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防御特化と『thunder storm』2。

最後のチェックポイントを過ぎた四人はそのまま休むことなく頂上に向かって進んでいく。


「どうっすか、ヒナタはやっぱりすごいっすよね?」


「うん!すごかった!」


「あの、えっと、そんな……」


「本当に強いのはヒナタの方っすよー!」


「ベルベットも強いけどね。ヒナタみたいなタイプはまだ見たことなかったかな」

ヒナタのスキル範囲内に無策で飛び込んではいけないのだ。ベルベットの落雷よりも防ぐのは難しく、一度当たるだけでそこから連鎖的にスキルが命中しまともに動くことができなくなってしまうのだから、危険度は高い。


「ヒナタと二人なら無敵っすよ!」

自信満々にそう言ってのけるベルベットの横で、ヒナタは手放しに褒められて恥ずかしそうにしているが、過言でないことは戦闘で証明されている。


「私とサリーも二人なら無敵だよ!」


「いいっすね!」


「そこまではっきり言われると、期待に応えないとなあ」


「じゃあボス戦は一気に片付けてメイプルの相棒のお手並み拝見といくっすよ!」


「本当に……楽しみみたいです」

途中一戦分その目で戦闘を見ることができた分尚更なのだろう。待ちきれないという様子で坂道を駆け上がっていく。


「あ、でも四人でのボス戦は初めてっすから、予想より強いかもしれないっす」


「四人で全力でやれば大丈夫だと思うけどね。というかそれで駄目なボスは相当……」

ここにいるのは全員が強みを持ち、そしてそれが群を抜いて強力な四人である。並大抵のボスでは太刀打ちできないのは自明だった。


「ヒナタ!どんなのが来てもよろしく頼むっす!」


「防御は私に任せて!」


「は、はい……とても、頼もしいです……」


「私のダメージの出し方は地道だから、ボスはメイプルとベルベットがメインになるかな?」

サリーもベルベット同様四人でのボス戦がどういったものになるかは知らないため、実際どうなるかはボス戦が始まってから柔軟に対応していくことになる。そのために相手の出方を見る時間は、ヒナタとメイプルがいればいくらでも稼ぐことができるだろう。

例のごとく移動中に山場はなく、ボス前まで簡単に辿り着くことができた四人は躊躇なく扉を開けてボス部屋へと入る。


そこはすり鉢状になった山の頂上で、周りを岩壁に囲まれ、さながら巨大なコロシアムのようだった。そんな戦闘エリアの中央には途中戦ってきたよりも二回りほど大きい石像が、石の槍と盾を持ち、鎧を着て佇んでいた。


「槍は初めてっす!ヒナタ、全力で頼むっすよ!【雷神再臨】!」


「はい……!」


「よーし私も【捕食者】!」


「さてと、どうくるか」

各々戦闘体勢を取りつつメイプルの【身捧ぐ慈愛】の範囲内から出ないように、今まで通り石像が動き出すのを警戒しつつ前へ進んでいく。


「きたっすね!」

メイプル達がある程度近づいた所で、石像は動き出し、その巨大な槍を天に突き上げる。メイプル達が出方を窺っていると石像がぐっと膝を曲げて天高く跳躍した。


「わわっ!飛んだよ!」


「そのまま突っ込んでくる!」

石像の持つ槍は遠目から見ても分かる程輝いており、開幕から強力な一撃で陣形を破壊しようとしているのが伝わってくる。


「でも、それなら……」


「こっちのものっす!」


「えっと、【溶ける翼】……です!」

ヒナタがスキルを発動すると飛びかかってきていた石像は一気にその勢いを失って地面に墜落する。


「【凍てつく大地】【星の鎖】【災厄伝播】」

メイプルも持っているスキルによってヒナタが地面に落ちた石像をそのまま縫い止め、いつも通り防御力を低下させる。そこにメイプルは銃口を向け、サリーとベルベットはそれぞれ炎と雷を纏って駆け出していく。


「【電磁跳躍】!」


「【水の道】!」

サリーは水中を泳いで、ベルベットは雷を残し跳躍して距離を詰めると、一気に攻撃を叩き込む。


「【嵐の中心】【稲妻の雨】【落雷の原野】!」

足元まで辿り着いたベルベットを中心に大量の雷が降り注ぎ、それは容赦なく次々と石像を焼き焦がして、HPバーをガクンガクンと削っていく。


「【クインタプルスラッシュ】!」

凄まじいダメージを与えたことで攻撃の対象がベルベットに向いた瞬間にサリーはスキルでの攻撃を選択する。通常攻撃よりもダメージの高いそれは【剣ノ舞】の強化が完全でなくとも満足できるダメージを叩き出す。


「【攻撃開始】【滲み出る混沌】!」

【毒竜】を撃つわけにはいかないため、メイプルは後方から遠距離攻撃スキルで援護と言うには強すぎる射撃をする。石の盾でも全てを防ぎきることはできていないようで、体のあちこちからダメージエフェクトが弾ける。

【凍てつく大地】は移動を止める事しかできないため、攻撃に仰け反りつつも、最もダメージを出しているベルベットに向けて巨大な槍を突き出す。


「【パリィ】【渾身の一撃】【連鎖雷撃】!」

突き出された槍は構えられた拳に当たると同時に弾かれて逸れ、ベルベットには届かない。スキルによる確定の防御、それが作った時間を使ってベルベットは石像の足に右ストレートを叩き込む。

それに合わせて発生した電撃は凄まじい量のダメージエフェクトを散らし、今もなお止むことのない落雷も相まって、逆側で今も尚攻撃を続けるサリーや、射撃を続けるメイプルにボスの攻撃対象を移らせない。


一瞬のうちにあまりにも多くのダメージを受けたボスだったがようやくヒナタの拘束が解けたようで、落雷の雨が降る範囲から逃れようとする。


「私も!もう一回っ!」

そこに自爆飛行でメイプルが吹き飛んで来て、バウンドしながら足元に転がってくるとスキルを発動する。それはヒナタが持っており、メイプルもまた持っているスキル。


「【凍てつく大地】!」

メイプルの声と共にもう一度地面に氷が走り、後ずさろうとしたボスは地面に縫いとめられる。


「畳み掛けるっす!」


「斬り刻む!」

唯一のチャンスと言えたこの瞬間に逃げられなかったボスの末路は、最終チェックポイントの石像と何ら変わらないものになるのだった。






「あー、終わっちゃったっす」


「案外あっけなかったね。メイプルもお疲れ様」


「うん、お疲れ様」


「えっと……この後は……」

ボスも倒した所で、ベルベットがサリーの方を見る。サリーの意思も変わらなかったようで無言で頷いて返答すると、ベルベットは早速決闘の誘いを出す。


「頑張ってサリー!」


「負けないよ。絶対」


「言うっすねー」


「ベルベット……応援してます」


「ボスより楽しい戦いになりそうっす!」

サリーがベルベットの誘いを受けると、二人は転移して姿を消した。


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― 新着の感想 ―
[一言] あれ?【水の道】に雷って感電しないんだっけ? PT扱いだから大丈夫とか?
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