停止する。





その直後。激戦の末に鳴り響いたファンファーレは、メイプル達の勝利を告げるものだった。




「あと一歩だったんすけどね」

ベルベットは悔しそうに玉座の一歩手前でコンコンと目の前の障壁を叩く。

それは壁となって、飛び込もうとしたベルベットをほんの一瞬足止めした。

振り返ったベルベットの目に映ったのは、HP1で地面に転がって杖を向けるフレデリカだった。


「なーんで生きてるんすか?」


「はー、はー……私の運がいいからかなー。あとクロムのお陰ー」


「むぅ、本当にしぶとかったってことっすか……」

クロムは消滅間際、【伝書鳩】でフレデリカにスキルを一つ渡した。それは【デッド・オア・アライブ】。ベルベットの攻撃を万に一つも耐えることなどできないフレデリカが耐えられるように。


そしてフレデリカはそのスキルを前提として、発動エフェクトを隠すため甲冑を巻き込むように移動したのだ。

運にも頼り、全てを振り絞って稼いだ一瞬は戦いの結果を左右した。




こうして迎えたイベントの終わりと共に、全員が光に包まれ通常フィールドへ転移していく。


「残念だが、いい勝負だった。次は勝ちたいものだな」


「次は、ドレッドとドラグにもっと働いてもらわないとー……」


「楽しかったっす!でも、勝ちたかったっすね……!」

感想はまた後で。その場にいるプレイヤーを包む光は強まって、ここでイベントフィールドから姿を消したのだった。




逆側では激戦で疲れた様子のメイプルがゆっくりと玉座から起き上がる。


「いい勝負だったね。強かった、皆を落としたのは失敗だったな」

消滅していく異形の姿を見つつ、【権能】の使用でぐったりとしたリリィはメイプルに話しかける。


「【身捧ぐ慈愛】を使おうとしたんですけど、こっちにしろーって言ってくれて」


「あー……そっちにしてくれていれば勝てていたかもしれないな」


「メイプル、ナイスー!」


「いい攻めだった。ナイスプレイだ」


「あ、サリー!ペインさん!」


「メイプルちゃん、上手くいったのね!」


「イズさんも!えへへ頑張りました!」

こちらもまた徐々に光が強まっていく。やはり、感想はまた後日といった所だろう。


「次までに私も満足に【権能】を使えるよう、トレーニングしておくか……」


「うぅ、その時は味方でお願いします」


「ははっ、そうだね。考えておこう」

最後にリリィと言葉を交わして、メイプルの視界は光に包まれていくのだった。

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― 新着の感想 ―
名無しの戦士: 「ねんがんの夢、メイプルに食べられたゾ」 名無しの剣士: 「闇の再誕?」 名無しの拳士: 「怨ンぎゃー!怨ンぎゃー!ママーーッッ!!」
[良い点] すごく面白かったです!!まだまだ、終わってほしくないですー! [気になる点] 王様?
[一言] あけましておめでとうございます 今年も更新頑張ってください!!
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