防御特化と見当。
日を改めて、メイプルとサリーはギルドホームで話をしていた。二つのアイテムの使い道を探すと言っても、このアイテムから今以上にヒントは得られないのだ。
机の上に二つのアイテムを出して、さてどうしたものかと考えていると、今日も今日とて探索に出ていたギルドメンバーがちょうど戻ってきた。
「お、二人も戻ってたのか。ん、それなんだ?」
二人が机の上にだしているものを見て、クロムがまず反応する。
「メイプルが見つけたアイテムなんですけどどこで使う物なのかなと」
「メイプルが見つけた物か……一切場所の検討がつかないってことか?」
「そうです!私は気軽に潜っていけないし、長い時間の探索は大変で……まだ見つかってないんです」
「アイテムの名前はあるのかしら?」
「えっとこっちの箱が『ロストレガシー』でこの光ってるのが『天よりの光』です」
「また随分仰々しい名前だが……となるともし使い道があるなら何処かでのイベントになるだろうか」
「お姉ちゃん、何か心当たりあったりする?」
「うーん……そんなに凄そうなものを使う場所は見たことないかも」
「なら名前が唯一のヒントってことだね。僕が読んだ石板に、いくつか仄めかすようなものがあったからそれのどれかに該当するかもしれない」
「本当!?」
「カナデが読んだっていう創作文字か……確かにこういうアイテムがあるって知った上で見ればヒントになったりするかもな」
「うん、でもあまり期待はしないでよ?それに、多分これ最終段階まで潜水服を強化しないといけない深い場所だから」
【楓の木】も強化パーツを集めてはいるものの、もう少し時間はかかるだろう。
「うん、分かった。で、ヒントになりそうなもの話してみてよ」
「おっけー、そっちの光の方だけど。天よりって言うけど水に沈む前はもっと低い場所から空だったはずなんだ」
「あ、だから水中で見つかったのかな?」
「そうかもね。じゃあ昔は空だったって言えるような高い場所か……」
「察しがいいね。で、ロストレガシーはこの層で時々見る機械に関係ありそうだよ」
「それはあるかもな。三層ほどじゃないが、ここも水の中に結構沈んでたりするしな」
クロムが言うように、サリーが攻略したダンジョンのモニターや光弾発射装置などもそれに当たるだろう。それ以外にも、もう役に立たなくなった壊れた機械が岩や建物に引っかかって残っているのも所々に見られる。
「そうね。作れるアイテムも増えて嬉しいと思ってたもの」
「ふんふん、じゃあ機械がいっぱいある所……ってことだね!」
「どこかあったかな……やっぱり潜水服の強化がいるかも」
「石板曰く昔の文明ってことだから、かなり深い所かもね」
「もしそれが失われたとするなら、アイテムの名前にも合う。あながち間違っていないかもしれないな」
「私達もパーツを探すのに合わせて探してみますね!」
「が、頑張ります……!」
「皆ありがとう!絶対すごいの見つけてみせるからね!」
「メイプルがそう言うと……ちょっと怖いところもあるけどな」
「分かるわ」
「ああ、そうだな」
今まで見せられてきた物を振り返ると、『すごいの』に該当するものがいくつも思い浮かんでくる。味方なら強くなってくれることは喜ばしいが、内容は誰が見てもどこまでもとんでもないものばかりである。
クロム、イズ、カスミの三人がこそっとそう反応する中、ヒントをもらってメイプルはやる気十分な様子なのだった。




