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防御特化とレイドボス3。

「すげえな、かなりキツイと思ったがもう壊したぞ」


「サリーちゃん達も無事みたいね」

イズは双眼鏡を覗いて巨人の頭近くを観察する。そこでは無事に水の槍を捌ききったのだろう十二人がそれぞれに分かれて一度地上へ戻っていくのが見えた。

メイプル達も当然問題なく攻撃を凌ぎきっており、ここからはこちらがボスに向かって侵攻する番である。


「ノックバックで弾かれた時や貫通攻撃を受けそうになった時は俺がかばう。気にせず進んで大丈夫だ!」


「はい!」

クロムもまた【マルチカバー】などで複数人をかばい盾で受け止めることが可能だ。【ピアースガード】のクールダウン中はメイプルは盾を構え、貫通攻撃に被弾しそうなギルドメンバーをクロムがかばい盾で受け止めることで、メイプルにダメージを与えさせない立ち回りによって、じりじりとボスまでの距離を詰めていく。

水球を破壊したことによりモンスターの召喚は止まったものの、代わりに津波や水柱は強化され、さらにその手に持った巨大な槍を振り回す攻撃が追加され、あちこちで死亡したプレイヤーも出始めた。


「水の槍来るよ!僕以外をお願い【天使の守り】」


「おお、【マルチカバー】!」

クロムは盾を構えると被弾しそうになったマイとユイをかばう。メイプルはイズをかばいしっかりと盾で槍を受け止めることでダメージを受けず、カナデは【神界書庫】によるスキルで攻撃そのものを消滅させて対処する。

攻撃はかなり激しく、魔法や弓による遠距離攻撃か、飛行能力のあるテイムモンスターで空からヒットアンドアウェイで攻めるかのどちらかとなっている。

サリー達が【集う聖剣】【炎帝ノ国】の面々と地面と空を行き来して隙をつきながら着実にダメージを与えているが、流石にレイドボスなだけあって、倒し切るには手数が足りていないようだった。

この状況を変えるには、ボスの攻撃を一時中断させ、プレイヤー全員で一気に攻め立てる必要がある。そのためにも、マイとユイの一撃が必要なのだ。

しかし、近くに行く程ボスの攻撃は苛烈になり、降る槍の数は増え、噴き出す水ごとの隙間は少なくなり、押し流すような水の勢いも強くなる。


「俺とメイプルで受け持ってダメージは受けないが、ノックバックがキツすぎる!」

メイプルが【ヘビーボディ】を使うと動けなくなってしまうのと、そもそもクールダウン中は無効化すらできないのもあって、どうしてもノックバックの間隔が短くなると厳しいのだ。現状で上手くダメージ自体は受けずに接近できているため、下手に別の手を打って状況が変わってしまわないように慎重に手を探っている。

そうしていると、少し離れた位置から声がかかった。


「何だい、随分手間取っているようだね」


「リリィさん!」


「私が道を作ろう。そうでないといつまで守っていればいいか分からないからさ」

リリィはさらに兵士を呼び出すと指令を出して攻撃を代わりに受けさせ相殺させていく。


「さあ、進んでくれるかい?出来る限り早くこの厄介な水を止めてくれると助かるよ」


「分かりました!行こう皆!」


「ああ、これなら進める。助かった!」

クロムとメイプルは兵士に護られつつギルドメンバーを連れて前へ行く。射程範囲はもうすぐそこだ。


「そろそろ私も攻撃参加できそうかな?」


「そうですね。到着を待ちましょう」


「ああ、そうしたら後方から支援射撃といこうじゃないか」

こうして、リリィとウィルバートは兵士と共に波をかき分け進む【楓の木】の面々を見送ると、攻撃の機会をじっと待つのだった。

そして幾度もの攻撃を乗り越え、大技をかいくぐり、ついにメイプル達はボスの足元へと辿り着いた。ここまでくればやるべきことは一つである。


「急いでバフをかけるわね!」


「使える限り魔導書を使おうかな。万が一ダウンしなかったら大変だしね」


「ああ、後は任せるぜ。一発ぶち込んでやれ!」


「頑張って!」

効果時間が短いかわりに効果が強力なものを順に順にかけていく。一つごとにマイとユイの与えるダメージは膨れ上がっていき、かけられるだけのバフをかけた状態になった時、様々なオーラの立ち昇る、威圧感のある姿がそこにはあった。


「「行きます!」」

二人は息を合わせて合計十六本の大槌を一気に振りかぶる。


「「【ダブルインパクト】!」」

それは誰でも使えるような基本スキル。しかし、直撃した瞬間、纏っていた水は全て吹き飛び、かわりとばかりに大量のダメージエフェクトが弾ける。何度見ても異様と言わざるを得ない圧倒的な火力に、最終日のレイドボスですらそのHPを大きく減少させ、倒れこみながら片腕をつき、槍で体を支えるのがやっとである。

これは全プレイヤーにとってこれ以上ないほど分かりやすい反撃の合図。今までのレイドボスで見てきたあの重い一撃が決まった証なのだ。

こうして一気に攻め立てんと、プレイヤーが活気付く中、メイプル達もこのまま起き上がらせまいと追撃に入る。と、ここでサリーとカスミもようやく合流することができた。


「メイプル!上手く行ったみたいだね!」


「サリー、カスミ!よかった無事で!」


「上手く助けられてな。状況は?」


「今から、総攻撃だよ!」

サリーとカスミはそれならばと武器を構え、大きな隙を見せているボスに向き直るのだった。



倒れたボスに対し、まず真っ先に攻撃を仕掛けたのは【炎帝ノ国】だった。


「はは、面白い人だったなぁ」


「嵐みたいに去っていったね……文字通り」

ヒナタを隣に浮かべたまま、自分のギルドの方に走って帰っていったベルベットのことを思い返す。


「向こうは向こうでやるのだろう。こちらもこの好機、逃さず行くぞ!」


「はいはい!やるとしますか、【崩剣】!」


「あんまりできることないけど……とりあえず起き上がったときの対策しておくよ」


「皆さん向かってください。反撃がきても私が回復、復活を担います!」

単騎で能力の高いシンとミィがいるため少数戦ももちろん可能だが、【炎帝ノ国】の四人が得意なのは陣形を整えての集団戦である。ミザリーの回復や、マルクスの罠はそれでこそ生きてくる。ボスのすぐそばに陣取り陣形を作れた今、それは起き上がったとしても対処しつつ攻撃することすら可能なものになっていた。


「ウェン、【彼方への風】【不可視の剣】だ」


「【炎帝】【炎神の焔】!」

もちろん、シンとミィの二人も周りを支援することができないわけではない。シンはスキルの範囲を拡大し周りのプレイヤーの攻撃に風の刃による追加ダメージを付与し、ミィは辺りに炎を広げ全員のステータスを飛躍的に上昇させる。

リリィも言ったように数は力だ。


「畳み掛けるぞ!」

こうしてミィの号令に合わせて、全員が攻撃を開始し、大きくダメージを与えていく。


【炎帝ノ国】が攻撃を仕掛ける中、逆方向に陣取った【集う聖剣】もまた一気に攻勢に出ていた。


「あっちもこっちもバフで大忙しなんだけどー?」


「ハハッ、いつもと違って防御は考えなくて言い分楽だと思うぜ」


「いつも考えさせてるのはどこの誰かなー?」


「やってる場合か、起き上がると面倒だぞ」


「ああ、こちらも仕掛けよう。レイ、【聖竜の加護】」


「シャドウ【影の群れ】」


「【バーサーク】!アース【大地の矛】!」

それぞれが自前のバフをかけ、テイムモンスターを呼び出していく中、フレデリカはノーツの力も借りて、全員にバフをかけ終えて、うんうんと頷く。


「ガンガン戦ってねー。バフ切れたらすぐかけるからー」

それじゃあよろしくと、フレデリカが役目を終えたようにくつろごうしたところでドラグに引っ張られる。


「このまま攻撃参加も頼むぜ」


「もー、扱いが荒いんだけどー。これだけ大きければ、まあ間違いなく避けられることもないだろうし、気持ちよく的当てしようかなー」

いつもは決闘の度いいように避けられているフレデリカの魔法だが、多重の効果に追加してノーツのお陰でさらに一度に放たれる魔法が増えたため、当たれば威力は馬鹿にならない。


「ペイン、いいタイミングでバフ全部移すから。そうなったらよろしくねー」


「ああ、任された」

全てのバフを一人に。滅茶苦茶な性能のこのスキルは対象に取れる人数が多いほどその力を発揮する。つまり、今はフルスペックだ。

光を放つ長剣が振り抜かれ、空まで上るような輝きがボスを切り裂く中、こちらも全員が攻撃に移る。


こうして他のギルドが囲んで攻撃していく中、【楓の木】は正面に位置取ってひたすら攻撃を加えていた。人数は他のギルドより少ないものの、文字通り百人力のマイとユイがいるため、ダメージは負けていない。


「さっすがに、あれにはどうやっても勝てないね!」


「もう比べるものではないだろうな」

カスミとサリーがマイとユイに並んでボスを切り刻む中、メイプルは後方から機械神の兵器による全力射撃を延々と叩き込んでいる。イズは既に大量生産済みの爆弾を放り投げており、クロムとカナデもそれに参加している形だ。


「いや、俺はそこまで火力貢献できないけどよ。カナデはできるだろ!」

「ほら、隣で僕のそっくりさんが頑張ってるでしょ?ソウ【破壊砲】!まあ、節約だよ節約。それに僕のダメージもあの二人と比較すると誤差みたいなものだしね」


「できることをやればいいのよ。あ、バフが切れるわ。クロム、筋力増加ポーションを放り投げてあげて」


「おう!」

そうしてダメージを与えていた八人だが残りあと少しというところでボスが起き上がり、その槍を突き出してくる。狙いは当然、最もダメージを出していたマイとユイだ。


「「大丈夫です!【巨人の業】!」」

突き出された巨大な槍の先端にそれぞれの八本の大槌がぶつかり、与えるはずだった衝撃は全てボスに跳ね返る。バフが限界まで積み上げられた二人の膂力は巨人のそれを上回り、その槍を弾き返したのである。残り少ないHPはよりギリギリまで減少する。


「よーし!皆で押し切ろう!」

メイプルはそのまま銃撃を、サリー、カスミは連撃を、クロム、カナデもそれぞれ撃てるだけのスキルを撃って、イズは爆弾に加えてダメージアイテムを惜しみなく使用する。


「「これでとどめっ!」」

最後にレイドボス戦最大の功労者であるマイとユイの大槌が振り下ろされて巨人はその体を光へと変え消滅していったのだった。

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― 新着の感想 ―
救いの手便利すぎるからもっと流行っててもいいと思うのだが
[気になる点] ロストレガシー、ここじゃなかったんですね… そしたらやっぱり、「脇道」「運営の悪ふざけ」 なんだろうなあ〜。 [一言] 更新お疲れ様です(*`・ω・*)ゞ もう、彼らを倒すの厳しいです…
[一言] そっかぁー遂に力そのものも巨人ラスボス越えちゃったかー...これがホントの小さな巨人 ところで飛撃って最初に触れた敵の弾や魔法で散っちゃうのかな?
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